令和2年度施政方針

2020年2月28日

 施政方針とは、新年度における市長の市政運営に対する基本的な考え方について述べたものです。

 

施政方針(印刷用)

 

 

【はじめに】

 本日、令和2年2月市議会定例会を招集いたしましたところ、議員の皆様にはご参集を賜り、厚く御礼を申し上げます。
 本定例会の開会にあたり、令和2年度会津若松市一般会計予算をはじめとする諸案件のご審議をお願いするとともに、市政執行に取り組む私の所信と施策の大綱を申し述べ、ご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 

【施政にあたっての基本的な認識・考え方】

 さて、今日の会津若松市を形づくる資産である、厳しくも豊かな自然、実り多き大地、連綿と続く固有の歴史と文化、忍耐強く実直な人材、時代の変化に対応した多種多様な産業や生業(なりわい)、さらには、多くのゆかりの地や地域内の絆といった要素は、私たちの先人がこの地の繁栄のために幾多の困難を乗り越え、築き、伝えてきたものであります。私は、令和元年の市制施行120 周年という節目を経て、改めて、先人の英知と努力の偉大さに対し尊敬の念を抱くとともに、様々な縁(えにし)に感謝し、受け継ぎ、引き継いでいく使命の重さを感じているところであります。
 少子高齢化・人口減少基調のもと、グローバル化やデジタル化をはじめとして社会経済情勢が急激に変化し続ける中にあっても、先人の郷土発展への熱い思いと行動力を受け継ぎ、困難な課題にも勇気を持って果敢に挑戦し、乗り越えていくことで、人口減少社会においても活力と成長のある地域社会を創っていかなければならないと、決意を新たにしたところであります。 

【令和2年度の市政運営の考え方及び取組】

 こうした中で、私の使命は、住民福祉の増進に向けて身近な行政サービスを維持・向上させることと、現在と将来の市民の皆様に対して責任あるまちづくりを行うことにあると考えております。
 そのため、令和2 年度の市政運営にあたりまして、私は、先人が築いてきた会津の「宝」といえる地域の資産を継承し、それらを将来に向けて活かしながら、「我より古(いにしえ)をなす」の思いを持って、新しい未来へ繋がるまちづくりを進めていくために、第7 次総合計画のまちづくりのビジョンで掲げた「ともに歩み、ともに創る『温故創しん(おんこそうしん)』会津若松」に込めた、「参画と協働による地域資源を活かした新しい会津若松の創造」を基本政策とし、以下にお示しする5 つの政策目標を柱として市政運営に臨んでまいります。

 

( 政策目標1 未来につなぐひとづくり)

 1 点目は、「未来につなぐひとづくり」であります。
 先人が築いてきた「会津若松市」を継承し、守り育て、次代へと引き継いでいくのは、子どもたちをはじめとした多様な人材であり、ひとづくりこそが未来を支える礎であることから、次代を創る子どもたちの育成と、生涯にわたる学びと活躍の推進に取り組んでまいります。
 はじめに、子ども・子育て支援については、現在策定中の「第2期子ども・子育て支援事業計画」に新たに子どもの貧困対策を加えるとともに、子ども医療費の18 歳までの無料化の継続や、子どもとその家庭及び妊産婦等を対象とした様々な支援を行うための子ども家庭総合支援拠点の設置などにより、安心して出産と子育てができる地域の実現に努めてまいります。
 学校教育においては、令和時代のスタンダードとしての学校ICT環境を整備する国の「GIGA スクール構想」に対応した校内通信ネットワークと一人一台端末の段階的な整備により、教育環境の充実を図るとともに、子どもたちの確かな学力の育成に向けて、「あいづっこ学力向上推進計画」に基づく長期的かつ総合的な学力向上と、「あいづっこ人材育成プロジェクト」や「あいづ未来人財育成塾」などによる個性を尊重した多様な人材育成に取り組んでまいります。
 特に、学校のあり方については、保護者や地域の方々が学校運営に参画する「コミュニティ・スクール」の導入と、学校教育の活動を地域で支援していく「地域学校協働本部」などの体制づくりにより、地域とともにある学校づくりを進めてまいります。
 また、東京2020 オリンピック・パラリンピック競技大会に伴うタイ王国ボクシングチームの事前キャンプとオリンピック聖火リレーを契機とする本市スポーツの振興や、「文化財保存活用地域計画」の策定を通した本市固有の歴史と文化の継承などの取組については、まちづくりや観光などの政策間連携の視点を持ちながら、地域の活性化へと繋げてまいります。
 さらに、人口減少社会においても、活力があり成長を続ける地域社会であるためには、性別の違いや障がいの有無、市民と来訪者、民間と行政といった立場の違いに関わらず、多様な主体が相互に尊重しながら、誰もがいきいきと活躍することが必要であり、引き続き男女共同参画と市民協働、社会参画を推進してまいります。

