令和7年度施政方針

公開日 2023年02月22日

更新日 2025年02月20日

施政方針とは、新年度における市長の市政運営に対する基本的な考え方について述べたものです。

 

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令和7年度施政方針[PDF:402KB]

【はじめに】

 令和7年度会津若松市一般会計予算をはじめとする諸案件のご審議をお願いするにあたり、市政執行に取り組む私の所信と施策の大綱を申し上げ、ご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 

【施政にあたっての基本的な認識・考え方】

 さて、昨今の社会や経済の状況に目を向けますと、インバウンドや国内旅行需要の拡大、米価の上昇など、本市の基幹産業である観光や農業分野においては明るい兆しも見られるものの、国際情勢や円安などに起因する物価高が続いており、市民生活は依然として厳しい状況にあるものと考えております。
 また、出生数の減少や、進学・就職に伴う若年層の転出を主な要因として、全国の多くの地方都市と同様、本市の人口は減少が続いており、こうした状況が続けば、今後、地域産業の持続的な成長だけでなく、地域コミュニティや行政サービスの維持にも少なからず影響を与える可能性があるものと危惧しているところであります。
こうした現状認識のもと、まず、令和7年度の市政運営にあたって、特に注力してまいりたい3つの事項について、私の思いを述べさせていただきます。
 1つ目は、少子化・人口減少対策であります。
 本市ではこれまでも、少子化・人口減少を最重点課題として捉え、結婚、妊娠・出産、仕事、移住などに合わせた支援策を構築するとともに、さまざま機会を通じて、少子化・人口減少の現状や対策などについて市民の皆様にお伝えしてまいりました。
 令和7年度におきましては、市民の皆様や移住等を検討されている方などの意見も取り入れて支援策の拡充等を行うとともに、それぞれの業務が少子化や人口減少への対策につながっていくという意識を職員とともに共有しながら、本市が直面するこの難題に取り組んでまいりたいと考えております。
 2つ目は、ごみ排出量の削減であります。
 燃やせるごみにつきましては、昨年5月に「ごみ緊急事態」を宣言し、市民の皆様とともに削減に取り組んでまいりました。
 この取組を通じて、資源循環型社会の形成やごみ処理に係る行政サービスを維持していくためには、市民の皆様とともにごみの分別と減量を確実に継続して行っていくことが必要であるという思いに至ったところであります。
 そのため、今般、パブリックコメントや廃棄物処理運営審議会からの答申等を踏まえ、令和8年4月からの「家庭ごみ処理有料化」の実施方針を策定したところであり、方針を市民の皆様と共有し、ご理解をいただきながら、有料化に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。
 3つ目は、市役所新庁舎と市民サービス向上であります。
 本年5月に供用を開始する市役所新庁舎は、行政サービスの拠点とともに、市政や観光情報の発信、災害対応の拠点となるものであり、人が集い、まちに賑わいを創出する「みんなの庁舎」として、広く皆様にご利用いただき、親しまれる施設にしてまいりたいと考えており、デジタル化による「書かない窓口」や「現金のいらない窓口」などをさらに推進するとともに、相談スペースを充実させることで、利便性が高く、誰もが安心してサービスが受けられるよう、窓口や相談の機能を強化してまいります。
 加えて、新庁舎の供用開始にあわせ、地域コミュニティの持続的な運営に向けた支援体制の強化や、移住・定住促進に向けたシティプロモーションなどの行政課題に対応するために、行政機構の見直しを行い、業務の効率化と市民サービスの質のさらなる向上に努めてまいります。
 以上3つの事項についてしっかりと心に留め、令和7年度の市政運営を行ってまいります。
 続いて、「第7次総合計画」に掲げる政策目標に沿って、その実現に向けた取組をお示ししてまいります。

(政策目標1 未来につなぐひとづくり)

