水道事業会計の『しくみ』

公開日 2026年07月03日

本ページでは、決算書によく出てくることばを、イラストでやさしく解説していきます。
初めての方は、まず「水道のお金の『しくみ』」のページをご覧いただくと、より分かりやすくなります。
水道事業会計は「公営企業会計」という『しくみ』で管理されています。
大きく分けると、「収益的収支(日々の経営)」と、「資本的収支(施設の更新)」の『二つの会計』に分かれます。その中に減価償却費・長期前受金戻入・内部留保資金などのことばが登場します。

二つの会計

収益的収支(しゅうえきてきしゅうし)

水道料金などの「収益」と、運営にかかる「費用」を対比させ、1年間の経営成績をあらわすもの

毎年繰り返し発生する、日々の経営のお金の出入りです。家系でいう「給料」と「ふだんの支払い」にあたります。
 

  • 収益:水道料金、加入金、長期前受金戻入 など
  • 費用:人件費・電気代(動力費)、薬品費、修繕費、支払利息、減価償却費 など

 

収益 - 費用 = 純利益(足りなければ純損失)


ポイントは、費用の中に、実際には現金が出ていかない「減価償却費」が含まれていたり、収入の中に、実際には現金が入ってこない「長期前受金戻入」が含まれていること。

収益的収支

減価償却費(げんかしょうきゃくひ)

長く使う高額な施設の建設費を、一度に費用とせず、使える年数で割って毎年すこしずつ「費用」にするもの

浄水場や水道管は、何十年も使う高価な財産です。買った年に全額を費用にすると、その年だけ大赤字になってしまいます。
そこで使用できる年数(耐用年数)で割り、毎年すこしずつ費用として計上します。たとえば40億円の施設を40年使うなら、毎年1億円ずつです。
 

最大のポイント:帳簿上では費用でも、現金は出ていきません


そのため、その分のお金が事業の手元に残ります。これが将来の施設更新の備え(内部留保資金)になります。

減少償却費

長期前受金戻入(ちょうきまえうけきんれいにゅう)

補助金でつくった施設の分を、毎年すこしずつ「収益」に振りかえる調整。減価償却費とセットで考えると分かりやすい

施設をつくるとき、国などから補助金を受け取ることがあります。
公営企業会計制度では、これを受け取った年に一度に収益とせず、「長期前受金」としていったん預かり、対象施設の減価償却に合わせて毎年すこしずつ収益に振りかえます。これを長期前受金戻入といいます。
 

なぜ必要?
補助金でつくった施設の分まで料金を回収すると、利用者から料金を取りすぎることになるため


そこで、費用である減価償却費と対になるように、収益側でも毎年すこしずつ収益に振りかえ、料金で回収すべき範囲を適正にしています。この長期前受金戻入も、現金を伴わない収益です。

長期前受金戻入

資本的収支(しほんてきしゅうし)

施設の建設・更新や、借りたお金の返済など、将来にわたる資産に係るお金の収支

大きな投資に係るお金の出入りです。家計でいう「家の建て替え」と「住宅ローンの返済」にあたります。
 

  • 収入:企業債(借入金)、国庫補助金、出資金 など(家計でいう”住宅ローンや貯金”)
  • 支出:建設改良費(管路更新・施設整備)、企業債償還金(元金の返済)など


特徴:施設整備や返済には多くの資金が必要なため、多くの場合、支出が収入を上回り、不足額が生じます。


この不足をどう埋めるのか、そのカギになるのが「留保資金」です。

資本的収支

留保資金(りゅうほしきん)/内部留保資金(ないぶりゅうほしきん)

現金の動かない費用・収益によって、事業の内部にたまっていくお金、資本的収支の不足を補う財源になる

減価償却費や長期前受金戻入のように、現金の出入りを伴わない項目があるおかげで、事業の内部に資金がたくわえられます。
 

  • 減価償却費は現金が出ないため、資金が残る(+)
  • 長期前受金戻入は現金が入らない収益なので、差し引く(-)


イメージ:留保資金 = 減価償却費 - 長期前受金戻入


この留保資金が、資本的収支の不足額を補填する主要な財源になります。
そのため、減価償却費は「将来の更新のための積み立て」とも呼ばれます。

留保資金

全体のながれ -ことばがつながると、見えてくるー

収益的収支のなかで生まれた留保資金(主に減価償却費)が資本的収支の不足額を補てんし、施設の更新につながります。
 

この循環がうまく回ることで、きれいな水を次の世代まで安定して届けることができます。


近年は、施設の老朽化と人口減少が同時に進み、この循環を維持することがむずかしくなっています。料金のあり方を含めた検討が、全国の水道事業に共通する課題です。

全体のながれ

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