○会津若松市議会基本条例

平成20年6月23日

会津若松市条例第19号

平成12年4月に施行されたいわゆる地方分権一括法による機関委任事務の廃止によって、地方自治体(以下「自治体」という。)は自らの責任において、自治体のすべての事務を決定することとなり、これらの事務に対して、議会の審議権、議決権、調査権、検査権が及ぶなど、その権限が強化された結果、議会の担うべき役割や責任も大きくなった。

このような中、地方議会を担う者が、その責務を果たしていくためには、二元代表制の趣旨を踏まえ、首長と相互の抑制と均衡を図りながら、自治体の自立に対応できる議会へと自らを改革していかなければならない。

この自己変革に当たっては、議事機関たる議会はまず、多様な市民の多様な意見を多様に代表できる、という合議機関としての特性を最大限に生かしていくために、これまで以上に公平・公正・透明な議会運営や開かれた議会づくりを推進し、情報の提供と共有化を図りながら、市民の積極的な参加を求めていくことが必要である。

他方で議会は、このような市民参加を礎として、市民との活発な意見交換を図り、そこで得られた意見を大切にしながら、議員同士が自由闊達な議論をたたかわせ、そのような中から、論点や課題を明らかにしたり、意見を集約していくことが必要である。そして、市民本位の立場をもって、より適切に政策を決定するとともに、その執行を監視し、さらには、政策提言や政策立案を積極的に行っていかなければならないのである。

このような認識のもと、会津若松市議会は、これまで連綿と続いている、活発な議論を重んじる伝統と個々を尊重しあう民主的な政治風土をしっかりと受け継ぎつつ、未来に向けた新たな価値の創造に向けて、不断の努力を重ねるとともに、市民の多様な意見を反映しうる合議体としての議会づくりを通じ、市民の負託にこたえていくことを決意するものである。

ここに、会津若松市議会及び構成員である議員が活動していくに当たって、最も根幹となる支柱として、また、そのよって立つ基盤として、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、二元代表制の下、合議制の機関である議会の役割を明らかにするとともに、議会及び議員の活動原則等の議会に関する基本的事項を定めることにより、地方自治の本旨に基づく市民の負託に的確にこたえ、もって市民福祉の向上と公正で民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。

(議会の活動原則)

第2条 議会は、次に掲げる原則に基づき活動しなければならない。

(1) 公正性及び透明性を確保するとともに、市民に開かれた議会を目指すこと。

(2) 市民の多様な意見を把握し、政策形成に適切に反映できるよう、市民参加の機会の拡充に努めること。

(3) 把握した市民の多様な意見をもとに政策提言、政策立案等の強化に努めること。

(4) 市民本位の立場から、適正な市政運営が行われているかを監視し、評価すること。

(5) 議会運営は、市民の傍聴の意欲が高まるよう、分かりやすい視点、方法等で行うこと。

(議員の活動原則)

第3条 議員は、次に掲げる原則に基づき活動しなければならない。

(1) 議会が言論の場であること及び合議制の機関であることを認識し、議員間の自由な討議を重んじること。

(2) 市政の課題全般について市民の意見を的確に把握するとともに、自己の資質を高める不断の研さんによって、市民全体の奉仕者、代表者としてふさわしい活動をすること。

(3) 議会の構成員として、一部団体及び地域の代表にとどまらず、市民全体の福祉の向上を目指して活動すること。

(会派)

第4条 議員は、議会活動を行うに当たり、会派を結成するものとする。

2 会派は、政策を中心とした同一の理念を共有する議員で構成する。

3 会派は、政策決定、政策提言、政策立案等に際して、会派間で調整を行い、合意形成に努めるものとする。

4 議長は、必要があると認めるときは、会派の代表者の会議を開催する。

5 会派の代表者の会議に関し必要な事項は、別に定める。

(平23条例9・一部改正)

(市民と議会との関係)