 

( 政策目標2 強みを活かすしごとづくり)

 2 点目は、「強みを活かすしごとづくり」であります。
 すべての人が自らの資質と能力を活かし、夢や希望を実現できる「仕事」に就くことを目指し、生活の基盤となる仕事の創出と、地域の個性を活かした賑わいと魅力の創出に取り組んでまいります。
 はじめに、農業については、全農福島・J A 会津よつばの集出荷施設「会津野菜館」との連携をはじめ、園芸作物の生産拡大への取組による所得向上を目指します。また、高い評価と信頼を得ている「AiZ'S-RiCE(アイズライス)」の安定した生産と供給に向けて栽培技術の確立に取り組み、本市産米価格の維持向上と農業の持続的発展へと繋げてまいります。さらに、担い手への農地の集積・集約化を加速するため、農地中間管理機構関連農地整備事業の活用や、「人・農地プランの実質化」への支援に取り組んでまいります。
 森林・林業については、森林環境譲与税の活用により、人工林の更なる適正管理に向けて、所有者の意向調査や境界確認を進め、森林の多面的機能の発揮と地域資源としての循環利用を図ってまいります。
 商工業の振興については、中小企業及び小規模企業振興条例に基づく支援施策を講じるとともに、未来会議などを通して、市や事業者など関係者の連携を強化しながら、中小・小規模企業の持続的発展と雇用の確保に取り組んでまいります。さらに、昨年4 月に開設したスマートシティAiCT では、首都圏から多数の企業が入居し、新たな人の流れや賑わいが生まれていることから、引き続き会津大学の立地といった本市の優位性を活かしながら、ICT 関連企業のさらなる集積を進め、雇用創出による若者の地元定着と地域活力向上に取り組んでまいります。また、製造業をはじめとした企業誘致による工場の新設や、既存企業の事業拡大による増設は、本市のみならず会津地域の経済と雇用に大きく寄与していることから、周辺自治体と協力して県営工業団地の整備を要望していくとともに、策定中の工業振興計画に新たな工業団地の整備を位置づけ、今後、具体的に検討してまいります。
 次に、本市の基幹産業であり地域経済に波及効果の高い観光産業については、東京2020 大会開催に伴い増加が見込まれる訪日外国人等の誘客、特にこれまで主要なターゲットとしてきた台湾やタイに加え、欧米豪地域からの更なる誘客の増加に取り組んでまいります。
また、会津地域内はもとより、新潟市、米沢市、日光市、さいたま市などの地域とも連携し、令和3 年の東北デスティネーションキャンペーンを見据えた広域観光の推進に取り組んでまいります。さらに、ナイトタイムエコノミーなど観光コンテンツの充実により滞在型観光を推進し、観光消費の拡大による地域経済の活性化に努めてまいります。
また、漆器や酒造などの地場産業については、伝統的工芸品等を首都圏等でP R するとともに、東京2020 大会に伴う訪日外国人に対して、P R や販売を通して嗜好を調査し、今後の地場産品の海外販路の開拓や、訪日外国人への販売強化へと活かしてまいります。

 

( 政策目標3 安心、共生のくらしづくり)

