○会津若松市いじめ防止等に関する条例

平成27年3月26日

会津若松市条例第17号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第10条)

第2章 いじめ防止基本方針(第11条・第12条)

第3章 いじめ防止等のための対策を推進するための基本的施策(第13条―第22条)

第4章 重大事態への対処(第23条―第26条)

第5章 雑則(第27条―第29条)

附則

未来を担う子どもはかけがえのない存在であり、一人ひとりの心と体は大切に育まなければならない。

一方で、いじめは、いじめを受けた子どもの尊厳及び人権を著しく侵害し、その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、その生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれがあるものであり、決して許される行為ではない。

本市には、歴史と伝統に培われ脈々と受け継がれてきた精神文化に基づく規範意識を踏まえ、市民共通の行動指針として策定した青少年の心を育てる市民行動プランあいづっこ宣言(以下「あいづっこ宣言」という。)がある。「ならぬことはならぬものです」の一文に象徴されるあいづっこ宣言の精神を基盤として、市民との連携及び協力の下、いじめは絶対に許されないという共通認識に立ち、いじめの根絶に向けて主体的かつ着実な取組を推進していく必要がある。

こうした認識の下、すべての市民がいじめを許さない心を持ち、将来にわたって本市の子どもが安心して学び、健やかに成長することができる会津若松市を実現するため、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号。以下「法」という。)の趣旨を踏まえ、いじめの未然防止、いじめの早期発見及びいじめの早期解消その他のいじめへの対処(以下「いじめ防止等」という。)のための対策に関し、基本理念及び基本となる事項を定め、市、教育委員会等の責務を明らかにするとともに、基本的な方針の策定について定めることにより、もって市民一丸となっていじめ防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) いじめ 児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人間関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。

(2) 学校 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校(幼児部を除く。)で、市の区域内にあるものをいう。

(3) 市立学校 会津若松市立学校設置条例(昭和39年会津若松市条例第30号)第2条に規定する小学校、中学校及び義務教育学校をいう。

(4) 児童等 学校に在籍する児童又は生徒をいう。

(5) 保護者 親権を行う者(親権を行う者がいないときは、未成年後見人)をいう。

(6) 市民等 市内に在住、在勤又は在学する者並びに市内で事業活動を行う個人、企業及び団体をいう。

(7) 関係機関等 警察署、児童相談所、法務局、医療機関その他のいじめ防止等のための対策に関わる機関をいう。

(令2条例26・一部改正)

(基本理念)

第3条 いじめ防止等のための対策は、法第3条に定めるもののほか、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。

(1) いじめの未然防止に当たっては、市民等があいづっこ宣言に込められた思いを理解し、「ならぬことはならぬものです」の規範意識を身に付け、その実践に努めること。

(2) いじめは、どの学校でも、どの児童等にも起こり得るとの認識の下、早期発見及び早期解消に努めること。

(3) いじめは、卑きょうで、かつ、絶対に許されない行為であるという考えを基本とし、市、教育委員会、学校、保護者、市民等及び関係機関等の連携及び協力の下、いじめの根絶を目指して取り組むこと。

(市の責務)

第4条 市は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、いじめ防止等のための総合的な対策を実施しなければならない。

(教育委員会の責務)

第5条 教育委員会は、基本理念に基づき、市立学校におけるいじめ防止等のために必要な措置を講じなければならない。

(市立学校の責務)

第6条 市立学校は、基本理念に基づき、教育委員会、保護者、市民等及び関係機関等との連携を図りながら、いじめ防止等のための対策に関する教職員の資質の向上及び教職員同士の連携強化に努め、当該市立学校全体でいじめ防止等に取り組まなければならない。

2 市立学校は、児童等が相手のことを思いやり、相手の立場を尊重する気持ちを育むことができるよう教育活動の充実に努めなければならない。

(保護者の役割)

第7条 保護者は、子どもの教育について第一義的責任を有するものであり、いじめを正しく認識し、その保護する子どもに対し、いじめは卑怯で、かつ、絶対に許されない行為であることを十分に理解させるよう努めるものとする。

