公開日 2023年06月09日
更新日 2024年08月30日
水道事業は水道水を安全・安定的に使用者へ恒久的に供給することが最大の使命です。その使命を達成する一つの方法としてAIやIoTなどのデジタル技術を活用する選択肢があります。
ここでは本市が取り組んでいるデジタル技術を活用した新しい水道の取組みをご紹介します。
現状と課題について
- 将来的な人口減少に伴う水需要の減少、水道技術者の減少などにより水道技術や品質の持続が確保できない
- 老朽施設・老朽管の耐震化を含めた更新・再構築に係る維持管理コストの増大
- 工事監督員や工事事業者への負担が増大
水道工事、水道施設の維持管理に多くの時間と費用を要している。また災害時には漏水箇所の特定に時間を要するなど、効率的な事業運営や緊急時においては迅速な復旧が求められています。
水道DXの展開(イメージ図)
水道DXの具体的な取組の概要
計画
(1)AIを活用した管路劣化度調査
水道管の劣化度診断にAIを活用しています!
これまでの水道管の更新計画は、布設年度が古い管を優先し決定してきました。しかし、古い管でも機能を維持しているものが多く、必ずしも漏水や破損の危険性があるとは限らないことから、「効率的な更新」を考えていくためAIを活用した劣化度調査を実施しています。
- AI診断について
AIに組み込むデータは、土壌や地質情報、地下水情報、交通情報、送電線の位置、人口などの9種類の汎用データ(ビックデータ)のほか、本市がこれまでに蓄積した独自の管路データ(水道台帳、管種、布設年度、漏水修理履歴などの配管状況)を基にAIによる分析・診断により、劣化度が高い水道管(=漏水する危険が高い水道管)が「見える化」されます。劣化度が高い水道管は、優先して更新する水道管に位置付けされ更新計画に反映しています。
詳細はこちらをご覧ください。
【事例紹介】AIを用いた管路劣化度診断結果の活用について[PDF:5.09MB]
(2)衛星画像解析による管路診断
衛星画像解析による管路診断業務委託を行いました!
令和5年度に協定による4事業体共同実施の衛星画像解析技術を用いた管路状況の診断を行いました。
管路延長としては、4事業体合計で約1,214キロメートルを診断しました。
詳細はこちらをご覧ください。
衛星の画像解析による広域的な管路診断[PDF:1.56MB]
日本水道協会東北地方支部 第26回水道事例発表会にて「MIP賞」を受賞しました!
令和5年度に本市を含めた技術連携4事業体で実施いたしました「広域連携による衛星の画像解析技術を活用した管路診断の取組み」について、令和6年8月22日から23日に福島市で開催されました「日本水道協会東北地方支部 第26回水道事例発表会」にて顕著な取組み事例に贈られる「MIP賞」(Most Impressive Presentation) を受賞いたしましたことをご報告いたします。引き続き、持続ある水道事業を目指し、様々な施策に取組んでまいります。※今回の発表は、会津美里町が代表して発表しました。
発注
(3)小規模管路DB
受発注者双方が業務の効率化を図っています!
小規模管路DBによる発注方式・・・これまで発注者が作成していた詳細設計図(管割図)を省略し、受注者が現場条件に合った設計図(管割図)を作成し工事を施工します。このことで設計積算・検算業務の迅速化と省力化が図られ、工事の早期発注や発注時期の平準化が可能となり、本市が進める柔軟な発注手法の導入や受注機会の拡大といった施策に寄与できます。
- 小規模管路DB活用による水道技術向上の推進
配水管工事の設計業務は、水道局職員による作業を行うことで水道施設の構造や資材を把握すること、また災害時における応急復旧の迅速な対応力を身に着けるなど、直接水道の技術力を生かし、さらに向上させる業務と位置づけ、「水道技術の継承」の一端を担っています。
一方で将来的な視点では、老朽管更新のさらなる増加が見込まれ、人口減少、水道技術者の減少により水道技術、事業量の持続・確保できないなどが懸念されます。小規模管路DBは設計業務の一部を施工者が行うため「水道技術の向上や人材育成」に繋がり、また現場の豊富な経験を生かすことで合理的な工事施工により効率的かつさらなる工事品質の向上を図り、「公民連携による水道技術の確保」への取組みを推進します。
今後については、自動配管システムなどのデジタル技術と組み合わせることで、さらに効率的な工事が期待されます。
詳細はこちらをご覧ください。
施工
(4)IoTを活用した水道工事施工情報システム
IoTを活用して確実な施工を目指しています!
