放射線Q&A9:世界の空間線量の高い地域はどのくらいの線量?健康影響は?

2019年5月10日

Q9:世界中には空間線量が高い地域があり、そこにも人が住んでいるそうですが、どのくらいの線量ですか。また、健康に影響はないのですか。

 (H25.7.29更新 R1.5.10修正)

 

回答

 

  日本、欧米、中国など11カ国の普通の(高線量でない)地域の空間線量の平均値は0.28ミリシーベルト/年(毎時0.03μSv)で、0.10.5ミリシーベルト/年の幅があります。もちろん、わが国でも岐阜県の0.52ミリシーベルト/年(毎時0.06μSv)から神奈川県の0.12ミリシーベルト/年(毎時0.01μSv)と4倍程の違いがあるように、どこの国・地域であっても数倍程の幅があり、更に言えば、同じ県内でも、またもっと狭い区域の中でも違いがあります。

  このように世界中の空間線量には差があり、あちこちに線量が特に高い区域がありますが、そのような大地からの放射線による空間線量率の高い区域にも、大勢の人が生活をしています。 線量の特に高い地域を、対象となるおよその人口と空間線量と共に表に示します。

 

 表1 世界の高線量地域と年間の空間線量(ミリシーベルト/年)

地域・都市 線量の特に高い地域の人口

平均空間線量

(最小・最大値)

インド マドラス(現チェンナイ)
及びケララ州

~20万人

9.2

(5.2-32)

ブラジル ガラパリ 5.5
イラン ラムサール

4.7

(0.49-610)

イタリア オルビエート 3.4
中国 広東省陽江 ~100万人 2.3

   ※参考

会津若松市  (平成30年度)

 ~13万人

0.48

 

 ※年間の空間線量は屋外で24時間、365日で受ける線量として計算しています。なお、追加的被ばく線量推計値は自然の放射線量を引いて、屋外で8時間、屋内は屋外の線量の4割として16時間、放射線を受けるものとして計算したもので、この値よりかなり小さくなります。

 表の値から、世界の高線量の区域は、普通の地域の1030倍ほど高いことがわかります。イランのラムサールは、カスピ海に面した温泉保養地として著名です。他にも温泉地では、中国四川省の温泉地で1.6~56ミリシーベルト/年と高い値が報告されています。  

 (高線量地域として有名だったブラジルのガラパリは、都市化によってアスファルト舗装され、線量が下がったと報告されています)

 日本では、鳥取県三朝町の三朝温泉がラジウム温泉として有名ですが、屋外の空間線量は自然の放射線だけで0.79ミリシーベルト/年程度です。

 

世界の著名な都市での空間線量についての報告は少ないのですが、その例として表2に、名の知れたイタリアの諸都市と香港の値を示しました。ミラノ、トリノ、ベネチアはイタリア北部にあり、空間線量の値はわが国と変わりません。一方、中部のナポリ、ローマは線量が高いことが知られておりますが、これらの都市は現在の会津若松市と同じくらいです。

 

表2 イタリアの著名な都市および香港の空間線量(ミリシーベルト/年)

都市 空間線量(平均値)
イタリア ナポリ 1.3
      ローマ 0.86
      ミラノ 0.38
      トリノ 0.36
      ベネチア 0.32
中国   香港 0.67

※参考

会津若松市(H30年度)

0.48

 

これは、この地域が花崗岩地帯で、自然放射性物質の含有量が多いことに原因があります。東京都庁の建築材の一部はイタリアからの輸入品とされていますが、都庁のごく近くではナポリの値に近いことが多くの人の測定で確認されています。

 香港も同じく花崗岩地帯にあり、少し高めの値となっています。

 

 高い空間線量が住民へ及ぼす影響について、住民の多いインドのケララ州と中国陽江で疫学調査が行われてきましたが、特に健康影響に問題はないと報告されています。 また、ローマやナポリ、あるいは三朝温泉の住民に健康上問題があるという報告もありません。

  ※放射線が人体に与える影響は、遺伝子を傷つけることにより起こるので、自然の放射線も人工の放射線も影響としては同じです。→詳細はこちら Q1

 

 昔から、放射線を含む温泉は湯治場として親しまれており、少量の放射線は効能があると考えられてきました。また、放射線治療を受ける前に、少ない量の放射線を事前に受けておくと、治療時の放射線に対してよく耐えるという報告例があります。
 このような生物の放射線に対する耐性増進作用は、免疫作用などと絡んで今後明らかにされると思います。

 

注1:空間線量は、元の資料の空気中の吸収線量率(nGy/h)に0.7を掛けて、1年の実効線量値として換算した値です。

注2:表1の値は、国連科学委員会2000、2008年報告を、表2の値はCaldinale,A.(NRE-Ⅱ,1975)と国連科学委員会2000年報告を参照しています。

※空間線量の高い地域にどれぐらいの人が住んでいるかについては、必ずしもはっきりとしているわけではありませんが、表1の地域ではインドと中国を除いて、1000人から10万人が生活していると思われます。

 

【回答者】会津若松市放射線管理アドバイザー・藤田保健衛生大学客員教授 下 道國先生

 Q&A目次へ戻る

 

お問い合わせ

  • 会津若松市役所 環境生活課
  • 電話:0242-39-1221
  • FAX:0242-39-1420
  • メール送信フォームへのリンクメール