 1点目は、「未来につなぐひとづくり」についてであります。
 はじめに、子ども・子育てにつきましては、新たに「1か月児健康診査」への費用助成を開始するほか、複数学区の待機児童を受け入れる「中央こどもクラブ」の新設、不妊治療における経済的負担の軽減、多子世帯を対象とした教育・保育施設等利用者負担の減免措置など、切れ目のない支援を行い、令和7年度を始期とする「こども計画」に掲げる、全ての子ども・若者が身体的・精神的・社会的に幸福な生活を送ることができるまちの実現を目指してまいります。
 学校教育につきましては、「あいづっこ学力向上推進計画」に基づき、学習用タブレットなどICTの効果的な活用や「あいづっこ数学サポートティーチャー」の派遣等を通じ、個別最適な学びによるつまづきの解消と子どもたちが協働的・主体的に学び合う授業への転換を図りながら、児童生徒の学力向上に努めてまいります。
 また、市立学校の給食につきましては、物価高騰対策として引き続き、保護者から徴収する1食あたりの給食費単価を据え置くことで子育て世代の経済負担の軽減を図るとともに、学校給食費の完全無償化については、国の動向等を注視しながら、継続してその実現を要望してまいります。
 さらに、休日における部活動の地域への完全移行を見据え、関係団体との連携のもと「あいづっこスポーツ・文化教室」を開催し、生徒が希望する部活動に取り組める体制を整備することで、各生徒の技術力の向上だけでなく、自主性や協調性、連帯感及び社会性の形成を促進してまいります。
 スポーツ分野におきましては、鶴ヶ城ハーフマラソン大会について、参加者との交流を通して、関係者や地域と一体となってスポーツを楽しむことができる大会として開催するほか、プロスポーツの観戦やトップアスリートによる体験教室の開催などを通じ、いつでも、どこでも、誰でも、いつまでもスポーツを楽しむことができるまちを目指してまいります。
 また、社会参画分野におきましては、年齢や性別、障がいの有無にかかわらず、それぞれの立場を信頼、尊重し、特性を活かしながら、公共的な課題の解決などに取り組む「協働」をさらに推進するため、市民活動の拠点としての利活用に向けて栄町第二庁舎の改修を進めるほか、市民によるボランティア活動や地域づくり活動などを後押しする「つながりづくりポイント事業」のさらなる充実を図ってまいります。
 

(政策目標2 強みを活かすしごとづくり)

 2点目は、「強みを活かすしごとづくり」についてであります。
 はじめに、農業につきましては、地域おこし協力隊制度を活用し、本市農業の魅力発信とともに農業技術の実地研修を行い、新規就農の促進を図る「農の夢追いプロジェクト事業」や、移住就農を支援する「未来ファーマースタート支援事業」などにより、多様な担い手の確保に努めるとともに、令和6年度に設立した「オーガニック推進協議会」を通じた有機農産物の生産・流通・消費の拡大やスマート農業のさらなる推進、農業生産基盤の整備などに取り組むことで、本市農業の持続的発展と農業所得の向上に努めてまいります。
 次に、商工業につきましては、デジタル地域通貨「会津コイン」の活用や、商品券の発行による消費喚起策などを通じ、引き続き地域経済を下支えしながら、高校生・大学生向けの職業体験イベントや、新卒就職者を対象とした早期離職防止に向けた合同研修会、会津漆器木地師後継者インターンシップ事業などの取組を通じて、中小企業・小規模企業や地場産業における人材の確保と後継者の育成を支援し、地域経済の持続的な成長を図ってまいります。
 さらに、イオングループとの地域貢献協定のもと実施している「会津フェスタ」等の取組により、引き続き本市産品の販路拡大・販売促進による地域内経済の活性化に取り組んでまいります。
中心市街地活性化につきましては、関係団体や市民の皆様との協働により、まちなかの商業施設跡地を活用し、幅広い年代の方々にとって「居心地が良く、自然と人が集まる場所」を創出することで、魅力・活力あふれるまちづくりを推進してまいります。
 また、企業誘致につきましては、引き続きスマートシティAiCTを中心に、ICT関連企業のさらなる集積と誘致企業の地元定着を図り、新規雇用に係る支援などを行うとともに、新工業団地の整備に向け準備を進めてまいります。
 次に、観光産業についてであります。
 本市における観光需要はコロナ禍以前と同水準まで回復しつつあり、特に、東山・芦ノ牧温泉への昨年の外国人宿泊者数は、過去最高を記録いたしました。こうしたインバウンドの拡大による地域経済への波及効果をさらに高めていくため、「アクションプラン」等を策定し、魅力的な観光コンテンツの造成や受け入れ体制の整備、効果的なプロモーションの推進などに取り組んでまいります。
 また、「観光振興計画」に基づき、引き続き、教育旅行、ワーケーションの誘致などを通じた観光入込の平準化や、滞在型観光の推進による観光消費額の向上を図るとともに、本年10月からの10年間、入湯税を引き上げ、その財源を原資として、温泉地域の修景等への支援に活用し、観光産業の活性化に取り組んでまいります。
 