 3 点目は、「安心、共生のくらしづくり」であります。
 高齢の方々や障がいのある方々、子どもたちを含めたすべての市民の皆様が、住み慣れた地域で暮らし続けるため、健やかで思いやりのある地域社会の形成と、人と豊かな自然との共生に取り組んでまいります。
 はじめに、健康づくりにおいては、引き続き生活習慣病の発症・重症化予防に取り組むとともに、ICT を活用した母子健康情報サービスの利用推進等による市民一人ひとりの主体的な健康づくりの推進に努め、さらに、医師と患者双方の負担軽減が期待できるオンライン診療の推進に向けた取組への支援を継続してまいります。
 さらに、各種感染症対策については、国県並びに関係機関等と連携し、感染症の予防徹底とまん延防止に努めてまいります。
 次に、誰もが住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けていくことができるよう、本市の特性を踏まえた「地域包括ケアシステムの構築」に向けて、地区社会福祉協議会の設立支援をはじめ、医療・福祉、住まいの確保など、市民の生活課題の解決に向けて取り組んでいくとともに、第2 期地域福祉計画の策定に着手してまいります。
 また、市民生活に欠くことのできないごみ処理については、会津若松地方広域市町村圏整備組合において整備予定のごみ焼却施設の規模縮減に向けて、新たなごみ減量化施策を、市民の皆様や事業者の方々と一体となって推進し、ごみ処理基本計画に定めた削減目標の達成を目指してまいります。

 

( 政策目標4 安全、快適な基盤づくり)

 4 点目は、「安全、快適な基盤づくり」であります。

 市民生活の快適性の向上や、安全・安心な暮らしの実現に向けて、引き続き地域防災や除排雪への対応といった、災害などへの備えの強化と、都市計画や道路、上下水道、公共交通、景観、情報通信といった、地域活力を支える都市環境の維持・向上に取り組んでまいります。
 はじめに、災害への備えについては、東日本大震災や昨年の台風19 号を教訓として、新たに防災対策普及員を配置し、自助・共助の取組推進に向け、市民の防災意識の向上と、地域住民の協力・助け合いによる自主防災活動の拡大を支援してまいります。また、市民一人ひとりが、自らの住む地域の災害リスクを理解するマイハザードマップや、災害時に適切な避難行動を可能とするマイタイムラインの取組に向けて、平時からの防災知識の普及を進めるとともに、大規模盛土造成地の崩落可能性の調査や内水ハザードマップの作成にも取り組んでまいります。
 また、人口減少と高齢化の中にあっても、高齢者や子育て世代にとって快適で安心できる生活環境の実現と、経済と財政の両面において持続可能な都市経営を図っていくため、立地適正化計画の骨子案の策定作業を通して、都市が抱える課題の整理と目指すべき都市像の検討を進めてまいります。
とりわけ、公共交通については、高齢化などに対応した地域住民の交通手段の確保や観光交流の促進等に向けて、会津圏域公共交通活性化協議会への参画を通して、広域バス路線の再編や、各種表示の統一と運行情報のオープンデータ化などによる分かりやすい情報提供等に取り組んでまいります。また、金川町・田園町をはじめ、北会津や河東、湊地区における地域内交通については、地域の主体的な取組を支援するとともに、それぞれの地域に合った移動手段や新たな運行形態の導入を検討し、これらの様々な交通手段を繋いで利便性を高める、いわゆるMaaS(マース)と呼ばれる新しいサービスの構築に取り組んでまいります。

 

( 政策目標5 豊かで魅力ある地域づくり)