2 保護者は、その保護する児童等がいじめを受けた場合には、適切に当該児童等をいじめから保護するものとする。

3 保護者は、市、教育委員会及び学校が講ずるいじめ防止等のための措置に協力するよう努めるものとする。

(市民等の役割)

第8条 市民等は、いじめが行われないよう地域において児童等に対する見守り、声かけ等を行い、児童等が安心して生活することができる環境づくりに努めるものとする。

2 市民等は、いじめを発見したとき又はいじめが行われている疑いがあると認めたときは、市、教育委員会、学校又は関係機関等への情報提供に努めるものとする。

(児童等の役割)

第9条 児童等は、いじめを行わず、互いに思いやり、いたわりながら、あいづっこ宣言の精神を身に付け、いじめのない明るい学校及び地域での生活が送れるよう努めるものとする。

2 児童等は、いじめを受け、又はいじめが行われていることを認識したときは、その家族、教職員その他の関係者に相談するよう努めるものとする。

(財政上の措置)

第10条 市は、いじめ防止等のための対策を推進するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

第2章 いじめ防止基本方針

(市いじめ防止基本方針)

第11条 市は、法第12条の規定により、会津若松市あいづっこいじめ防止基本方針(以下「市いじめ防止基本方針」という。)を策定するものとする。

2 市いじめ防止基本方針は、次の事項を定めるものとする。

(1) いじめ防止等のための対策の基本的な方向に関する事項

(2) いじめ防止等のための対策の内容に関する事項

(3) その他いじめ防止等のための対策に関する重要事項

3 市は、児童等を取り巻く社会情勢の変化等を勘案し、及びいじめ防止等のための対策の評価を踏まえ、必要に応じて市いじめ防止基本方針の見直しを行い、変更するものとする。

4 市は、市いじめ防止基本方針の見直しに当たっては、第21条第1項に規定する会津若松市いじめ問題対策連絡協議会の意見を聴くものとする。

5 市は、市いじめ防止基本方針を策定したとき及び変更したときは、速やかにこれを公表するものとする。

(学校いじめ防止基本方針)

第12条 市立学校は、法第13条の規定により、学校いじめ防止基本方針を策定するものとする。

2 学校いじめ防止基本方針は、市いじめ防止基本方針を参酌し、当該市立学校の実情に応じたいじめ防止等のための対策の基本的な方針及び具体的な取組を定めるものとし、必要に応じて見直しを行い、変更するものとする。

3 市立学校は、学校いじめ防止基本方針を策定したとき及び変更したときは、これを速やかに公表するとともに、保護者及び市民等の理解及び協力が得られるよう努めるものとする。

第3章 いじめ防止等のための対策を推進するための基本的施策

(いじめの未然防止のための措置)

第13条 教育委員会及び市立学校は、当該市立学校に在籍する児童等の豊かな情操及び道徳心を培い、心の通う対人交流の素地を養うことが、いじめの未然防止に資することを踏まえ、全ての教育活動を通じた道徳教育、体験活動及び生徒指導の充実を図らなければならない。

2 教育委員会及び市立学校は、当該市立学校に在籍する児童等の保護者、市民等及び関係機関等と連携を図りながら、いじめ防止等に資する当該児童等の自主的な企画及び運営による活動に対する支援、当該児童等及びその保護者並びに教職員に対するいじめ防止等に関する理解の促進その他必要な措置を講ずるものとする。

(いじめの早期発見及び早期解消のための措置)

第14条 教育委員会及び市立学校は、当該市立学校におけるいじめの実態を的確に把握し、いじめの早期発見及び早期解消を図るため、当該市立学校に在籍する児童等に対する定期的な調査その他の必要な措置を講ずるものとする。

(相談体制の整備)

第15条 教育委員会及び市立学校は、当該市立学校に在籍する児童等及びその保護者並びに教職員がいじめに係る相談を行うことができる体制(次項において「相談体制」という。)を整備するものとする。

2 教育委員会及び市立学校は、相談体制を整備するに当たっては、保護者、市民等及び関係機関等との連携の下、いじめを受けた児童等の教育を受ける権利その他の権利利益が擁護されるよう配慮するものとする。

(関係機関等との連携等)