(政策目標3 安心、共生のくらしづくり)

 3点目は、「安心、共生のくらしづくり」についてであります。
 はじめに、地域福祉につきましては、令和7年度から「重層的支援体制整備事業実施計画」に基づき、単独の福祉制度の枠組みでは円滑な支援が困難な複雑化・複合化した地域生活課題に対応できるよう、分野横断的な支援体制の充実を図り、「第2期地域福祉計画」に定める「会津若松市版地域包括ケアシステム」の実現を目指してまいります。
 また、高齢者福祉につきましては、喫緊の課題である介護分野における人材確保策として、市内の介護事業所に新たに就労した方に支援金を支給することで、介護事業所への求職者の増加や早期離職の防止を図り、持続可能な介護サービスの提供を目指してまいります。
 次に、脱炭素・循環型社会の実現についてであります。
 国の選定を受けた「脱炭素先行地域」の取組として、再生可能エネルギー発電設備などの導入に対する支援を継続するほか、新庁舎をはじめとする市の公共施設で市内産再エネ100%電力の使用を開始するなど、地域の脱炭素化を進める取組をさらに強化し、「ゼロカーボンシティ会津若松」の実現を目指してまいります。
 また、猪苗代湖のラムサール条約湿地登録につきましては、先人から引き継いだ貴重な地域の宝を世界にアピールし、次の世代に引き継いでいく好機であり、7月に開催される条約締約国会議での正式登録を目指し、関係自治体と連携して準備を進めてまいります。

 

(政策目標4 安全、快適な基盤づくり)

 4点目は、「安全、快適な基盤づくり」についてであります。
 はじめに、地域防災につきましては、いつ発生するかわからない地震や、近年、頻発化、激甚化している集中豪雨などの自然災害に対して、自助・共助による防災力を強化するため、「地域防災計画」を全面的に改訂するとともに、「防災行政無線」の整備に取り組むことにより、避難情報などを迅速かつ効率的に伝達する仕組みを整え、災害に強いまちづくりを推進してまいります。また、浸水被害の軽減を図るため、雨水幹線の整備や電動水門の改修など、市民生活と財産を守る取組を継続してまいります。
 次に、公衆衛生の要である上下水道事業につきましては、デジタル技術を活用した上水道管路の更新や維持管理など効率的な経営に努めながら、安全で良質な水道水の供給と公共用水域の水質保全に取り組むことで、持続可能な事業運営を図ってまいります。
 また、本年1月から本市発注工事に週休2日工事を本格導入しており、引き続き、建設業における働き方改革の取組を後押ししてまいります。
 さらに、都市づくりにつきましては、令和7年度を始期とする「都市計画マスタープラン」に基づき、人口減少や高齢化の中にあっても、誰もが快適で安心して生活できる生活環境の構築と持続可能なまちづくりを進めてまいります。
 公共交通につきましては、「MyRideどこでもバス」の持続可能で安定的な運行に向けた支援を行うことで、公共交通空白地域の解消や新たな移動需要の創出などに取り組み、公共交通機関全体の利用促進を図ってまいります。
 空き家対策につきましては、引き続き、再利用や改修、解体への支援を行うとともに、空家法に基づく「管理不全空家等」の対応や相続財産管理制度の活用など、空き家の解消や未然防止に向けた取組を進めてまいります。また、民間賃貸住宅を活用した「セーフティネット住宅供給促進事業」を創設し、家賃への支援などを行うことで、住宅確保要配慮者の方々の生活の安定を図ってまいります。

 

(政策目標5 豊かで魅力ある地域づくり)

