放射線Q&A19:川などの泥に放射性セシウムがあると聞くが影響はないの?

2015年4月16日

Q19:川やため池の泥に高濃度で放射性セシウムがあると聞いていますが、今後影響はないのですか?

 

回答

  放射性セシウムは、福島原発事故時にガスやちりの状態で大気中に放出され、雨や雪に洗い落とされて地上に沈着しましたが、その最初の状態では大半が溶解性(水に溶ける)だったと推定されています。
 地上に落ちたセシウムは、雨に溶けて川に流れて行ったものと、土壌に吸着されてその場に留まっているもの、土壌に吸着された後、土壌と一緒に雨に洗い流されて、側溝や河川に移動したものなどが考えられます。
 水に溶けたセシウムは、そのまま川の水と一緒に短期間で海まで流れていったと考えられますが、土壌に吸着されたセシウムは、今でも一部は土砂と一緒に側溝に溜まっていたり、流れが緩やかな川底や川岸に泥と一緒に存在しています。

 国や福島県が公表している河川等の放射性物質のモニタリング結果を見ると、会津地方の川底の泥の放射性物質濃度は、平成23年度は最大で約25,000ベクレル/kgが検出されましたが、平成25年度は最大で約1,000ベクレル/kgと減少しています。
 ※検査結果は下記のページよりご覧ください。
 平成23年度福島県 
 平成25年度環境省 

 では、その放射性セシウムが私たちの健康に影響を与えるかと言うと、それはほとんど考えられません。
 
 まず、川底の放射性セシウムからの放射線ですが、多くは水に遮蔽されて外には出て来ないので、影響は十分小さいと考えます。ただし、川底が干上がったような時は、線量を確認した方が無難でしょう。

 


 次に素足で川に入った時の影響ですが、Q&A6 ※2にあるプールに入った時の外部被ばくの皮膚線量と同じ計算をすれば、セシウム濃度が1,000ベクレル/kgの泥の中に幼児が、深さ50cmまで1時間入っていた場合の皮膚線量は0.72ミリシーベルトで、皮膚に影響の出る2,000ミリシーベルトよりずっと小さいので、皮膚の損傷を心配することはありません。
 また、がんの影響については、皮膚は新陳代謝が早く、傷ついた遺伝子を修復できない細胞があったとしても、がんになる前に新しい細胞に入れ替わるので、影響はないと考えてよいでしょう。

 ※この計算は泥表面のセシウムが皮膚に密着した場合のベータ線の影響になります。
 セシウムからのベータ線は、水の層が1ミリもあれば吸収されて皮膚には届きませんので、泥が皮膚に接している面だけを考えれば良いことになります。
 ガンマ線も水に遮蔽されるので、泥のセシウム濃度が地表の土と同じ1,000ベクレル/kg程度だと、地上にいるよりも影響は小さいと考えられます。
 また、ここで言う皮膚線量は皮膚の等価線量のことで、通常使っている線量(実効線量)とは違います。皮膚線量は実効線量の100倍の値になります。

 


 次に川底の泥に吸着された放射性セシウムは水に溶け出さないのか、という心配がありますが、これについてはいろいろと実験や調査が行われた結果、川や湖などの水にはほとんど溶け出さないことがわかっています。
 モニタリングの結果でも、会津地方の河川や湖沼、水道水から放射性物質が検出されたのは福島原発事故発生直後だけで、その後は河川水や水道水等から放射性物質は検出されていません。
 ※検査結果は下記のページよりご覧ください。
 平成23年度 福島県 
 平成25年度 環境省 
 平成23年度 会津若松市水道部 
   
 また、セシウムが水に溶けていなければ、稲などの農作物にはほとんど吸収されないことが実験や調査でわかっていますので、ため池の泥に放射性セシウムが含まれていても農作物へはほとんど影響はないでしょう。

 
 そのほかに考えられる影響としては、魚介類への影響が考えられます。
 福島県の発表によると、平成23年度は、会津地域の魚も多くの種類で放射性セシウムが検出され、最大で1,000ベクレル/kg程度の値が検出されました。
 その後、ヒメマスやヤマメ、イワナ、ウグイなど特定の種で放射性セシウムが高い状態(大部分は基準値以下)が続きましたが、それも徐々に減少しており、現在では基準値を超えることはほぼなくなりました。
 ※検査結果は「ふくしま新発売」のページをご覧ください。  

 また、新潟県でも阿賀野川やその河口、近海で魚介類の放射性物質の調査を行っており、平成23年度は基準値内で、いくつかの種類で放射性セシウムが検出されましたが、その後はセシウムが検出される割合も濃度も減少しており、平成26年度は阿賀野川のウグイで7.8ベクレル/kgが検出されただけです。
 ※検査結果は「新潟県放射線・放射能データベース」をご覧ください。 

 調査の結果から基準値を超える可能性がある魚介類については、県で地域を指定して出荷や採取の制限をしていますので、基準値を超えた魚が市場に出回ることはまずありません。しかし、規制を知らずに獲った魚を知人などからもらうことが考えられますので、その場合は放射性物質の検査をして、確認した方が良いでしょう。
 なお、セシウム137の濃度が1,000ベクレル/kgの魚を1kg食べたときの預託実効線量(健康影響を表す数値)は0.013ミリシーベルト と小さく、がんのリスクはほとんど考えられませんし、放射性セシウムは摂取しても体から排出されるので、一度くらい誤って食べたとしても心配することはあ りません。

 ※農林水産物による内部被ばくについてはQ&A17でも説明していますので参照ください。

 

  気を付けなければならないのは、汚染されたものを継続して摂取し続けることです。

 

 
 以上のことから考えて、川底などの泥に吸着された放射性セシウムが、私たちの健康に影響を与えることは、まずないと考えてよいでしょう。



 

【回答者】会津若松市放射線管理アドバイザー・藤田保健衛生大学客員教授 下 道國先生

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