本市で使用している「耐震管」は、地震が起きた場合でも「継手」が伸び縮みする動きが可能なため、地震による地盤変動に対応できる「継手構造」になっています。その継手の動きを保つために、継手の接合と施工管理が最も重要です。
そのため本市では継手の施工管理をする上で、高い精度で管理する手法としてIoTを活用した施工情報システムを導入し「施工品質の確保」に努めています。
- 施工情報システムについて
施工情報システムによる施工管理は、スマートフォンやタブレット端末の統一された画面に入力することで、担当者による管理のバラつきを防ぎ、決められた寸法の継手管理が可能となります。地下に埋められる水道管だからこそ、しっかりとした施工管理が大切であり、災害時であっても常に清浄な水道水を提供し続けることができます。
詳細はこちらをご覧ください。
維持管理
(5)監視型漏水調査
監視型にすることで無駄な水をなくします!
一般的な漏水調査は、深夜に人が現場に行って、直接配管などから漏水音を聞き分け、漏水場所を見つける「音聴調査(年間約49,000戸を調査)」で行います。しかし「音聴調査」は交通量の多い道路や、冬期間は実施できない調査方法です。そのため市では令和3年度より、人で行う「音調調査」と同時に仕切弁や空気弁・消火栓などのマンホール内に漏水の振動や音を調査する通信機能を内蔵した記録装置「ロガー」を設置し、クラウドシステムを活用した遠方監視により管路の漏水を発見しています。
携帯電話の通信規格(LTE)の一部を活用したLPWA(ローパワー・ワイドエリア)の技術により、水道管を見張りながら無駄な水を減らし、さらなる安全・安心な市民生活の確保を目指します。
【LPWAとは】・・・低消費電力で長距離のデータ通信を可能とする無線通信技術
(6)浄水場タブレット・浄水場WBC
(7)ドローン
ドローン等を活用して実証実験を行いました!
令和2年度からAIやICT技術を活用した水道DXの推進による、「水道施設点検の効率化」と「災害時における被災調査の高度化」の実現に向け、ドローンやAI画像診断のデジタル技術の有用性・安全性等を水道施設点検における効果検証を確認するため、実施してきました。
詳細についてはこちらをご覧ください
ドローン等を用いた水道施設点検及びAIによる画像診断[PDF:3.1MB]
水道技術継承
(8)高校生出前講座
水道技術の向上、人材の確保と継承に取組んでいます!
将来を担う人材の確保・継承を目的として局職員が「講師」として実際に高校へ出向き、水道事業が持つ技術や魅力を紹介する取組みとして開催しています。令和2年度から実施し、令和5年度で4回目の開催となりました。
主な講座内容については、【座学】と【現場見学・講座】を行っております。これにより、水道の業務に対するイメージや興味を示しにくいといった課題改善に寄与でき、生徒が持つ水道に対する理解を深めてもらうきっかけ作りに繋げるものとして取り組んでいます。また、コロナ禍の中で職業体験の授業が組むことが難しい状況にあった学校からの相談・状況を受け、局職員が実際に学校に出向き、職業体験のサポートに携わることが水道技術の向上・継承、人材の確保にも寄与するものと考え、取り組んでいます。
- 出前講座の内容
○【座学】・・・若手職員による体験談、水道事業の紹介
○【現場見学・講座】・・・水道管の耐震体験、水道管の地上配管実演、工事現場の見学、
水道管の継手チェック体験、IoT技術を活用した継手チェック体験
- 出前講座の様子
詳細についてはこちらをご覧ください
お問い合わせ
- 会津若松市役所上下水道局上水道施設課
- 電話番号:0242-22-6177
- ファックス番号:0242-22-6178
- メール