○会津若松市男女共同参画推進条例

平成15年12月19日

会津若松市条例第29号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第8条)

第2章 男女共同参画の推進に関する基本的施策(第9条―第18条)

第3章 苦情等の処理(第19条・第20条)

第4章 会津若松市男女共同参画審議会(第21条―第23条)

第5章 雑則(第24条)

附則

男女は、すべて人として平等な存在であり、性別による差別的な取扱いを受けることなく、その人権を尊重されなければならない。そして、個人の尊重と法の下の平等をうたう日本国憲法の下、また、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約を基本とした国際的な連携の中、男女平等の実現に向けた様々な取組が行われてきた。

会津若松市においては、昭和60年に会津若松市婦人行動計画を策定し、平成12年には市民が主体となり県内で初の「男女共同参画都市宣言」をするなど、市民との協働による男女共同参画の取組を積極的に展開してきた。

しかしながら、今なお性別による固定的な役割分担意識やそれに基づく社会慣行が存在し、地域社会の様々な分野において男女の格差が生じている。

このような状況に加え、少子高齢化、国際化の進展をはじめとする社会経済情勢の急速な変化に的確に対応し、真に調和のとれた平和で豊かな活力のある会津若松市を築いていくためには、男女がともに性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮し、あらゆる分野に対等に参画できる男女共同参画社会を形成することが、ますます重要となっている。

このような認識に立ち、市民、事業者及び市が一体となって男女共同参画社会の実現に向けて取り組むことを決意し、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、男女共同参画の推進について基本理念を定め、市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、男女共同参画の推進に関する施策の基本となる事項を定め、同施策を総合的かつ計画的に推進することにより、男女の人権が尊重され、豊かで活力ある地域社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいう。

(2) 積極的改善措置 前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。

(3) 市民 市の区域内に住所を有する者、市の区域内に存する事務所又は事業所に勤務する者及び市の区域内に存する学校に在学する者をいう。

(4) 事業者 市の区域内において事業活動(非営利のものを含む。)を行う個人及び法人その他の団体をいう。

(5) ジェンダー 生物学的又は生理学的な性差と異なり、男女の役割を固定的にとらえる社会的又は文化的に培われ、形成されてきた性差をいう。

(6) セクシュアル・ハラスメント 性的な言動により、相手に不利益を与えること又は相手の生活環境を害することをいう。

(基本理念)

第3条 男女共同参画は、次に掲げる基本理念(以下「基本理念」という。)に基づいて推進されなければならない。

(1) 男女が性別によって直接的又は間接的な差別を受けず、一人ひとりの能力を十分に発揮する機会が確保されるとともに、男女の個人としての人権が尊重されること。

(2) 性別による固定的な役割分担意識に基づく社会制度又は慣行が、男女の地域社会における活動の自由な選択に対して、影響を及ぼさないよう配慮されること。

(3) 男女が社会の対等な構成員として、自らの意思によりあらゆる場の方針の立案及び決定の場に参画する機会が確保されること。

(4) 家族を構成する男女が、相互の協力と社会支援の下に、子育て、家族の介護その他の家庭生活における活動及び職場、学校、地域等における社会的活動とを両立できるよう配慮されること。

(5) 男女が対等な関係の下に、互いの性に関する理解を深め、妊娠、出産その他の健康についての自らの意思が尊重されるとともに、生涯にわたる心身の健康が守られること。

(6) 男女共同参画が、国際社会における取組と密接な関係を有することを考慮し、国際的協調の下に推進されること。

(市の責務)

第4条 市は、前条各号に定める基本理念にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策を総合的に策定し、及び実施するものとする。

2 市は、男女共同参画を推進するに当たっては、市民及び事業者と協働するよう努めるとともに、国及び他の地方公共団体と連携して取り組むものとする。

3 市は、男女共同参画の推進に関する施策を実施するために必要な体制の整備及び財政上の措置その他必要な措置を講ずるものとする。

(市民の責務)

第5条 市民は、男女共同参画について理解を深め、基本理念にのっとり、家庭、学校、職場、地域その他のあらゆる分野において自ら積極的に参画し、性別による固定的な役割分担意識に基づく制度及び慣行の改善その他の男女共同参画の推進に寄与するよう努めなければならない。

2 市民は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、男女共同参画の推進に寄与するよう努めなければならない。

2 事業者は、男女がともに職場における活動と家庭等における活動との両立ができるよう、職場環境の整備に努めなければならない。

3 事業者は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(性別による権利侵害等の禁止)