第5条 議会は、市民に対し積極的にその有する情報を発信し、情報の共有を推進するとともに、説明責任を十分に果たさなければならない。

2 議会は、本会議、常任委員会のほか、すべての会議を原則公開とする。

3 議会は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第100条の2に規定する学識経験者等による専門的調査の活用並びに同法第115条の2(同法第109条第5項において準用する場合を含む。)に規定する公聴会制度及び参考人制度を活用して市民等の意見等を聴き、議会の政策形成に反映させるよう努めるものとする。

4 議会は、請願及び陳情を市民からの政策提案として受け止め、審議等に当たっては請願者及び陳情者の説明機会の確保に努めるとともに、審議等に必要がある場合は当該請願者及び陳情者の意見を聴くものとする。

5 議会は、市民の多様な意見を把握し、反映しうる合議体としての特色を最大限に生かし、市民参加の推進に努めるとともに、市民との意見交換の場を多様に設けるものとする。

6 議会は、市民に対し、議会で行われた議案等の審議の経過及び結果について報告するとともに、政策形成に関する意見交換を行うため、市民との意見交換会を開催しなければならない。

7 市民との意見交換会に関し必要な事項は、別に定める。

(平23条例9、平24条例49・一部改正)

(広報広聴委員会)

第6条 議会は、広報広聴機能の充実のため、議員で構成する広報広聴委員会を設置する。

2 広報広聴委員会に関し必要な事項は、別に定める。

(平23条例9・一部改正)

(附属機関の設置)

第7条 議会は、審査、諮問又は調査のため必要があると認めるときは、別に条例で定めるところにより、附属機関を設置することができる。

(議決責任等)

第8条 議会は、議決責任を深く認識するとともに、議案等を議決し、自治体としての意思決定又は政策決定をしたときは、市民に対して説明する責務を有する。

2 議会は、議会運営に関し、市民に対して説明する責務を有する。

(議決事件)

第8条の2 地方自治法第96条第2項の規定による議会の議決すべき事件は、次のとおりとする。

(1) 市政の総合的かつ計画的な運営を図るための中長期的な計画の基本理念、基本目標、政策、施策等を体系的に示した基本構想及び基本計画の策定、変更又は廃止

(平27条例1・追加)

(市長等との関係の基本原則)

第9条 議会審議における議員と市長その他の執行機関及びその補助職員(以下「市長等」という。)との関係は、次に掲げるところにより、緊張関係の保持に努めるものとする。

(1) 本会議における議員と市長等との質疑応答は、論点及び争点を明確にして行うものとする。

(2) 議長から本会議及び委員会に出席を要請された市長等は、議長又は委員長の許可を得て、議員の質問に対して反問することができる。

(3) 議会は、市長等との立場及び権能の違いを踏まえ、議会活動を行わなければならない。

(4) 議会は、市長が提案する重要な政策については、議会審議を通じて政策水準の一層の向上を図るため、市長に対し、必要な情報を明らかにするよう求めるものとする。

(監視及び評価)

第10条 議会は、市長等の事務の執行について、事前又は事後に監視する責務を有する。

2 議会は、本会議における審議、議決等を通じて、市民に対して市長等の事務の執行についての評価を明らかにする責務を有する。

(政策立案、政策提案及び政策提言)

第11条 議会は、市の政策水準の向上を図るため、政策立案機能の強化に努め、もって条例の提案、議案の修正、決議等の政策提案を行うとともに、市長等に対し、政策提言を行う。

(議員間の討議による合意形成)

第12条 議会は、言論の場であることを十分に認識し、議員相互間の自由な討議を中心に運営されなければならない。

2 議会は、本会議及び委員会において、議案の審議及び審査に当たり結論を出す場合にあっては、合意形成に向けて議員相互間の議論を尽くすよう努めるものとする。

(常任委員会)

第13条 常任委員会は、議会における政策立案及び政策提案を積極的に行うものとする。

(令4条例11・旧14条繰上)

(議会による研修)

第14条 議会は、政策提言及び政策立案能力の向上を図るため、研修を実施する。

2 議会は、研修の充実強化に当たり、広く各分野の専門家、市民等との研修会を開催するものとする。

(令4条例11・旧15条繰上)

