第2章 本市の地域福祉を取り巻く現状 1 統計から見る本市の現状 人口の状況 本市の人口は、昭和から平成にかけて少しずつ増加し平成7年には137,065人となりました。しかしながら、それ以降は減少に転じており、令和2年には119,820人となっています。令和22年には、93,423人となると想定されるなど、引き続き人口減少が見込まれます。 年齢区分別人口の状況 年齢区分別人口は、昭和から平成にかけては15歳以上65歳未満の生産年齢人口が約2/3を占めていました。その後、15歳未満の年少人口の減少と、65歳以上の老齢人口の増加が続いており、今後も少子高齢化の進行が見込まれます。 高齢化率の状況 本市の高齢者人口は、少子高齢化に伴い、人口総数が徐々に減少する一方で、65歳以上の高齢者数は増加しています。令和7年にはいわゆる「団塊の世代」全てが75歳以上になり、令和22年にはいわゆる「団塊ジュニア」が65歳以上となるなど、今後さらに高齢化の進行が見込まれます。 高齢化の状況 かつては、一人の高齢者を生産年齢の人が7人以上で支えていましたが、少子高齢化が進行したことで、平成27年には2.1人となっています。今後、いわゆる「団塊の世代」全てが75歳以上になる令和7年には1.6人、いわゆる「団塊ジュニア」が65歳以上となる令和22年には1.2人と想定されます。 介護保険の状況 介護給付費は、介護保険制度創設時の平成12年には37億円でしたが、高齢化の進行により年々上昇し続けており、現在は100億円を突破し、令和22年度には143億円が見込まれています。 障がい者の状況 本市の障がい者手帳所持者は、令和2年4月1日現在で身体(身体障害者手帳)が6,827人、知的(療育手帳)が1,036人、精神(精神障害者保健福祉手帳)1,015人の合計8,878人です。 児童の状況 本市の児童人口は、未婚率の上昇や仕事と子育ての両立の困難さ、家事育児に対する役割分担意識、経済的な負担感等の多様な要因により、少子化が進行しています。また、子どもの人口は減少しているものの、保護者の就労形態の変化や女性の社会進出等により、保育所への入所希望者は増加しています。 出生率の状況 本市の合計特殊出生率は、全国や福島県を上回っていたものの、平成28年から福島県を下回っている状況にあります。 出生数も徐々に減少しており、平成30年には839人となり平成16年と比較すると300人以上の減少となります。今後も少子化の進行が見込まれています。 生活困窮者の状況 生活保護の受給者は、全国的な経済雇用環境の改善を受け、全国的には減少傾向にありますが、本市においては、ほぼ横ばいの状況が続いています。 新型コロナウイルス感染症の発生による景気の落ち込みや、景気の先行きへの不透明感が増していることから、今後の動向を注視する必要があります。 健康の状況 本市の平均寿命は、男性は県と同じものの国より低い状況にあり、女性はいずれの比較においても低い状況にあります。 また、死亡要因については、生活習慣病の悪性新生物、心疾患、肺炎の割合が高く、半数以上を占めており、特に心疾患については、全国より死亡割合が高い状況にあります。 医療費の状況 本市の国民健康保険に加入する市民一人あたりの年間医療費は344,484円で、国や県との比較では低い状況にあります。 未婚者の状況 本市の未婚率は、昭和55年と平成27年を比較すると、全世代で高い状況です。特に男性は高い状況にあります。 原因として個人の考え方の変化のほか、生活困窮により結婚に不安を感じる人もいます。 世帯数の状況 本市の世帯数は、人口が平成7年をピークに減少している中、世帯数は引き続き増加しております。 世帯あたりの人数は、昭和40年には4.3人でしたが徐々に減少し、平成27年には2.5人となっており、今後も、減少していくと見込まれます。 自殺者の状況 本市の自殺者数は、概ね20人台で推移しております。 自殺防止に向けては、令和元年度に策定した「会津若松市自殺対策推進計画」による取組を推進していく必要があります。 