公開日 2024年12月26日
更新日 2024年12月26日
「転籍」というと、いまの戸籍をそっくり別の場所に移せる、便利になる!というイメージがあるかもしれませんが、いまの市区町村とは別の市区町村へ転籍する場合には、注意が必要です。
それは、別の市区町村への「転籍」が、いまの戸籍を「除籍」にして「転籍先の市区町村に新たに戸籍をつくること」であり、いまの戸籍に記載されている内容をそのまま新たな戸籍に移すことではないためです。
「転籍して失敗した…」とならないよう、転籍とはどういうものか確認していきましょう。
※なお、同一市区町村内での転籍については、いまの戸籍の本籍部分を直すだけで、戸籍がひとつ増えることはないので、心配はいりません。
失敗しない転籍のために1・・・転籍後の戸籍のイメージを見てみましょう
市区町村をまたぐ転籍(いまの本籍のある市区町村とは別の市区町村への転籍)をした場合の、転籍前後の戸籍のイメージを見てみましょう。
別の市区町村に転籍をする場合
いまの本籍地とは別の市区町村へ転籍を考えている会津花子さんが実際に転籍をした場合、その前後の戸籍のイメージは下の絵のようになります。
このケースでは、転籍する時点で婚姻して除籍となっていたふたりの子ども(義太郎さん、八重さん)についての情報は、転籍後の戸籍には記載されていません。
また、転籍する時点で亡くなって除籍となっていた夫の太郎さんは、戸籍の筆頭者であるため名前など一部の情報は残りますが、花子さんと太郎さんが婚姻していたことの記載などは転籍後の戸籍には記載されないことがわかります。
このように、市区町村をまたいだ転籍の場合、転籍前の戸籍ですでに除籍となっていた人の情報やその人との夫婦関係、婚姻の事実などは転籍後の戸籍には記載されません。
これは、「転籍」が、いまの市区町村にある戸籍をそっくり別のところに移すわけではなく、いまの戸籍を「全部除籍」にして別の市区町村に新たにひとつ戸籍をつくることであり、その場合に記載する内容(「移記」する内容)が法律で決められているためです。
そのため、転籍後の戸籍を見て、「しまった、前のままにすればよかった」と思って、もう一度転籍前の市区町村に転籍をしたとしても、一度転籍した際に移記されなかった内容が記載されることはなく、新しい戸籍がもう一つできるだけとなります。
転籍を考える際には、ぜひこうした事情を踏まえて検討していただくと、「転籍して失敗した…」と後悔することがないかと思います。
同一市区町村内での転籍をする場合
なお、同じ市区町村内での転籍した場合には、下のイメージのようにいまの戸籍の本籍が修正され、転籍した事実が追記される形となるだけで、別の市区町村へ転籍した場合のように記載内容に変更が生じることがないため、心配はいりません。
失敗しない転籍のために2・・・転籍に関するよくある誤解
ここまで、転籍すると必ずしも便利になるとは限らないことを確認してきました。
「そうは言っても、住所が変わったら本籍も変えないといけないんですよね?」「本籍を置いていた実家の両親が亡くなって、いまは別の人が住んでいる場所なので転籍しないといけないですよね?」
このような声が、戸籍届出窓口に訪れるお客さまからよく聞かれますが、実は、これらはすべて誤解です。
本籍は「住んでいるところ」とは全く関係ありません
「引っ越したから」「いまは別の人が住んでいるところだから」「空き家になってしまったから」などは、転籍の手続きに来られるお客さまからよく聞かれる言葉ですが、そのような場合でも、「転籍をしなければならない」というのは誤解です。
本籍は、住んでいる場所であるかどうかや、自分が所有している土地かどうかとは全く関係がなく、「日本国内の実在する土地の場所」であればどこに設定することも可能です。
そのため、「〇〇だから転籍しなければならない」という状況は存在せず、転籍するかどうかは届出人(原則、戸籍の筆頭者および配偶者)が自由に選べます。
もし仮に、本籍と住所を同じにしなければならないと誤解したまま引越しのたびに転籍したとすると、「出生から現在までの戸籍」の提出を求められたときなどに何通もの戸籍をとらなければならなくなってしまう場合がありますので、注意が必要です。
失敗しない転籍のために3・・・どのようなときに転籍をすべきなのか
転籍についての誤解がとけたところで、ここからは転籍をするかどうか、また、転籍する場合にはどこで届出するのがよいかの判断に参考となる内容を確認します。
「戸籍の広域交付」により、本籍地以外でも戸籍がとれるようになりました
令和6年3月から、「戸籍の広域交付」が始まり、それまで本籍地に請求するしかなかった戸籍の全部事項証明書(戸籍謄本)が、本人や直系親族からの請求であれば、全国どの市区町村役場窓口でも取得できるようになりました。
- 戸籍の広域交付について、詳しくはこちら→戸籍謄本などの戸籍証明書の広域交付
戸籍の広域交付により、以前は転籍をしないと不便だったケースでも、不便を感じないで済むことも多くなったようです。
ただし、戸籍の広域交付は、本人または直系親族の戸籍の全部事項証明書(戸籍謄本)のみが対象であり、そのほかの証明書、たとえば、戸籍の一部事項証明書や個人事項証明書(戸籍抄本)、戸籍の附票(住所の履歴)などは本籍地への請求が必要です。
こうした本籍地にしか請求できない証明書を手軽に住所地の役場窓口で取得したいという場合には、住所地へ転籍するのが便利だと考えられるでしょう。
本籍地へ届出をすると、戸籍が早くできあがります
「転籍届」をはじめ、戸籍の届出はその多くが本籍地以外の場所でも届出ができますが、届け出る場所によって、その内容が戸籍に反映されるまで(届出した内容が記載された戸籍が取得できるようになるまで)にかかる期間が変わってきます。
本籍地で届出をすると、多くの市区町村では数日後には届出内容を反映した戸籍を発行することが可能となりますが、本籍地以外の場所で届出をした場合、届出内容を戸籍に反映するのに数週間ほどの期間を要する場合があります。
これは、戸籍の編製はあくまで本籍地のみでしか行うことができず、本籍地以外で受理された届出については所要の手続きを経て本籍地へ通知され、それを受け取った本籍地で戸籍に記載する作業を行うためです。
通知は現在、システムで電子的に行われていますが、それにかかる日数と、受理地および本籍地でのそれぞれの手続きに日数が必要となるため、届出した場所が本籍地であるかどうかにより、日数にこのような差異が生じます(なお、システムにエラーが発生した場合などはさらに時間がかかることがあります)。
そのため、住所地を本籍地としておくと、住所地で戸籍の届出をした場合に戸籍が早くできあがるというメリットがあります。
また、転籍届出をする場合、転籍後の新しい本籍地で届出するほうが、転籍後の戸籍が早くできあがります。
転籍をうまく活用しよう
このページでは、日常生活ではなじみのない「転籍」の仕組み、メリットやデメリットについての概要をご案内してきました。
ひとりひとりの状況により、転籍をしたほうが便利か、しないほうが希望にかなっているのかは異なりますので、このページを読んで転籍について迷ったときには、身分証明書を持参の上、市民課へ相談にお越しください。
なお、お電話やメールなどのお問合せでは、なりすまし等から個人情報を保護するため実際の戸籍を確認しての対応ができかねますので、一般的な制度のご案内にとどまることをご了承ください。
転籍で後悔することがないよう、皆さまの判断の助けとなれば幸いです。
お問い合わせ
- 会津若松市役所 市民課
- 電話番号:0242-39-1229
- ファックス番号:0242-28-4579
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