第7条 何人も、家庭、学校、職場、地域その他のあらゆる場において、次に掲げる行為を行ってはならない。

(1) 直接的であるか間接的であるかを問わず、性別を理由とする差別的な行為

(2) 配偶者間その他の男女間における暴力的行為(精神的な苦痛を著しく与える行為を含む。)

(3) セクシュアル・ハラスメント

(公衆に表示する情報に関する留意)

第8条 何人も、公衆に表示する情報において、次に掲げる表現を行わないように努めなければならない。

(1) 性別による固定的な役割分担意識を助長させる表現

(2) 男女間における暴力的行為等を助長させる表現

(3) 過度の性的な表現

第2章 男女共同参画の推進に関する基本的施策

(男女共同参画推進計画)

第9条 市長は、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、男女共同参画の推進に関する基本的な計画(以下「推進計画」という。)を定めなければならない。

2 市長は、推進計画を策定するに当たっては、市民の意見の反映に努めるとともに、会津若松市男女共同参画審議会の意見を聴かなければならない。

3 市長は、推進計画を定めたときは、速やかに、これを公表しなければならない。

4 前2項の規定は、推進計画の変更について準用する。

(施策の策定等に当たっての配慮)

第10条 市は、男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及びこれを実施するに当たっては、男女共同参画の推進に配慮するものとする。

(市民及び事業者の理解の促進)

第11条 市は、男女共同参画の推進について市民及び事業者の理解を深めるため、広報活動等必要な措置を講ずるものとする。

(市民及び事業者の活動への支援)

第12条 市は、市民及び事業者が行う男女共同参画の推進を図るための自主的な活動に関して、情報の提供その他必要な措置を講ずるものとする。

(雇用等の分野における男女共同参画の推進)

第13条 市は、事業者に対し、雇用の分野において男女共同参画が推進されるように、情報の提供その他必要な支援を行うよう努めなければならない。

2 市は、必要があると認めるときは、事業者に対し、男女の就業の状況その他の男女共同参画の状況について報告を求めることができる。

(教育の場における男女共同参画の推進)

第14条 市は、学校教育をはじめとするあらゆる分野の教育の場において、男女共同参画に対する理解を深めるため、ジェンダーにとらわれない、人権に基づいた男女平等の意識づくりなど必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(積極的改善措置)

第15条 市は、あらゆる分野における活動において、男女間に参画する機会の格差が生じている場合は、市民及び事業者と協力し、積極的改善措置が講じられるよう努めるものとする。

(調査研究)

第16条 市は、男女共同参画推進に関する施策の策定及び実施に関し必要な事項について、調査研究を行うものとする。

(拠点となる機能の整備)

第17条 市は、市民及び事業者による男女共同参画の推進に関する取組を支援するための拠点となる機能の整備を行うものとする。

(年次報告)

第18条 市長は、男女共同参画の推進に関する施策の実施状況等について報告書を作成し、公表しなければならない。

第3章 苦情等の処理

(苦情等の申出及び処理)

第19条 市民は、次に掲げる苦情又は相談(以下「苦情等」という。)があるときは、市長に申し出ることができる。

(1) 市が実施する男女共同参画の推進に関する施策又は男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策に対する苦情等

(2) 男女共同参画の推進を阻害する要因により人権が侵害されたことに対する苦情等

2 市長は、前項の規定による苦情等の申出について、関係機関との連携を図るなど適切かつ迅速な対応に努めなければならない。

3 市長は、前項に規定する事務を適切かつ迅速に処理するため、機関を設置するなど必要な体制の整備を行うものとする。

(委任)

第20条 この章に定めるもののほか、苦情等の申出及び処理に関し必要な事項は、規則で定める。

第4章 会津若松市男女共同参画審議会

(設置及び権限)

第21条 男女共同参画の推進のため、市長の附属機関として会津若松市男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、市長の諮問に応じ、男女共同参画の推進に関する基本的かつ総合的な施策及び重要事項について調査審議する。

3 審議会は、男女共同参画の推進に関する施策の実施状況を調査し、市長に意見を述べることができる。

(組織)

第22条 審議会は、委員10人以内で組織し、委員の構成は、男女同数となることを原則とする。

2 委員は、学識経験を有する者及び公募に応じた者のうちから、市長が委嘱する。

3 委員の任期は2年とし、補欠委員の任期は前任者の残任期間とする。ただし、再任を妨げない。

(委任)

第23条 この章に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

第5章 雑則

(委任)

第24条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成16年4月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の際現に市により策定されている男女共同参画の推進に関する計画は、第9条の規定により策定された推進計画とみなす。

会津若松市男女共同参画推進条例

平成15年12月19日 条例第29号

(平成16年4月1日施行)