(仮称)第4次会津若松市ユニバーサルデザイン推進プラン(素案) 会津若松市 第1章 はじめに 1 ユニバーサルデザインとは  「ユニバーサルデザイン」は、ユニバーサル(すべての、普遍的な)とデザイン(計画、設計)という二つの単語を組み合わせた言葉で、「はじめから、すべての人の多様なニーズを考慮し、年齢、性別、身体的能力、言語などの違いにかかわらず、すべての人にとって安全・安心で利用しやすいように、建物、製品、サービスなどを計画、設計する」という考え方のことです。一般的には「すべての人のためのデザイン」とも言われています。この考え方は、米国の建築家、工業デザイナーであり、米国ノースカロライナ州立大学ユニバーサルデザインセンター所長の故ロナルド・メイス氏(生1941年、没1998年)によって、1985年に初めて提唱されました。その基本的な考え方は次のとおりです。 ○すべての人が対象  ユニバーサルデザインは、高齢者や障がいのある人などの特定の人を対象にして取り組むものではありません。すべての人を対象にし、すべての人が生活・活動しやすい環境づくりを行うものです。 ○はじめからの発想  ユニバーサルデザインは、はじめから、すべての人の多様なニーズを考慮し、すべての人が生活・活動しやすい環境づくりを行うものです。 ○終わりのない取組  ユニバーサルデザインの取組は、すべての人が生活・活動しやすい環境を目指す終わりのない取組です。そのため、今より少しでも利用しやすいものにすることを目指して、絶えず見直し、改善するものです。 ユニバーサルデザインの7つの原則  ユニバーサルデザインを推進するにあたり、取組の方向性を明確にするため、提唱者であるロナルド・メイス氏をはじめとする建築家や工業デザイナー、技術者、環境デザイン研究者等によって7つの原則がまとめられています。それは次のものから構成されています。 原則1 公平性 誰もが公平に利用できること 定義:誰にでも利用できるように作られており、かつ、容易に入手できること。 (例)ノンステップバス(低床バス) 原則2 自由度・柔軟性 使う上で自由度が高いこと 定義:使う人の様々な好みや能力に合うように作られていること。 (例)高さの異なる水飲み場 原則3 単純性 使い方が簡単ですぐ分かること 定義:使う人の経験や知識、言語能力、集中力に関係なく、使い方が分かりやすく作られていること。 (例)押す部分が大きなスイッチ 原則4 分かりやすさ 必要な情報がすぐ理解できること 定義:使用状況や、使う人の視覚・聴覚などの感覚能力に関係なく、必要な情報が効果的に伝わるように作られていること。 (例)ピクトグラム(※)を用いた案内表示 原則5 安全性 ミスや危険につながらないこと 定義:ついうっかりしたり、意図しない行動が、危険や思わぬ結果につながらないように作られていること。 (例)駐車場出入口で車の出庫を知らせるランプ 原則6 低負担・省力化 無理な姿勢をとることなく、少ない力 でも楽に使用できること 定義:効率よく、気持ちよく、疲れないで使えるようにすること。 (例)センサー式の蛇口 原則7 スペースの確保 アクセスしやすいスペースと大きさを 確保すること 定義:どんな体格、姿勢、移動能力の人にも、アクセスしやすく、操作がしやすいスペースや大きさにすること。 (例)広いスペースのある多目的トイレ (※)ピクトグラム:誰にでも分かりやすく単純な形・色で表現した絵文字や図・記号のこと。言語などの違いによらず、情報を直感的に伝えることができる。 2 計画策定の基本的事項 (1)計画策定の趣旨  少子高齢化の進行や国際化の進展等による人口構造の変化に伴い、人々の生活様式や価値観の多様化が進んでいます。そのようななかで、持続的にまちの活力を生み出していくためには、年齢、性別や性的指向、身体的能力、言語などの違いにかかわらず、すべての人の多様な人格や個性が尊重され、一人ひとりが主体的に社会に参加・参画し、安心して心豊かにいきいきと暮らすことのできるユニバーサル社会(共生社会)の実現に向け、ユニバーサルデザインの理念に基づいたまちづくりに継続して取り組んでいく必要があります。  本市では、平成19年8月に「会津若松市ユニバーサルデザイン推進プラン」を策定し、平成24年3月の改訂を経て、平成29年3月に前プランである「第3次会津若松市ユニバーサルデザイン推進プラン」を策定しました。これまでのプランを通して、基本目標である「すべての人にやさしく、暮らしやすいまち」の実現に向け、市の施策や事務事業等にユニバーサルデザインの考え方を取り入れ、その理念に基づいたまちづくりに取り組んできました。  また、近年、国際社会においては、全世界が抱える課題を解決するための持続可能な開発目標(SDGs)が採択され、「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現が求められるなど、日々変化する社会情勢に対応するため、ユニバーサルデザインの「終わりのない取組」という観点から、これまでの取組の継続的な改善が必要とされています。  本プランは、前プランの計画期間(平成29年度から令和3年度まで)の最終年度を迎えるにあたり、これまでの取組の成果を検証するとともに、社会情勢の変化や多様化する市民ニーズ等を踏まえながら、前プランの見直しを行い、さらなる推進を図っていくために策定しました。 