 5点目は、「豊かで魅力ある地域づくり」についてであります。
 はじめに、地域自治・コミュニティにつきましては、地域づくりの取組のさらなる進展に向けて、より専門的な支援を継続的に行うことができるよう、地域住民の皆様と行政の間をつなぐ中間支援組織について、本市に適した組織の形態や運営方法、人材確保などの検討を進めてまいります。
 次に、定住・二地域居住の推進につきましては、移住給付金の対象拡大や、人口減少の著しい大戸地区や湊地区において、空き家を活用した定住支援住宅を整備する取組を検討するなど、引き続き若年層に重点を置きながらも、分かりやすく効果的な情報発信や、ワンストップでの相談対応などを通じて、幅広い世代の移住者の増加につなげてまいります。
 また、令和7年度は、神奈川県横須賀市との友好都市締結20周年、北海道余市町との親善交流都市締結10周年を同時に迎える節目の年であり、横須賀市並びに余市町の皆様を本市へお招きする記念事業を実施することで、両自治体との友好交流のさらなる推進と相互理解を深めてまいります。
 加えて、全国各地のたくさんの皆様から、温かいご支援をいただいております「ふるさと納税」につきましては、引き続き、返礼品の充実を図ることで、本市の魅力を発信してまいります。
 まちの拠点となる、県立病院跡地につきましては、「利活用基本計画」の考え方に基づき、1月から、子どもの屋内遊び場を核とした公共施設の整備・運営を担う民間事業者の公募を行っており、着実に事業を進めてまいります。また、会津若松駅前につきましては、駅前公園を利用したイベントなどを通じ、賑わいの持続的な創出に向けた検討を進めながら、安全で利便性が高く、長く市民の皆様に愛される駅前広場となるよう、整備に向けて取り組んでまいります。
 ICTなどを活用して、魅力的な仕事づくりと市民生活の利便性や快適性を高める「スマートシティ会津若松」の取組につきましては、人口減少社会の中にあって、ますます重要度を増しており、引き続き、AiCTコンソーシアムや会津大学と連携しながら、デジタルサービスの実装や利用拡大を進めていくとともに、県や他自治体とのデータ連携基盤やサービスの共同利用に取り組み、さらなる利便性の向上に努めてまいります。
 さらに、行政運営につきましては、職員一人ひとりが高い生産性を発揮するための働き方改革の定着を図るため、「働き方改革課題解決特別タスクフォース」の取組を継続するほか、新たに、文書の作成補助や要約などの事務に活用する生成AIを導入し、業務の効率化と高度化を通じた行政サービスの向上を図ってまいります。
 財政については、最重点課題である少子化・人口減少対策や物価高騰対策に対し、的確に予算を配分しながら、新たなごみ焼却施設や斎場などの大型事業に加え、身近なインフラの整備を進めていくとともに、これまでの財政健全化の取組と「行財政改革の取組」を継続し、中長期的な視点のもとで健全な財政運営を図ってまいります。
 

【結び】

 以上、「第7次総合計画」の政策目標に沿って令和7年度の取組の基本的な考え方を述べさせていただきました。
 「第7次総合計画」の計画期間は終盤を迎えておりますが、これまでの歩みを止めることなく、各政策目標の実現に向け、計画に掲げる施策の推進をさらに加速させてまいります。
 一方、本年は、令和9年度を始期とする「次期総合計画」の策定に向け、市民参画・協働によるまちづくりを具体的に進めていく基礎づくりの1年でもあります。市民の皆様を構成員とする「策定市民会議」をはじめ、子育て世代や若者世代の方々を対象としたワークショップ、策定プロセスの進捗状況等をお伝えするタウンミーティングなどの開催を通じ、会津若松市が目指すべき将来の姿を共有しながら、総合計画の策定を目指してまいります。
 さらに、会津地域の自治体が抱える共通の課題に対しては、広域市町村圏整備組合や会津総合開発協議会などを通して市町村の枠を超えて連携し、それぞれの強みや特徴を活かして会津地域が一丸となって取り組んでまいります。
 こうした取組を通して、シビックプライドを育むとともに、幸せな暮らしを実現し、市民の皆様が「会津に生まれて良かった」、「会津に住んで良かった」、「会津を選んで良かった」と思えるまち、会津を離れた子どもたちに「帰っておいで」と自信を持って伝えることができるまち、会津を離れた子どもたちが「帰りたい」と思えるまち、会津若松市を目指し、今後も、全力を傾注し、取り組んでまいりますので、市民の皆様並びに議員の皆様におかれましては、引き続き市政運営について、一層のご協力を賜りますよう、心から念願申し上げます。

 

お問い合わせ

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