第16条 市は、いじめを受けた児童等に対する支援、その保護者に対する支援及び情報提供、いじめを行った児童等に対する指導及び支援、その保護者に対する助言その他のいじめ防止等のための対策が関係者の連携の下に適切かつ迅速に行われるよう、市立学校、市民等及び関係機関等との連携の強化その他必要な体制の整備に努めるものとする。

(インターネットを通じて行われるいじめに対する対策)

第17条 教育委員会及び市立学校は、当該市立学校に在籍する児童等及びその保護者が、発信された情報の高度の流通性、発信者の匿名性その他のインターネットを通じて送信される情報の特性を踏まえ、インターネットを通じて行われるいじめを防止し、及び効果的に対処することができるよう、当該児童等に対する情報モラル教育(情報化社会の中で適切に行動するための基本となる考え方及び態度を養うことを目的とする教育をいう。)の充実に努めるとともに、その保護者に対して、必要な啓発活動を行うものとする。

2 教育委員会は、児童等がインターネットを通じて行われるいじめに巻き込まれることがないよう適切に対処できる体制の整備に努めるとともに、関係機関等との連携を図るものとする。

3 教育委員会は、インターネットを通じて行われるいじめについて、情報化の進展状況を勘案し、市立学校、児童等及びその保護者に対し、最新の情報を提供する等必要な措置を講ずるものとする。

(研修の実施)

第18条 教育委員会及び市立学校は、当該市立学校の教職員に対して、いじめ防止等のための対策に関する研修の実施その他の資質の向上に必要な措置を講じなければならない。

(いじめ防止等の対策のための組織)

第19条 市立学校は、当該市立学校におけるいじめ防止等に関する措置を実効的に行うため、当該市立学校の複数の教職員、心理等に関する専門的知識を有する者その他の関係者により構成されるいじめ防止等の対策のための組織を置くものとする。

(いじめに対する措置)

第20条 市立学校の教職員、教育委員会の職員その他の児童等からの相談に応じる者及び児童等の保護者は、児童等からいじめに係る相談を受けた場合において、いじめの事実があると思われるときは、いじめを受けた児童等が在籍する市立学校への通報その他の適切な措置を講ずるものとする。

2 市立学校は、前項の規定による通報を受けたときその他当該市立学校に在籍する児童等がいじめを受けていると思われるときは、速やかに、当該児童等に係るいじめの事実の有無の確認を行うための措置を講ずるとともに、その結果を教育委員会に報告するものとする。

3 市立学校は、前項の規定による事実の確認によりいじめがあったことが確認された場合には、いじめをやめさせ、及びその再発を防止するため、当該市立学校の複数の教職員によって、心理等に関する専門的な知識を有する者の協力を得つつ、いじめを受けた児童等又はその保護者に対する支援及びいじめを行った児童等に対する指導又はその保護者に対する助言を継続的に行うものとする。

4 教育委員会は、第2項の規定による報告を受けたときは、必要に応じ、当該市立学校に対し必要な支援を行い、若しくは必要な措置を講ずることを指示し、又は当該報告に係る事案について自ら必要な調査を行うものとする。

(いじめ問題対策連絡協議会の設置)

第21条 いじめ防止等のための対策について、保護者、市民等及び関係機関等との連携を図るため、法第14条第1項の規定により、会津若松市いじめ問題対策連絡協議会(以下この条において「連絡協議会」という。)を置く。

2 連絡協議会は、市長が委嘱する委員12人以内をもって組織する。

3 前項に定めるもののほか、連絡協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

(いじめから守る委員会の設置)

第22条 いじめ防止等のための対策を実効的に行い、及びいじめについて専門的な見地から調査するため、法第14条第3項及び地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定に基づき、教育委員会の附属機関として、会津若松市あいづっこをいじめから守る委員会(以下「いじめから守る委員会」という。)を置く。