(議員による研修及び調査研究)

第15条 議員は、政策提言及び政策立案能力の向上のため、研修及び調査研究に努めるものとする。

(令4条例11・旧16条繰上)

(議会図書室)

第16条 議会は、議員の調査研究に資するため、議会図書室の充実に努めるものとする。

(令4条例11・旧17条繰上)

(議会事務局)

第17条 議会は、議会の政策立案能力を向上させ、議会活動を円滑かつ効率的に行うため、議会事務局の調査及び法制機能の充実を図るものとする。

(令4条例11・旧18条繰上)

(議員の政治倫理)

第18条 議員は、高い倫理的義務が課せられていることを深く自覚し、会津若松市議会議員政治倫理条例(平成20年会津若松市条例第20号)を遵守し、品位の保持に努めなければならない。

(令4条例11・旧19条繰上)

(政務活動費)

第19条 会派の代表者は、会津若松市議会政務活動費の交付に関する条例(平成13年会津若松市条例第1号)第2条の規定により調査研究その他の活動に資するために政務活動費の交付を受けたときは、会計帳簿、領収書等を整理し、その使途の透明性を確保するものとする。

2 会派の代表者は、政務活動費の収支報告書について、自ら説明責任を果たすよう努めるものとする。

(平24条例49・一部改正、令4条例11・旧20条繰上)

(予算の確保)

第20条 議会は、二元代表制の趣旨を踏まえ、議事機関としての機能を確保するとともに、より円滑な議会運営を実現するため、必要な予算の確保に努めるものとする。

(令4条例11・旧21条繰上)

(災害時の対応)

第21条 議会は、会津若松市災害対策本部(会津若松市災害対策本部条例(昭和37年会津若松市条例第44号)に基づき設置される災害対策本部をいう。)、会津若松市新型インフルエンザ等対策本部(会津若松市新型インフルエンザ等対策行動計画(新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成24年法律第31号)第8条の規定により作成する市町村行動計画をいう。)に基づき設置される新型インフルエンザ等対策本部をいう。)又は会津若松市雪害応急対策本部(会津若松市地域防災計画(災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第42条の規定により作成する市町村地域防災計画をいう。)に基づき設置される雪害応急対策本部をいう。)が設置されたときは、会津若松市議会災害対策本部を設置する。

2 前項の会津若松市議会災害対策本部の組織及び事務に関し必要な事項は、別に定める。

3 災害時の議会及び議員の役割等に係る計画については、別に定める。

(令元条例41・追加、令4条例11・旧22条繰上、令5条例15・一部改正)

(継続的な検討)

第22条 この条例の施行後、議会は、常に市民の意見、社会情勢の変化等を勘案して、議会運営に係る不断の評価と改善を行い、必要があると認めるときは、この条例の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

2 議会は、この条例を改正するに当たっては、議員全員が賛同する場合であっても、本会議において改正の理由を説明しなければならない。

(令元条例41・旧22条繰下、令4条例11・旧23条繰上)

この条例は、公布の日から施行する。

(平成23年3月28日条例第9号)

この条例は、公布の日から施行する。

(平成24年12月25日条例第49号)

この条例中第5条第3項の改正規定は公布の日から、第20条の改正規定は地方自治法の一部を改正する法律(平成24年法律第72号)附則第1条ただし書に規定する規定の施行の日から施行する。

(平成27年3月17日条例第1号)

この条例は、公布の日から施行する。

(令和元年6月24日条例第41号)

この条例は、公布の日から施行する。

(令和4年6月21日条例第11号)

この条例は、令和4年8月1日から施行する。

(令和5年6月9日条例第15号)

この条例は、公布の日から施行する。

会津若松市議会基本条例

平成20年6月23日 条例第19号

(令和5年6月9日施行)

体系情報
第2編
沿革情報
平成20年6月23日 条例第19号
平成23年3月28日 条例第9号
平成24年12月25日 条例第49号
平成27年3月17日 条例第1号
令和元年6月24日 条例第41号
令和4年6月21日 条例第11号
令和5年6月9日 条例第15号