 5 点目は、「豊かで魅力ある地域づくり」であります。
 交流人口や定住人口が増加する豊かで魅力ある地域づくりに向けて、まちの拠点の整備など地域活力の創造・再生の取組を進めるとともに、安全で適切な公共施設の運営や健全な財政基盤の確立など、社会の変化に対応した行財政運営に取り組んでまいります。
 はじめに、自治による自主自立のまちづくりに向けて、地域住民の皆様の参画と協働のもと、地域の課題解決に向けた仕組みづくりや地域の活動拠点のあり方などの検討を継続して進めるとともに、これらの取組を地域の施設の再編や利活用へと活かし、公共施設マネジメントの推進に繋げてまいります。
 また、定住・二地域居住については、新たに移住支援担当の地域おこし協力隊を導入し、相談体制を強化するとともに、外部からの視点を加えて本市の魅力を紹介し、就業支援を軸としたツアーや相談会等を開催してまいります。
 さらに、郷土の魅力に気づいていただくことを目的とした市民向けシティプロモーションを展開することで、市民の皆様自らが、郷土に住み、愛着を持ち、故郷(ふるさと)を良くしていこうという自負心である「シビックプライド」を醸成し、若者の地元定着へと繋げてまいります。
 一方、本市の賑わいと活気の創出に向けたまちの拠点づくりのうち、新市建設計画については、合併から約15 年が経過し、本市を取り巻く環境に変化が生じていることや、庁舎整備の具体化を見据え、未着手の合併特例事業のあり方を含めて、市民の皆様の意見を伺いながら、計画を見直してまいります。また、市役所庁舎の整備については、「庁舎整備基本計画」で示した令和7 年度までの事業完了に向けて設計に着手し、施工に向けた準備を進めてまいります。さらに、会津若松駅前の基盤整備については、現在策定中の「会津若松駅前都市基盤整備基本構想」に基づき、関係する事業者等の合意形成を進めるとともに、県立病院跡地の利活用については、跡地取得に向けた県との協議を継続してまいります。
 また、新市建設計画の改訂に合わせた令和12 年度までの財政計画の作成を通して、中長期的な歳入歳出の枠組みを見込みながら、健全で持続可能な財政運営に努めてまいります。

 

【結び】

 以上、第7 次総合計画に基づくまちづくりの推進と市政運営の基本的な考え方について、申し述べてまいりました。
 国は、「経済財政運営と改革の基本方針2019 」において、「『スマートシティ』をSociety5.0 時代のまちづくりの基本コンセプトとする新たなまちづくりを推進し、地域住民の生活の質を向上」することや、公共サービス、社会資本整備、地域課題解決など様々な分野でのスマート化・デジタル化の推進を掲げております。
本市では、これに先駆け、平成25 年2 月、「地域活力の再生に向けた取組み~ ステージ2 ~ 」において、「スマートシティ会津若松」をまちづくりのコンセプトとして掲げ、以降、まち・ひと・しごと創生総合戦略や第7 次総合計画にもスマートシティを位置づけてきたところであります。
 これまでに、市民一人ひとりに合った情報を提供する情報プラットフォーム「会津若松+ ( プラス) 」の運用や農作業の自動化などを図るスマートアグリの導入、市内全域における光回線による超高速ブロードバンド環境の整備、スマートシティAiCT によるICT 関連企業の集積と雇用及び経済波及効果の創出など、全国の自治体に先んじて、スマートシティの推進による地方創生に取り組み、成果をあげてまいりました。
 今後、これまでの取組を踏まえ、ICT を活用した新モビリティサービスなど市民の皆様にスマートシティを実感していただける取組や、シビックプライド向上による移住・定住の促進など新たな取組を加えて地方創生を深化させ、交流人口の拡大や更なる企業誘致に繋げていくことで、人口減少社会においても活力があり成長を続ける、持続可能で魅力的なまちを実現してまいりたいと考えており、その内容について第2 期の総合戦略としてお示ししてまいります。
 これら5 つの政策目標と地方創生の取組については、本市に住み集い、活動されている全ての個人や団体の皆様と、それぞれの強みや特性を活かし、運動量を高め、相乗効果を生みながら取り組んでいくとともに、地方創生をはじめ、観光や農業の振興、雇用創出、企業誘致といった会津地域共通の課題に対しては、福島県や管内の市町村、民間団体等と連携し、オール会津で取り組んでまいります。
 そして、これらの取組を通して、本市のみならず会津地域全体の発展へと繋げていくことで、市民の皆様に、会津に生まれて良かった、会津に住んで良かったと思っていただき、さらには、子どもたちに、会津に残って、会津へ帰って、共に働いていこうと、自信を持って伝えることができるまちづくりを進めてまいります。
 何卒、市民の皆様並びに議員の皆様におかれましては、引き続き市政運営について、一層のご支援とご協力を賜りますよう、心から念願申し上げます。

 

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