参考:計画策定の背景 ○少子高齢化の進行  本市の高齢化率(65歳以上の人口の割合)は、令和2年(2020年)10月1日現在において29.6%であり、本市長期人口ビジョン(※1)によると、今後もさらなる高齢社会の進行が予想されています。  このことから、高齢者が加齢に伴う身体機能等の低下によって日常生活に不便や不自由を感じることなく、積極的な社会参加・参画ができる社会づくりが求められています。  また、合計特殊出生率(※2)は、これまでは全国や福島県を上回る数値で推移していましたが、令和元年(2019年)においては1.43人と、福島県平均を下回る数値となっています。  このことから、安心して子どもを生み育てることができ、子どもが健やかに育つ社会を実現するために、妊婦や子ども連れの方、子どもなどにも配慮したまちづくりやものづくりの取組が求められています。 (※1)長期人口ビジョン:「第2期会津若松市まち・ひと・しごと創生人口ビジョン」(令和2年3月) (※2)合計特殊出生率:1人の女性が生涯に生むと見込まれる子どもの数を表すものであり、その年の15歳から49歳までの女性が生んだ子どもの数を元に算出される。 ○障がいのある人の自立と社会参加・参画  本市における身体障がい、知的障がい、精神障がいの障害者手帳所持者数は、令和3年(2021年)4月において8105人となっています。  また、平成28年4月1日から施行された「障害者差別解消法」においても、「不当な差別的取扱いの禁止」や「合理的配慮の提供」を行っていくことで、障がいのある人もない人も、互いに、その人らしさを認め合いながら、共に生 きる社会をつくることを目指すこととし ています。  このことから、障がいのある人もない人も自らの生き方を自由に選択し、地域で暮らしながら社会のあらゆる活動に参加・参画できるよう、障がいのある人への理解のもと、必要な支援や合理的な配慮がなされる環境づくりが求められています。 ○国際化の進展  本市における外国人住民登録者数は、令和2年(2020年)3月末において936人であり、近年増加傾向にあります。  また、V案内所(外国語で案内ができる観光案内所)を利用する外国人数についても、新型コロナウイルス感染症の影響により令和2年(2020年)は大きく減少したものの、近年では増加傾向にあります。  東京2020オリンピック・パラリンピックにおいては本市がタイ王国のホストタウンになるなど、国際交流が活発化しており、今後も外国人来訪者の受け入れに向けた各種施策の整備・充実を図っていく必要があります。 ○情報化社会の進展  本市において情報収集手段としてインターネットを利用している人の割合を年代別に見ると、20代から40代の人においては約85%と高い割合になっています。一方、50代以上では年代に比例して割合が減少し、70歳以上では20.5%と、年代により差があります。  このように、誰もがインターネット等のICT(情報通信技術)を利用して情報を気軽に得ることができるような情報化社会が進展する一方で、高齢世代を中心としたICTに馴染みが薄い方も含めた、すべての人にとって分かりやすく、格差のない平等な情報提供の必要性が一層高まっています。 (2)計画の位置づけ  本プランは、会津若松市第7次総合計画を上位計画とし、政策目標3「安心、共生のくらしづくり」の具体化に向け、ユニバーサルデザインの推進に関する施策の基本方針と重点施策、及び具体的な事業を示すものです。  また、本市におけるユニバーサルデザインの推進にあたっては、SDGsの視点に配慮するとともに、市の関連計画との整合性を図り、国・県における各種ユニバーサルデザイン推進計画の趣旨や内容を踏まえながら取組を進めていきます。 参考:ユニバーサルデザインと持続可能な開発目標(SDGs)  SDGs(エスディージーズ)とは、「Sustainable Development Goals」(持続可能な開発目標)の略称であり、平成27年(2015年)9月の国連総会で採択された、令和12年(2030年)を年限とする国際目標です。SDGsは、持続可能な世界を実現するための17の目標と169の具体的目標で構成され、その目標を達成するためには国家レベルだけではなく自治体レベルでの取組も期待されています。  SDGsが目指す「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会と、すべての人を対象としたユニバーサルデザインの考え方は親和性が高く、SDGsの視点を持って取組を進めていくことがユニバーサル社会の実現にも寄与するものと考えられることから、本市のユニバーサルデザイン推進においても、SDGsの視点を持って各種取組を進めていきます。 【本プランに関係する主な目標】 4 質の高い教育をみんなに 5 ジェンダー平等を実現しよう 10 人や国の不平等をなくそう 11 住み続けられるまちづくりを (3)計画の期間  本プランは、令和4年度から令和8年度までの5か年を計画期間とします。  なお、国、県をはじめ社会情勢の変化等を踏まえ、必要に応じてプランの見直しを行います。 第1章ここまで