放射線Q&A7:山などに生えている山菜は食べても大丈夫?
Q7:山菜の時期になりましたが、山などに生えている山菜は食べても大丈夫でしょうか。
平成25年6月17日更新
平成28年3月18日内容一部修正
回答
山野で活動するのが楽しみとなる季節になってきました。また、同時に山野で採れる山菜などを食べる季節です。
2年前の福島第一原発事故によって飛散した放射性物質によって、減少したとはいえ今なお山野の汚染が残っており、そこに生える山菜を食べるのは少し不安があるかと思います。実際にはどうなのでしょう。
結論を先に言えば、殊更心配することはないと言えます。このことを市内や県内の山菜の放射能検査のデータで見ていきましょう。
福島県のホームページには山菜などの検査結果が詳しく出ています。その中で、平成25年5月13日から27日までの2週間分を見てみますと、会津若松市はじめ県内各市町村で多くの山菜等の検査がなされています。
野生種の試料としては、わらび、ふき、うど、うわばみそう、こしあぶら、さんしょう、ねまがりたけ、ぜんまい、たらのめ、くさそてつ(こごみ)、みやまいらくさ(あいこ)、おおばぎぼうし(うるい)、たけのこ、もみじがさ(しどけ)でした。
会津若松市のデータは5件で、次のようになっていました。1キログラム当りの放射性セシウムの値で示します。平成25年5月23日採取分について、わらびは検出せず、ぜんまいは32ベクレル、ふきは4.1ベクレル、こしあぶら17ベクレル、また平成25年5月24日採取のみやまいらくさは4.4 ベクレルでした。これらはいずれも、基準値の100ベクレルを下回っています。
※平成25年5月29日採取のこしあぶらから、146ベクレルの放射性セシウムが検出されています。(「出荷・販売用の野生山菜・たけのこ等のモニタリング調査について」へリンク)
会津地方に広げると、会津若松市を除いて93 件が検査されたことがわかります。その内、「検出せず」は49件(52.7%)、「100 ベクレル未満」は42 件(45.1%)、「100 ベクレル超」は2件でした。100 ベクレルを超えたのは、こしあぶらで、250 ベクレル(会津坂下町)、190ベクレル(三島町)でした。
山菜などの検査は、県内ですべて毎日洩れなく行われているのではないと思われますが、線量としてはほぼこの範囲と見てよいでしょう。
これらの山菜は、基準値以上のものは市場に出回りませんが、自分で自家用として食べたらどれぐらいの線量になるでしょうか。
市内で一番高かったぜんまいで計算してみます。自家用として採ってきたぜんまいを毎食50グラム、1日2回、3日食べるとしますと、合計で300グラム食べることとなります。ぜんまい1 キロ当り32ベクレル(Bq)の内、セシウム134が13.1 Bq、セシウム137が19.3 Bqですから、食事での体内摂取量はセシウム134が3.9 Bq、セシウム137が5,8 Bqになり、線量を計算すると0.00015ミリシーベルトとなります。
山菜を生食する量はそれほど多くないと思われますが、保存して食することもあると思いますので、ぜんまいを300グラムの10倍の3キロを食べたとして計算すると、その値は0.0015ミリシーベルトになります。
しかし、平成24年4月に国の食品安全委員会で示した食品からの追加被ばく線量の基準は年間1ミリシーベルトですので、これと比較してもかなり小さいことがわかります。(なお、食品の基準は、基準値ぎりぎりの食品を毎日食べてても健康影響がないように決められています。)
露地栽培の原木しいたけは、最も濃度の高いもので37ベクレルでしたので、線量はぜんまいとほぼ同じとみて構いません。
この他に、会津地方の野生動物では、イノシシで131ベクレル(喜多方市)、ヤマドリで45.6ベクレル(喜多方市)や、淡水魚ではヤマメの670ベクレル(秋元湖)がありますが、仮に1キロあたり1,000ベクレルのものを1キロ食べたとしても、その線量は0.016ミリシーベルトです。(セシウム134と137の割合が半々の場合)
ただし、放射線が高い地域では野生のキノコや木の実は、放射能濃度が高い場合があることが知られていますので、検査で調べるなどして注意することを忘れないようにしてください。
※市役所で無料で放射性物質濃度を測定しています。詳細はこちら※(健康増進課のホームページ)
自然の恵みの山菜や野生動物あるいは川魚が食べられない。また不注意に食べて、お呼びでない放射性セシウムを摂取してしまったと言う理不尽さ、許せないと言う気持ちは残りますが、それによる線量はいずれも健康に影響を与える値ではありません。
※最新の農産物等のモニタリング結果はこちらをご覧ください。(福島県農林水産物モニタリング情報 「ふくしま新発売」)
文中の※印の項目をクリックすると詳細な計算にジャンプします。
【回答者】会津若松市放射線管理アドバイザー・藤田保健衛生大学客員教授 下 道國先生
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- 会津若松市役所環境生活課
- 電話:0242-39-1221
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