令和6年度施政方針

公開日 2023年02月22日

更新日 2024年02月21日

施政方針とは、新年度における市長の市政運営に対する基本的な考え方について述べたものです。

 

施政方針(印刷用)

【はじめに】

 はじめに、令和6年能登半島地震により、お亡くなりになった方々、ご遺族の方々に心からお悔やみを申し上げますとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げます。
    また、一日も早い復旧・復興に向けて尽力されている消防、警察、自衛隊、災害ボランティアの皆様に深く敬意を表するところであります。

 改めまして、令和6年度会津若松市一般会計予算をはじめとする諸案件のご審議をお願いするにあたり、市政執行に取り組む私の所信と施策の大綱を申し上げ、ご理解とご協力を賜りたいと存じます。
 

【施政にあたっての基本的な認識・考え方】

 私は、昨年7月の市長選挙におきまして4期目の市政運営をお預かりすることとなりました。市民の皆様からの負託をいただきましたことに心から感謝申し上げますとともに、市政の舵取りを担う重責を改めて実感しているところであります。

 まず、昨今の社会情勢に目を向けますと、新型コロナウイルス感染症が5類感染症となり地域経済の回復や活性化が期待された中、国際情勢や円安に起因した物価上昇は、長らく続いたコロナ禍の影響に追い打ちをかけ、依然として市民の日常生活や企業の経済活動は厳しい状況が続いております。
 一方で、企業活動においては、回復の兆しが見える業種もあることから、今後も的確に対策を講じながら、市民の皆様が安心して暮らしていくことができる地域社会の構築に取り組んでまいります。

 さらに、昨年末、国立社会保障・人口問題研究所が公表した「地域別将来推計人口」によると、全国的な人口減少と同様に、本市の人口は、2050年には76,262人となり、2020年と比較すると35%減少すると推計されたところであります。
 こうした中、本市におきましては、少子化・人口減少対策を最重点課題と位置づけ、令和5年度には関連するあらゆる分野において、施策や事務事業の大幅な充実と強化に取り組んだところであります。
 今後も、少子化・人口減少への強い危機感を持ち、結婚・出産・子育て支援による自然増と、若者の地域内定着・流入の促進などによる社会増の取組を柱としながら人口減少を緩和し、未来の子どもたちによりよい地域を引き継いでいくことが我々の責務と考えております。

 また、第7次総合計画のまちづくりのコンセプトである「スマートシティ会津若松」の推進にあたっては、本年度に策定する新たな「まち・ひと・しごと創生総合戦略」など地方創生の取組と連動させながら、会津大学やAiCTコンソーシアムとの連携により、市民生活を取り巻く様々な分野で、デジタルサービスの実装と導入支援などに取り組み、生活の利便性向上や地域産業の生産性向上等を図ることで、将来に向けて持続力と回復力のある力強い地域社会と、安心して暮らすことのできるまちづくりを進めてまいります。
 

【令和6年度の市政運営の考え方及び取組】

 さて、平成29年2月に策定した「第7次総合計画」については、計画期間の終盤を迎えております。
 令和6年度におきましても、総合計画のまちづくりのビジョンで掲げた「ともに歩み、ともに創る『温故創しん』会津若松」に込めた「参画と協働による地域資源を活かした新しい会津若松の創造」を基本政策とし、市民の皆様の様々なニーズをしっかりと受け止め、社会情勢の変化に柔軟に対応しながら、誰もが「住み続けたい」、「訪れたい」と思う、「選ばれるまち」の実現に向けて、以下にお示しする5つの政策目標を柱として市政運営に臨んでまいります。

(政策目標1 未来につなぐひとづくり)

 1点目は、「未来につなぐひとづくり」についてであります。

 はじめに、子ども・子育て支援につきましては、不妊治療等における経済的負担の軽減を図るとともに、「こども家庭センター」の設置による児童福祉と母子保健の一体的な支援体制の構築、さらには医療的ケア児等コーディネーターの配置などに取り組んでまいります。
 また、教育・保育施設等の利用者負担額に係る多子世帯の軽減措置の対象を18歳までとする独自の支援策の継続や、大戸小学校区へのこどもクラブの新設など、引き続き、安心して出産と子育てができる地域の実現に努めてまいります。