ボランティアの状況 本市のボランティア保険の加入者数は、3,000人から4,000人の間で推移しています。 「地域ぐるみ除雪ボランティア」を実施する町内会は、暖冬であった令和元年度を除き年々増加しています。 また、地域サロンの実施数も年々増加しており、地域のボランティア活動が活発化していることがわかります。 2 アンケートから見る本市の現状 この調査は、複雑化・複合化する地域における地域生活課題及び地域福祉の推進に係る市民ニーズ、さらには第1期地域福祉計画策定後の意識変化を把握することで、本計画策定作業の円滑化に資することを目的に令和元年11月に実施しました。 調査対象者数及び調査方法について住民基本台帳から抽出された満20歳以上の市民2,000人を対象に郵送により実施し、回答者数は622名で31.1%の回答率となっています。 地域福祉活動への参加の状況 地域福祉活動には60%の人が参加していますが、町内会への未加入者の参加は低い状況です。 このことから、地域福祉活動の推進には、町内会の活動が重要であることがわかります。 年代別地域福祉活動への参加の状況 地域福祉活動への参加状況を年代別に比較すると、50代以上では、60%を超える人が参加していますが、20代では20.8%と特に低い状況です。 地域福祉活動のリーダー像 地域福祉活動のリーダーについては「意欲のある個人」や「研修などを受けた住民」に期待する意見が多くありました。 優先的に解決の必要な地域生活課題 地域において優先的に解決することが必要な地域生活課題として、「高齢者単身世帯に対する安否確認」、「災害時における安否確認や避難誘導」、「除雪することが困難な世帯への除雪の支援」、「働きながら子育てできる環境の整備」があげられました。 計画策定後の地域の変化 第1期地域福祉計画策定後の地域の状況の変化として、かかりつけ医等を持つ、健康への関心を高めることや健康づくりなど、個人でも行えることを中心によくなったと感じる人が多くいました。 反対に、若者のボランティア等への参加や地域で集まる活動は減ったと感じる人が多くいました。 充実を期待する福祉施策 今後、市に充実を望む福祉施策として、「様々な相談に対応できる体制の整備」、「近所や地域での支え合いに向けた仕組みづくりへの取組」、「生活が苦しい人が自立した生活を継続できるための支援の充実」が望まれています。 ⑶ 地域の特性 地域の特性は、「地域福祉を考えるアンケート」の結果や統計、地域ケア会議での意見等を総括したものです。 鶴城地区 地区の状況 近所付き合いや地域福祉活動への参加状況は市の平均より低い状況です。 高齢化による活動の担い手の不足、町内の催事への参加者減少が住民同士の関係性の希薄化につながることを心配する声が多いです。 地域サロンに空き家や企業を利用し、買い物は福島県会津若松合同庁舎の売店を利用するなど、地域資源を上手に利用しています。 地域の課題 地域福祉活動への参加促進に向け、隣近所の関係性の構築や地域福祉への理解を深めることが必要です。 高齢化によりこれまでの活動が難しくなっています。活動に応じた圏域の検討が必要です。 各町内会で独自に行われている取組を広げていくことが必要です。 行仁地区 地区の状況 地域サロン数が市の平均より低い状況です。 神社の祭礼は複数の町内会の協力が必要なため、町内の連携だけではなく、近隣の町内会と連携するきっかけになっているとの声があります。 民間企業の設置したベンチに各世代の人が集まり、世代間交流が行われています。 中心市街地のため集会所を持つ町内会が少ない状況です。 地域の課題 集会所を持つ町内会が少なく、身近なところへの活動・交流拠点づくりが必要です。 安否確認の声かけを始めとした支え合い活動に対する将来の支援ニーズが高いことから、地域福祉活動に取り組む担い手の育成を図ることが必要です。 