2 いじめから守る委員会は、教育委員会の諮問に応じ、次の事項について調査審議し、その結果を答申する。

(1) いじめ防止等のための対策のあり方及びその実効性を高めるための調査研究に関すること。

(2) 重大事態(法第28条第1項に規定する重大事態をいう。以下同じ。)が市立学校に発生した場合における、事実の確認及び調査に関すること。

(3) その他いじめから守る委員会の設置の目的を達成するために必要な事項に関すること。

3 いじめから守る委員会は、いじめ防止等のための対策について、教育委員会に意見を述べることができる。

4 いじめから守る委員会は、教育委員会が委嘱する委員5人以内をもって組織する。ただし、教育委員会が必要と認めるときは、臨時委員を若干人置くことができる。

5 前4項に定めるもののほか、いじめから守る委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、教育委員会規則で定める。

第4章 重大事態への対処

(重大事態の発生に係る報告)

第23条 市立学校は、当該市立学校に在籍する児童等に重大事態が発生した疑いがあると認めるときは、教育委員会を通じて、その旨を市長に報告しなければならない。

(教育委員会による対処)

第24条 教育委員会は、前条の規定による報告を受けた場合又は市立学校に在籍する児童等若しくはその保護者から当該市立学校に対して当該児童等に重大事態が発生し、又は発生した疑いがあると申立てがあった場合であって必要があると認めるときは、当該報告又は申立てに係る重大事態に対処し、及び当該重大事態と同種の事態の発生の防止に資するため、速やかに、いじめから守る委員会に調査を行わせるものとする。

2 教育委員会は、前項の規定による調査が終了したときは、その結果を市長に報告するものとする。

3 教育委員会は、第1項の規定による調査が終了したときその他必要があると認めるときは、当該調査に係るいじめを受けた児童等及びその保護者に対し、当該調査に係る重大事態の事実関係その他の必要な情報を適切かつ迅速に提供するものとする。

4 教育委員会は、第1項の規定による調査の結果を踏まえ、当該調査に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のために必要な措置を講ずるものとする。

(市長による対処)

第25条 市長は、前条第2項の規定による報告を受けた場合において、当該報告に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のために必要があると認めるときは、次条第1項に規定する会津若松市いじめ調査委員会に前条第1項の規定による調査の結果について、調査を行わせることができる。

2 市長は、前項の規定による調査が終了したときその他必要があると認めるときは、当該調査に係るいじめを受けた児童等及びその保護者に対し、当該調査の結果その他の必要な情報を適切かつ迅速に提供するものとする。

3 市長は、第1項の規定による調査が終了したときは、その結果を議会に報告しなければならない。

4 市長及び教育委員会は、第1項の規定による調査の結果を踏まえ、自らの権限及び責任において、当該調査に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のために必要な措置を講ずるものとする。

(いじめ調査委員会の設置)

第26条 法第30条第2項及び地方自治法第138条の4第3項の規定に基づき、市長の附属機関として、会津若松市いじめ調査委員会(以下「いじめ調査委員会」という。)を置く。

2 いじめ調査委員会は、市長の諮問に応じ、前条第1項に規定する事項について調査審議し、その結果を答申する。

3 いじめ調査委員会は、市長が委嘱する委員5人以内をもって組織する。

4 前3項に定めるもののほか、いじめ調査委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

第5章 雑則

(個人情報の取扱い)

第27条 いじめに関する相談、調査等に関係した者は、正当な理由がなく、相談、調査等に際し知り得た個人情報を他人に漏らしてはならない。

(市立学校以外の学校への協力要請)

第28条 市は、市立学校を除く学校の設置者又は管理者に対し、いじめ防止等について必要な協力を求めるものとする。

2 いじめから守る委員会及びいじめ調査委員会は、市立学校を除く学校の設置者又は管理者に対し、いじめから守る委員会及びいじめ調査委員会が行う調査について必要な協力を求めるものとする。

(委任)

第29条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長及び教育委員会が別に定める。

この条例は、平成27年4月1日から施行する。

(令和2年9月23日条例第26号抄)

(施行期日)

1 この条例は、令和3年4月1日から施行する。

会津若松市いじめ防止等に関する条例

平成27年3月26日 条例第17号

(令和3年4月1日施行)

体系情報
第8編 育/第2章 学校教育
沿革情報
平成27年3月26日 条例第17号
令和2年9月23日 条例第26号