 学校教育につきましては、「あいづっこ学力向上推進計画」の着実な推進による児童生徒の学習意欲や学力の向上に努めるとともに、「デジタルドリル」も活用しながら個々に適した学びを支援してまいります。
 さらに、市立学校の給食について、今後も食材料価格の上昇が見込まれる中、これまで物価高騰対策として行ってきた給食費の額を据え置く対策を継続することで、子育て世代の経済的負担の軽減を図ってまいります。
 また、学校給食費の無償化については、継続して国に要請してまいります。
 加えて、休日における部活動について、運動部や文化部の週末合同練習会の実施により、地域への完全移行を着実に進めるとともに、学校行事や校外学習、放課後を利用した子どもたちの体験活動については、今後も学校運営協議会と地域学校協働本部との連携・協働のもと取り組むなど、地域総ぐるみで子どもたちを育てる環境づくりを推進してまいります。

 スポーツ分野におきましては、鶴ヶ城ハーフマラソン大会をはじめとするスポーツイベント等を通して「する・観る・支える」それぞれのスポーツの楽しみ方を様々な団体と連携し広めることで、子どもから高齢者までの誰もがスポーツに関わる機会を創出してまいります。

 さらに、「未来につなぐひとづくり」においては、多くの市民の皆様が自らの知識・経験・能力を活かしあうことが重要であり、その推進が、まさに私が目指す「協働」の姿であります。地域の活性化に向け、NPOなど多様な主体が一層活躍できる市民活動の拠点づくりを進めるとともに、「つながりづくりポイント事業」により地域活動への参画を推進し、人と人とが支えあう社会の構築に努めてまいります。
 

(政策目標2 強みを活かすしごとづくり)

 2点目は、「強みを活かすしごとづくり」についてであります。

 産業分野におきましては、長引く物価高騰等の影響緩和に努めながら、魅力あるしごとづくりや働く場の創出などにより、若者の定住・転入促進や、まちの活力の維持・創造につなげてまいります。
 はじめに、農業につきましては、「未来ファーマースタート支援事業」等の推進により、地域の担い手となる人材の確保に努め、需要に応じた米の安定的な生産や、収益性の高い農業経営への転換を図ることで、本市農業の持続的発展と農業所得の向上に努めてまいります。
また、開始から10年を迎えた「あいづ食の陣」については、新たな食材として「会津みしらず柿」の追加や、年間を通して本市が誇る季節ごとの食材や料理に合った会津清酒の紹介を行うとともに、生産者と飲食店などをマッチングする「ジモノミッケ!」の普及支援により、地産地消の推進と農産物のさらなるブランド化に取り組んでまいります。

 さらに、市街地に近い里山などにおいても、有害鳥獣の目撃や被害が増加していることから、地域と連携した鳥獣被害発生要因の分析や侵入防止対策の実施により、農作物被害の減少と生産者の営農意欲の維持・向上に努めてまいります。加えて、会津地域17市町村で整備した「会津総合射撃場」を拠点とした捕獲従事者の一層の技術向上を図るとともに、広域的な鳥獣被害対策についても検討してまいります。

 商工業につきましては、原油価格・物価高騰の影響を受ける事業者の方々への支援や、デジタル地域通貨「会津コイン」を活用した消費喚起策などを実施してきたところであり、今後も、苦しい経営状況を強いられている中小企業の方々の資金繰り支援の継続や、本市経済を支える地元企業の魅力発信などを通じて、人材の確保に努めてまいります。
 また、イオングループとの地域貢献協定のもと新たな地域での催事、商談等を実施するほか、会津漆器の商品開発や展示会出展への新たな支援など、本市産品の販路拡大・販売促進による地域内経済の活性化を図ってまいります。

 さらに、本市の雇用拡大と定住人口の増加に重要な役割を担う、企業誘致につきましては、引き続きスマートシティAiCTを中心としたICT関連企業のさらなる集積と誘致企業の地元定着や新規雇用に係る支援を行うとともに、企業誘致の受け皿となる新たな工業団地の整備に向けて取り組んでまいります。

 次に、地域経済に波及効果の高い観光産業についてであります。
 本市への観光入込数は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行を機に回復傾向にあり、特に、外国人観光客につきましては、令和4年10月の入国規制緩和などを受け、非常に多くの方々にお越しいただいているところであります。
 この機会を逃すことなく、10月に開催予定の「日本遺産フェスティバル」を契機として、全会津が連携しながら広域観光の推進を図るとともに、国際競争力の高いスノーリゾート形成促進事業への継続的な参画により、冬の閑散期を中心としたインバウンド需要の更なる拡大に努めてまいります。
 さらに、滞在型観光の推進による観光消費額の増加と観光需要の平準化に積極的に取り組み、観光産業全体の活性化に注力してまいります。
 温泉地域の魅力向上に向けては、各旅館と温泉協会が連携して取り組む景観の改善や高付加価値化を支援するため、その財源となる、入湯税の引き上げについて検討してまいります。
 

