文化財についての意見交換会を開催しました!

公開日 2024年01月17日

令和5年10月22日(日)に生涯学習センター(會津稽古堂)にて「文化財についての意見交換会」を開催しました。

 

意見交換会のテーマ

1 民俗芸能や祭礼等の、伝統行事の継承に取組んでいる地域の話を聞きながら、歴史文化継承の意義や問題点などについての意見交換を行う
2 地域に残る歴史資源の保存や活用方法についての情報交換を行う

開催内容

第1部 地域の祭礼や伝統行事の継承についての事例報告
 1 八田野神楽について(八田野町内会区長 渡部浩己さん)
 2 一ノ堰の祭礼・盆踊りについて(一ノ堰町内会区長 石井良一さん)
 3 材木町三丁目の夏祭りについて(材木町三丁目町内会区長 佐藤善美さん)
第2部 地域に残る歴史資源とその保存・活用について

 第1部 地域の祭礼や伝統行事の継承についての事例報告

 地域の祭礼を継承する取り組みについて、それぞれの町内会の区長さんからご報告を頂きました。

1 八田野神楽について

 八田野神楽の概要

八田野町内会会長.jpg 八田野町内会区長 渡部さん

 河東町八田地区では、市指定無形文化財である「八田野神楽」が継承されています。「八田野神楽」は明治時代初頭に、伊勢流の流れをくむ神楽が、東京都浅草から伝わったのが始まりだとされています。戦争による中断もありながらも、平成30年度まで継続的に実施されました。
 春のお彼岸には、無病息災と五穀豊穣を祈願し町内会の各世帯を廻り、「門(かど)うち」と呼ばれる長獅子による舞を行っていました。

八田野神楽保存会解散への動き

 神楽の備品の劣化や会員の高齢化、継承者の減少、新型コロナウイルス感染症拡大による活動自粛に伴い、八田野神楽保存会の活動継続が困難になりました。そのため解散に向けた協議を行い、八田野神楽を地域の宝として後世に伝えるため、令和2年11月に八田集落北側にある神明神社前に、記念碑を建立しました。

「八田野神楽」復活にむけて

 令和4年3月以降、文化庁による地域文化財総合活用推進事業にかかる文化芸術振興補助金を活用し、獅子頭やお面、着物などの各備品を修繕・更新したことをきっかけに、青年会が中心となり、保存会OBの支援を受けながら活動を続けることになりました。今後の活動として、長獅子の練習を行い、継承にむけて取り組んでいきます。

 

 2 一ノ堰の祭礼・盆踊りについて

一ノ堰の盆踊りの概要

一ノ堰区長.JPG 一ノ堰町内会区長 石井さん

 門田町一ノ堰地区では、毎年8月23日・24日に、「一ノ堰盆踊り」を開催しています。この盆踊りは、戦前から行われており、中断を経て、昭和57年から現在に至るまで継続して実施されてきました。また、「こども盆踊り」の部を設け、子どもたちに積極的に参加してもらったり、アニメやゲームなどのキャラクターに扮して踊る「仮装盆踊り」も行ったりしています。

こども神輿について

 8月23日に、地元の磐梯神社でお祓いを受けて巡行します。今年は総勢50名ほどの行列で大変盛り上がりました。

盆踊りについて

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、令和2年から令和4年まで実施できませんでした。今年の開催についても、実行委員会で賛否両論ありました。しかし、このままでは消滅してしまうとの思いから開催したところ、平日にも関わらず大勢のみなさんに参加してもらいました。

お囃子会について

 今から30 年ほど前に民謡をやっている人たちから教えてもらったことをきっかけに、一ノ堰お囃子会として現在は、毎年7月末から十数回練習しています。お囃子会の子どもたちは、小学2、3年生で縦笛(リコーダー)を使用するので、縦笛を使って指使いを覚えてもらい、慣れたところで横笛に移行して練習を行っています。

 

3 材木町三丁目の夏祭りについて

材木町三丁目の夏祭りの概要

材木町三丁目.JPG 材木町三丁目町内会区長 佐藤さん

 材木町三丁目の夏祭りは、これまで山車、神楽、盆踊りを中心にして開催されてきました。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、昨年と一昨年は開催できませんでした。また、近年、町内会役員が少なくなってきたこともあり、このままでは、地域への愛着や一体感が薄れていってしまうと考え、今年は盆踊りと出店を行うことにしました。

材木町三丁目の夏祭りからみる文化の継承のあり方

 材木町三丁目の夏祭りは、「町民参加型の踊りを目指す」ことをコンセプトに実施しています。開催にあたっては、隣の町内会にも声をかけ、チラシを回覧したところ、子どもと一緒に多くの方が参加してくれました。当初各町内会で子供が減っているためできないと思っていましたが、今年の成果から、やり方次第では継承することができるのではないかと考えるようになりました。地域への愛着と一体感を構築するための夏祭りでしたが、小さい町内会で行われている祭りが、他の地域にも広がれば、地域全体の文化の継承の糸口になるのではないかと思います。

 

第2部 地域に残る歴史資源とその保存・活用について

 それぞれの地域に残る歴史資源について参加者の皆さんに意見交換をしていただきました。ここではその一部をご紹介いたします。

 

 ● 湊町在住の男性
 湊地区では鉄滓(てっさい)と呼ばれる製鉄の際に発生する鉄くずが残る遺跡が多くあり、毎年鉄づくりの実証実験をしています。また、湊町には鵜ノ浦(うのうら)城などの山城が多くあり、これらの歴史資源を案内する手だてがほしいと思っています。
 ● 材木町在住の男性
 文化財は有形が中心ですが、無形の文化財の伝承なども大切だと思います。我々が継承し、話を伝えていかないとわからなくなるので、ご年配の方に聞いて残していきたいと思っています。当時の風景や習慣も地域の宝だと思います。
 ● 河東町在住の女性
 河東町では、かつてこども彼岸獅子があり、各地区をまわっていました。しかし、周辺の地区の理解が得られずやめてしまった経過があります。そのため、お祭りで祀る対象がしっかりと周知されていて、こども彼岸獅子が各地区をまわる理由を周辺の地区も理解していれば、無くなることはなかったと思います。

 

 皆さんのご参加ありがとうございました。

 

お問い合わせ

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