東山地区 地区の状況 地域サロン数や地域ぐるみ除雪ボランティアの実施町内会数は市の平均より高い状況ですが、通路の除雪を除き現在の支援は低い状況です。 地区社会福祉協議会「東山・人と地域をつなぐ会」が設立されました。 地域サロンが増加し、身近な集いの場ができたことが喜ばれています。 地域の課題 土砂災害警戒区域では災害時に備えた取組が必要です。 支え合い活動に対する将来の支援ニーズが全体的に低いことから、地域福祉の意識の醸成と困ったときに「助けて」と言える関係性の構築が必要です。 地区社会福祉協議会の取組を広げていくため、活動を支える担い手の育成を図ることが必要です。 城西地区 地区の状況 地域ぐるみ除雪ボランティアの実施町内会は市の平均より高い状況です。また、将来の支援ニーズは市の平均より低い状況です。 ウオーキング大会や芋煮、おまつりなど地域住民誰もが参加できる行事が行われています。 近隣の町内会と合同で介護予防に取り組むなど、町内会の連携した取組が進んでいます。 地域の課題 浸水想定区域のため災害時に備えた取組が必要です。 将来の活動の担い手不足を心配する声が多く、引き続き活動を支える担い手の育成が必要です。 謹教地区 地区の状況 地域サロン数や地域ぐるみ除雪ボランティアの実施町内会、地域福祉活動への参加率は、市の平均より低い状況です。 湯川や古川に近い地域では、浸水被害を心配する人が多い状況です。 中心市街地に近い地域では、集会場の確保が難しく集いの場が少ない状況ですが、商店街が開催するイベントが多く行われています。 地域の課題 地域福祉活動への参加率が低いことから、地域福祉の意識の醸成が必要です。 浸水想定区域のため災害時に備えた取組が必要です。 集会所の代わりとなる気軽に集まれる活動・交流拠点づくりが必要です。 門田地区 地区の状況 地域福祉を取り巻く状況は平均的ですが、現在の支援状況における多くの項目は市の平均より低い状況です。 医療や福祉の専門職による地域サロン「えるだぁカフェ」、金融機関や商店など民間事業者による認知症の見守り組織「Sun3ネット」が活動しています。 浸水想定区域や土砂災害警戒区域があり、自主防災に取り組む町内会もあります。 賃貸の集合住宅が多くありますが、その住民の多くは町内会の活動に参加していない状況です。 地域の課題 自主防災組織の取組、企業や専門職との連携を広げていくことが必要です。 地域福祉活動の参加につなげるため、町内会への加入者を増やしていくことが必要です。 幅広い世代へ地域福祉活動の理解を進め、活動を支える担い手の育成を図ることが必要です。 大戸地区 地区の状況 地域福祉を取り巻く状況は、市の平均より概ね高く、また、現在の支援状況も話し相手や買い物支援が市の平均より高い状況です。 大戸まちづくり協議会を設立しました。 門田・大戸地区サロン大交流会を開催し、地区サロンや地域間の交流が行われています。 通院・買い物支援が必要との声があります。 将来の活動の担い手となる若者の定住が望まれています。 地域の課題 高齢者の通院や買い物への支援体制の構築が必要です。 若者の定住に向けた取組が必要です。 城北地区 地区の状況 地域サロン数が市の平均より低い状況ですが、福祉施設を利用した地域サロンが実施されるなど、地域住民と福祉施設との連携による取組が行われています。 住民、事業者及び市の協働によりコミュニティバスの運行を行っています。 地域の事業者が他地区のスーパーマーケットへ送迎を行っています。 地域の課題 現在の支援状況と将来の支援ニーズが他の地区と比較して低いことから、地域福祉の意識の醸成と、困ったときに「助けて」と言える関係性の構築が必要です。 集会所のない町内会では、活動・交流拠点づくりが必要です。 日新地区 地区の状況 近所付き合いの状況が市の平均より低い状況です。 現在の支援状況が全体的に低い状況ですが、通路の除雪は市の平均より高く積極的に行われています。 湯川に近い地域では、浸水被害を心配する声が多いです。 町内会と商店街が連携した自主防災の取組が行われています。 