○会津若松市手話言語及びコミュニケーション手段に関する条例

令和5年3月22日

会津若松市条例第4号

障がいのある人も障がいのない人も、地域で安心して暮らしたいという思いは市民の共通の願いであります。その実現に向けて、お互いに理解し合うことが必要であり、言語をはじめとしたコミュニケーションの手段は、情報を得て意思疎通を図るうえで大切な役割を担っています。

その中でも、ろう者のコミュニケーション手段である手話は、ろう者が日常生活を営むために欠くことのできない言語であるということについて、市民の理解を深め、普及させていく必要があります。

また、障がいのある人が、日常生活において意思疎通を円滑に図るために、障がいの特性に応じた多様なコミュニケーション手段を選択して利用することが大切であり、コミュニケーションの手段についての理解を促し利用しやすい環境を整えていく必要があります。

これらを踏まえ、手話が言語であることを普及させるとともに、障がいのある人が必要とするコミュニケーション手段の利用を促進することにより、誰もがお互いに人格と個性を尊重し、地域で支え合いながら安心して暮らすことのできる共生社会を実現するため、この条例を制定します。

(目的)

第1条 この条例は、手話が言語であることの普及及び障がいの特性に応じた多様なコミュニケーション手段の利用の促進に関する基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者等の役割を明らかにするとともに、その基本理念に基づいた施策の推進について定めることにより、障がいの有無に関わらず、全ての市民がお互いに人格と個性を尊重しながら安心して暮らすことのできる共生社会を実現することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 障がいのある人 身体障がい、知的障がい、精神障がい(発達障がいを含む。)その他の心身機能の障がい(以下「障がい」と総称する。)がある者であって、障がい及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に制限を受ける状態にあるものをいう。

(2) 事業者等 市の区域内で事業活動を行う個人及び法人その他の団体をいう。

(3) 多様なコミュニケーション手段 手話言語、触手話、要約筆記、筆談、点字、指点字、拡大文字、音訳、平易な表現、実物や絵図の提示、身振り、重度障害者用意思伝達装置その他障がいのある人が情報取得やコミュニケーションで利用するものをいう。

(4) コミュニケーション支援者 手話通訳者、要約筆記者、点訳者、音訳者、盲ろう者向け通訳・介助員その他障がいのある人への伝達補助等を行う支援者をいう。

(5) 社会的障壁 障がいのある人が日常生活又は社会生活を営む上で障壁となる社会における事物、制度、慣行、観念等をいう。

(6) 合理的配慮 障がいのある人の社会的障壁を取り除くことが必要とされる場合に、可能な範囲で最大限提供されるべき配慮をいう。

(基本理念)

第3条 手話が言語であることの普及及び障がいの特性に応じた多様なコミュニケーション手段の円滑な利用の促進は、全ての市民が相互の理解及び人格と個性を尊重することを基本として行われなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条に定める基本理念に基づき、手話が言語であることの普及及び多様なコミュニケーション手段の円滑な利用の促進のため、必要な施策を総合的かつ計画的に推進しなければならない。

2 前項の施策の推進に当たっては、合理的配慮を行うものとする。

(市民の役割)

第5条 市民は、第3条に定める基本理念に基づき、手話言語に対する理解を深めるとともに、多様なコミュニケーション手段の円滑な利用の促進のため、市が推進する施策に協力するよう努めるものとする。

(事業者等の役割)

第6条 事業者等は、第3条に定める基本理念に基づき、手話言語に対する理解を深めるとともに、多様なコミュニケーション手段により、障がいのある人が利用しやすいサービスの提供及び働きやすい環境の整備並びに市が推進する施策に協力するよう努めるものとする。

2 事業者等は、その事業活動を行うに当たっては、合理的配慮を行うものとする。

(訪問者等への配慮)

第7条 市、市民及び事業者等は、本市を訪問し、又は本市に滞在する障がいのある人に対して、多様なコミュニケーション手段を利用しやすい環境づくりに努めるものとする。

(施策の基本方針)

第8条 市は、第4条に規定する責務を果たすため、次に掲げる施策を障害者基本法(昭和45年法律第84号)第11条第3項に規定する市町村障害者計画との調和をとりながら推進するものとする。

(1) 手話言語を学ぶ機会を提供する施策

(2) コミュニケーション支援者の確保及び養成に関する施策

(3) 多様なコミュニケーション手段についての理解の促進に関する施策

(4) 多様なコミュニケーション手段を利用するに当たっての環境の整備に関する施策

(5) 多様なコミュニケーション手段による情報発信を推進する施策

(6) 災害その他非常の事態における多様なコミュニケーション手段による情報取得を確保する施策

(7) 前各号に掲げるもののほか、この条例の目的を達成するために必要な施策

2 市は、前項各号に規定する施策を推進するにあたり、障がいのある人、コミュニケーション支援者その他の関係者の意見を聴き、その意見を尊重するよう努めなければならない。

(財政上の措置)

第9条 市は、前条第1項の施策を推進するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

この条例は、公布の日から施行する。

会津若松市手話言語及びコミュニケーション手段に関する条例

令和5年3月22日 条例第4号

(令和5年3月22日施行)