令和4年度赤井谷地観察会を開催しました!

公開日 2023年03月06日

 天然記念物「赤井谷地沼野植物群落」は、会津若松市湊町にある湿原で国指定の天然記念物です。赤井谷地は、かつては猪苗代湖と一体の湖で、その後の水位の低下により湿原となりました。標高が約525mと低いものの、約2万年前の氷河期に自生していた北方系の植物が見られること、谷地を覆う泥炭層は深さ3m以上で、凸地と凹地が交代しながら形成されてきたこと(ハンモック・ホローサイクル)など、学術的に高い価値を持っています。

 また、植物学者でもあった昭和天皇が、昭和36年(1961年)と59年(1984年)の二度にわたり訪れ、谷地内に自生するホロムイイチゴを見つけた喜びを歌に詠まれています。

 令和4年9月に、この貴重な赤井谷地を体感し、湿原の保護・保全について理解を深めてもらうための観察会を開催しました。

 

令和4年度観察会の様子

  • 日時      令和4年9月17日(土)  午前10時から12時
  • 会場      国指定天然記念物「赤井谷地沼野植物群落」
  • 講師      赤井谷地保存管理指導会議委員 日本大学 笹田勝寛准教授 
  • 参加者     市民13名、関係者7名
  • 散策会の内容

 日本大学笹田准教授に谷地内を案内していただき、谷地の成り立ちや、谷地内の植生の現状などの説明を受けました。谷地北側の昭和天皇が訪れた行幸路を通り、谷地内やかつてため池だった場所を巡りました。

 

 行幸路では、通路を境にして土壌の水分量など生育環境が異なっています。通路で分担された影響で行幸路北側にはススキが自生している一方、谷地側である行幸路南側ではヨシが自生しているなど、植生に違いがあることを観察しました。

 また赤井谷地が研究者たちに初めて注目されるきっかけを作った植物である、オオバウメモドキの解説もありました。

 

観察会風景2.JPG ヨシとススキの違い、樹木の有無などの植生の違いの解説

 

 谷地内では、湿原に生育している食虫植物モウセンゴケを観察しました。谷地内には泥炭層が厚く堆積しているため土壌の酸性度が高く、植物の育成には厳しい状況下ですが、植物たちが多種多様な手段で栄養を得ていることの解説を受けました。

 

観察会風景4.JPG 小さなモウセンゴケをすぐに見つけ出し、観察するようす

 

 かつて農業用のため池であったところでは、枯れた植物が十分に分解されないまま堆積し、その上に新たな植物が育ちまた枯れていく……という泥炭層の堆積と湿原の形成の過程について学びました。

 

観察会風景5.JPG 枯れた植物の堆積により、足元はとてもふかふかしていました

 

 参加者からは、「市内にこのような場所があることや、赤井谷地の現状を初めて知ることができた」「来年もぜひ参加したい」との感想をいただきました。

 なお、赤井谷地については、湿原の保護のため、普段は立入り禁止となっておりますのでご注意ください。

お問い合わせ

  • 会津若松市教育委員会 文化課
  • 電話番号:0242-39-1305
  • ファックス番号:0242-39-1272
  • メール

地図

集合場所(笹山原公民館)

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