地域の課題 支え合いの取組が低いことから、地域福祉の意識の醸成が必要です。 浸水想定区域のため災害時に備えた取組が必要です。 町北地区・高野地区 地区の状況 地域福祉を取り巻く状況は、全体的に市の平均より高い状況です。 永和地区地域づくり協議会が設立されました。 市街地から離れている地区では、買い物が難しいとの声があります。 公民館や集会所まで遠いため、近い場所での活動が望まれています。 地域の課題 通院や買い物が困難な人への支援体制の構築が必要です。 より身近な場所への活動・交流拠点づくりが必要です。 神指地区 地区の状況 近所付き合いの状況や地域サロン数、地域ぐるみ除雪ボランティアの実施町内会数は市の平均より高く積極的に行われています。また、現在の支援状況も声かけや話し相手は市の平均より高い状況です。 活動の担い手が不足しており若者の地域福祉活動への参加が望まれています。 高齢者単身世帯への見守り体制の充実が望まれています。 幹線道路まで遠い地区では公共交通機関の利用が難しいとの声があります。 地域の課題 地域福祉活動の理解を進め、活動を支える担い手の育成を図ることが必要です。 支え合い活動に対する将来の支援ニーズが他の地区と比較して低いことから、地域福祉の意識の醸成と、困ったときに「助けて」と言える関係性の構築が必要です。 通院や買い物が困難な人への支援体制の構築が必要です。 一箕地区 地区の状況 地域サロン数は市の平均より高い状況です。現在の支援状況も通路の除雪が市の平均より高く積極的に行われています。 地域福祉活動への若者の参加が望まれています。 賃貸の集合住宅が多くありますが、その住民の多くは町内会の活動に参加していない状況です。 地域の課題 地域福祉活動の参加につなげるため、町内会への加入者を増やしていくことが必要です。 幅広い世代へ地域福祉活動の理解を進め、活動を支える担い手の育成を図ることが必要です。 支え合い活動に対する将来の支援ニーズが全体的に低いことから、地域福祉の意識の醸成と、困ったときに「助けて」と言える関係性の構築が必要です。 湊地区 地区の状況 地域福祉活動が活発に行われ、現在の支援状況は多くの項目で市の平均より高い状況です。 地区社会福祉協議会「みんなと湊まちづくりネットワーク」が設立されました。 市街地から離れているため通院や買い物などが難しいとの声があります。 地域の課題 支え合いの取組の継続が必要です。 通院や買い物が困難な人への支援体制の充実が必要です。 所有者不明や所有者による管理が行われなくなった空き家への対策が必要です。 北会津地区 地区の状況 近所付き合いの状況や地域福祉活動の参加状況は市の平均より高い状況ですが、地域サロン数や地域ぐるみ除雪ボランティアの実施町内会数は低い状況です。 地区社会福祉協議会「北会津ふれあいネットワーク」が設立されました。 高齢者の生きがいにつながるようなイベントや教室の開催を望まれています。 活動の担い手が不足しており、若者の活動への参加が期待されています。 地域の課題 将来の支援として、心配ごとの相談や話し相手へのニーズが高いことから、気軽に人が集まれる地域サロンを増やしていくことが必要です。 活動の担い手が不足している状況であり、地区社会福祉協議会の取組を広げていくためには、活動を支える担い手の育成を図ることが必要です。 河東地区 地区の状況 近所付き合いや地域福祉活動への参加状況は市の平均より高く、将来の地域福祉活動への参加意欲も高い状況です。 現在の支援状況は全体的に市の平均より高くなっています。また、将来の買い物やごみ出しの支援ニーズが高くなっています。 地区社会福祉協議会「河東ふれあいネットワーク」が設立されました。 地域の課題 地域サロンが少なく、老人クラブも減少しています。身近な活動・交流拠点の創造が必要です。 活動の担い手が不足している状況であり、地区社会福祉協議会の取組を広げていくためには、活動を支える担い手の育成を図ることが必要です。