放射線Q&A:放射線の健康影響

公開日 2013年03月18日

更新日 2018年12月12日

Q1:放射線を浴びると健康にどのような影響が出るのでしょうか。

 

回答

 放射線とは、非常に大きなエネルギーを持った粒子(アルファ線、ベータ線など)や電磁波(ガンマ線など)の流れで、いろいろな種類がありますが、どれも電離作用があり、この働きにより放射線は人体に影響を与えることになります。アルファ線、ベータ線、ガンマ線ともに人体に与える影響は、この電離によるものであることは一緒です。

 

 放射線が人体に影響を与える仕組みには2種類あります。

 体を作っている細胞の中には遺伝子(DNA)がありますが、放射線が直接、遺伝子に当たると遺伝子が傷つく場合があります。これを直接作用と言います。

 また、体の細胞の中には沢山の水が含まれており、放射線が水にぶつかると、電離作用によりラジカル(活性酸素はラジカルの一種)ができますが、ラジカルは非常に反応性が強いので、周辺にある遺伝子を傷つけます。これを間接作用と言います。

 なお、直接作用と間接作用の割合としては、大半が間接作用になります。

 

 このように体の中の遺伝子は放射線やラジカルにより傷つけられますが、ほとんどは修復されて元の状態に戻ります。また、遺伝子が受けるダメージが大きい場合は、その細胞は死んで分解され、排除されるので、臓器や体全体としては影響を受けないようになっています。ラジカルは生き物の体の中で常に沢山できていますが、生命は誕生してから十何億年の間に、ラジカルなどの攻撃から体を守るため、このような仕組みを身に付けたのです。

 

 ただし、まれに遺伝子に傷が残った状態で生き残った細胞が、長い年月の間、細胞分裂を繰り返すうちに、何かのはずみで、無秩序に、無差別に、無制限に細胞分裂を起こすようになることがありますが、これが「がん」というわけです。

 しかし、放射線を浴びたからと言って、すべての人が「がん」になるわけではなく、特に低い被ばく線量では「がん」になる確率は極めて低いのです。

 また、放射線を大量に浴びた場合は、体中の細胞の遺伝子が一度に大量に傷つけられるので、沢山の細胞が修復できずに臓器などが機能しなくなり、重い傷害を引き起こしたり、ひどい場合は死亡することになりますが、今回の福島原発の事故では重症になったり、死亡するほど大量に被ばくした人はいませんでした。

 

 なお、会津若松市の放射線量は低いので、放射線の作用で傷つけられる遺伝子の数は、食習慣やストレスなど様々な原因でできるラジカルに傷つけられる遺伝子の数に比べて非常に少なく、放射線による健康影響を気にかけることはないと考えられます。

 

 

 

【回答者】会津若松市放射線管理アドバイザー・藤田保健衛生大学客員教授 下 道國先生

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