(政策目標3 安心、共生のくらしづくり)

 3点目は、「安心、共生のくらしづくり」についてであります。

 高齢化が進展している現代社会におきましては、健康寿命を延ばすことが重要であることから、令和6年度が初年度となる「第3次健康わかまつ21計画」に基づき、若年世代からの生活習慣病の予防や各種健康診査の受診率向上に努めるとともに、高齢者の保健事業と介護予防事業の一体的な取組を市内全域に拡大してまいります。
 また、障がいのある方々が生活するうえで抱える課題の解決を支援する「地域障がい者相談窓口」の増設など、「第4次障がい者計画」等の取組を推進することで、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らせる地域共生社会の実現を目指してまいります。
 加えて、新型コロナウイルス感染症について、今後も状況に応じた感染防止対策を継続するとともに、重症化を予防するワクチンについては、医師会等との連携により定期接種への移行を進めてまいります。

 次に、脱炭素・循環型社会の実現についてであります。
 国際社会の一員として、本市は率先して、2050年までのカーボンニュートラルの実現に向けて取り組む考えであり、国から選定された「脱炭素先行地域」において、2030年までの民生部門における電力消費に伴う二酸化炭素排出量の実質ゼロを目指し、他の自治体に先駆け、様々な主体に参画いただきながら再生可能エネルギーの導入や省エネルギー化の推進などに取り組んでまいります。

 さらに、将来にわたって本市の生活環境を良好に維持していくためには、特に、令和8年3月の新たなごみ焼却施設の稼働までに、燃やせるごみの排出量を大きく削減することが必要不可欠であります。
 そのため、市民・事業者の皆様はもとより、会津若松地方広域市町村圏整備組合の構成市町村と危機意識を共有しながら、ごみの減量化や再資源化に向けた取組の充実・強化を図るとともに、「ごみ処理有料化」も含めたあらゆる施策について検討してまいります。

 また、市民の皆様の憩いの場となる公園施設につきましては、遊具や建築物等の計画的な補修、更新を行うことで、今後も安心して、楽しくご利用いただけるよう、「第2期公園施設長寿命化計画」を策定してまいります。
 

(政策目標4 安全、快適な基盤づくり)

 4点目は、「安全、快適な基盤づくり」についてであります。

 日本各地で自然災害が頻発化、激甚化していること、いつ発生するかわからない災害への備えが重要であることから、「地域防災計画」を全面的に見直すとともに、避難情報などを迅速かつ効率的に伝達する「防災行政無線」の整備や「デジタル防災サービス」の導入により、防災のまちづくりを推進してまいります。

 公衆衛生の要である上下水道事業におきましては、施設の耐震化と統廃合などの機能強化や応急給水拠点の整備を図りながら、安全で良質な水道水の供給と公共用水域の水質保全に取り組んでまいります。
 また、集中豪雨等による浸水被害の軽減を図り、市民生活と財産を守るため、雨水幹線の整備や水路の改修に継続して取り組んでまいります。

 さらに、人口減少や高齢化の中にあっても、誰もが快適で安心して生活できる生活環境の構築と持続可能な都市づくりを進めていくため、「都市計画マスタープラン」の見直しや、居住・都市機能の誘導を図るモデル地区の検討に加え、先人から受け継いだ歴史的なまちなみや建造物などの次世代への継承にも取り組んでまいります。

 また、公共交通につきましては、年代や障がいの有無にかかわらず利便性の高い交通手段を目指し、これまでの実証事業の効果を踏まえながら、市街地における「リクエスト型最適経路バス」の導入を目指してまいります。

 空き家につきましては、利活用や改修への支援を継続するとともに、空家法の一部改正を踏まえ、地域において課題となっている適正に管理されていない空き家等への対応について検討してまいります。
 あわせて、人口減少の著しい大戸地区や湊地区においては、空き家を活用し、子育て世帯を対象とする住宅の整備を検討してまいります。
 

(政策目標5 豊かで魅力ある地域づくり)

 5点目は、「豊かで魅力ある地域づくり」についてであります。

 令和6年度は、青森県むつ市との姉妹都市締結40周年を迎える節目の年であります。
 9月には、むつ市の皆様を本市へお招きした記念事業を予定しており、今後の両市における友好交流のさらなる推進と相互理解を深めてまいります。

 定住・二地域居住の推進につきましては、引き続き若年層をメインターゲットとしながら、本市での暮らしに関する情報発信や、首都圏等から移住される方への支援金の給付などを通して、移住者のさらなる増加につなげてまいります。
 また、会津大学など、地元の高等教育機関を卒業し市内に就職される方を奨学金返還支援事業の新たな対象とするなど、就労支援を軸とした若者の地域内定着を促進してまいります。

 こうした取組に加えて、全国各地の多くの皆様から、温かいご支援をいただいている「ふるさと納税」につきましては、返礼品を通じて、本市の魅力が全国へ広がっているところであり、事業者の皆様とも連携しながら、さらなる充実を図り、ご寄附をいただいた方々と本市とのつながりを、地域の活性化につなげてまいります。
 また、「まちの拠点」となる市役所庁舎の整備につきましては、庁舎の建設工事に加え、来庁者駐車場や庁舎周辺道路の整備、さらには仮庁舎等からの移転準備など、令和7年5月の新庁舎開庁に向け着実に進めてまいります。

 県立病院跡地につきましては、子どもの屋内遊び場をはじめとした公共施設と民間収益施設の一体整備に向け、用地の取得を行うとともに、施設の整備・運営を担う民間事業者を選定してまいります。

 会津若松駅前広場の整備につきましては、現在策定を進めている基本計画について市民の皆様へお示しするとともに、関係事業者の皆様と連携しながら基本協定の締結を目指してまいります。

 さらに、行政サービスにつきましては、「書かない」窓口や各種オンライン手続の拡充に加えて、窓口へキャッシュレス決済を導入することで、さらなる利便性の向上に努めてまいります。また、老朽化が進んでいる斎場については基本計画を策定し、新たな施設整備に向けた検討を進めてまいります。

 一方で、これまでお示しした様々な事業の実施にあたっては、市民の皆様に信頼され、社会の変化に適切に対応していくことが必要であり、職員の不祥事や不適正な事務対応の再発防止に向け、内部統制の強化に継続して取り組むとともに、職員一人ひとりの生産性を高めるための働き方改革の取組を定着させてまいります。

 さらに、財政については、最重点課題である少子化・人口減少対策、物価高騰や必要に応じた感染症対策を講じながら、庁舎整備や会津若松地方広域市町村圏整備組合の一般廃棄物処理施設整備などの大型事業に加え、身近なインフラ整備を進めていくとともに、これまでの財政健全化の取組と「行財政改革の取組」を継続し、中長期的な視点のもとで健全な財政運営を図ってまいります。
 

【結び】

 以上、「第7次総合計画」に基づくまちづくりの推進と市政運営の基本的な考え方を申し上げてまいりましたが、総合計画においては、「まち」をつくり運営していくのは「ひと」であるとし、活力あるまちづくりに向け、長期的な安定人口を実現するために「スマートシティ会津若松」の推進や地方創生、さらには総合的な人口減少対策に取り組んでまいりました。

 これまで申し上げてまいりましたように、私は、魅力的な「しごと」がたくさんあり、誰もが自分らしく「生き生きと暮らせるまち」を実現する必要があると考えており、今後も、これまでの歩みを止めることなく、本市に生まれる、住む、訪れる、すべての皆様が心ときめくまちを目指し、令和9年度を開始年度とする新たな総合計画の策定に着手してまいります。

 さらに、会津地域の自治体が抱える共通の課題に対しては、広域市町村圏整備組合や会津総合開発協議会などにより市町村の枠を超えて連携し、それぞれの強みや特徴を活かして会津地域一丸となって取り組んでまいります。
 そして、こうした取組を通してシビックプライドを育み、会津に生まれて良かった、会津に住んで良かったと思える、さらには、会津を離れた子どもたちが将来、会津に戻るという選択ができる、「帰っておいで」と自信を持って伝えることができる地域、会津若松市を創造してまいります。

 結びに、今後も希望と夢を叶えることができる「まち」を目指し、笑顔で輝きながら生きていける会津若松市の実現に向けて、全力を傾注し、取り組んでまいりますので、市民の皆様並びに議員の皆様におかれましては、引き続き市政運営について、一層のご協力を賜りますよう、心から念願申し上げます。
 

お問い合わせ

  • 会津若松市役所 企画調整課 企画政策グループ
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