平成30年度立正大学デリバリーカレッジの様子をお伝えします。

2018年7月2日

平成30年度 會津稽古堂市民講座「立正大学デリバリーカレッジ」の様子をお伝えします(講座は終了しました)

「立正大学デリバリーカレッジ」とは…
立正大学は、1872年開学、開校140有余年を数える総合大学です。8学部15学科、大学院7研究科を擁し、自由闊達な学風の中で多くの学生が学んでいます。
「立正大学デリバリーカレッジ」は、地域社会への開放的で知的な貢献を目指し、平成20年からはじめられた事業です。

大学の専任の教員が全国各地に赴き、各分野の最新の研究成果を分かりやすく伝えるもので、本市でも會津稽古堂が開館した平成23年から毎年開催してきました。

歴史、文学から心理学、教育学等々、多岐にわたる内容の中から市民のみなさまのニーズにあわせたカリキュラムを選び、毎年好評をいただいています。

平成30年度「立正大学デリバリーカレッジ」の様子

平成30年度は以下の日程で講座を行いました。

日程

  • 第1回 平成30年6月9日  土曜日 14時から15時30分 テーマ「人生100年時代」の社会学
  • 第2回 平成30年6月16日 土曜日 14時から15時30分 テーマ「戊辰150年-勝って「不平士族の叛乱」「民衆の民権運動」-」
  • 第3回 平成30年6月30日 土曜日 14時から15時30分 テーマ「ヤングケアラー(ケアを担う子ども)への支援」 

講座の様子

【第1回】 

テーマ:「人生100年時代」の社会学 -サクセスフル・エイジング(豊かな高齢化)に向けて-

講師:立正大学名誉教授 秦野 眞 先生
昭和19年戦争中に島根県松江市で生まれた秦野先生は、混乱の時代のなか多数の困難を乗り越え、立命館大学大学院博士課程を昭和48年に修了されています。
その後立正大学で教鞭をとり、平成26年に退職されるまで、経営学を中心にたくさんの学生さんに講義を行ってこられました。

今回のテーマは、人生100年時代を迎え、シニア世代の新たな「居場所」作り、そしてより豊かな今後の人生を目指すにはどうすればよいのかについて、秦野先生のご経験を交えて講演していただきました。

まもなく「後期高齢者」となるという秦野先生のお話は、参加者のみなさんにも身近に感じられ、うなずきながら多くの方が講義に耳を傾けていらっしゃいました。

先生は、W・グラットン/A・スコット『ライフシフト』を例に引きながら、2050年には日本の100歳以上の人口は100万人を突破し、2007年に生まれた子どもの半分は107歳まで生きることになるという予測もあることを示し、長寿社会の到来により、人生の在り方が大きく変化していることを説明しました。

そこで、人生が「第1ステージ:教育」⇒「第2ステージ:仕事」⇒「第3ステージ:引退」という一方向のものではなく、「仕事」-「学び」が相互に繰り返され、活躍し続ける人生、「multi stage」が訪れると予想されている根拠を近年の国の政策などから解説しました。

そのほかにも、旧民法と戦後民法の違いや、実際の課題などを引き合いにだしながら、今後私たち日本に住む若者から高齢者までが、どのように社会を考えていけばよいのか、そして家族で話し合っていけばよいのかについて考える材料をたくさんいただきました。

最後に秦野先生は、講義を聴くだけではなく、自分の話として高齢になった方だけでなく、一人一人が家族やパートナーと話し合ってほしいと締めくくりました。

秦野先生
秦野先生講座の様子1.JPG
秦野先生講座の様子2

参加者の皆様からは、以下の感想をいただきました。(抜粋)

  • これから先、生きていくにあたり参考になるお話で良い時間を過ごすことができました。
  • 素晴らしい話をありがとうございました。余生を有意義にすごしたいと思います。
  • 今まで気づかなかったことを認識することができた。
  • 今日学んだことを家でも振り返り、これからに活かしたいと思います。家族と話していきたいと考えています。
  • 介護の問題のリアルな問題を改めて思い知らされました。制度の見直しを国民一人一人が考えていかなければならないと強く感じました。
  • 年を重ね身近になった問題の内容でわかりやすくて良かった。身近な問題でも難しいことがあるので、法律などとあわせて解説があり、勉強になった。


【第2回】

テーマ:「戊辰150年-勝って「不平士族の叛乱」「民衆の民権運動」-」
日時:6月16日(土)   
講師:立正大学名誉教授 清水 多吉 先生

昭和8年8月8日(1933年)生まれの清水先生は、フランクフルト学派の研究に取り組んだ日本における先駆的哲学者であり、本市のご出身です。

東京大学大学院人文科学研究科(哲学専攻)を修了後、東京大学、名古屋大学、早稲田大学、法政大学等で教鞭をとられ、ニューヨーク・ホーフストラ大学客員教授などを経て、現在は、立正大学名誉教授を務めていらっしゃり、主な著書に「『戦争論』入門」、「西周―兵馬の権はいずこにありや」などがあります。

今回は、維新・動乱で勝利を得た新政府軍にとっても、明治20年代の憲法、議会制度の確立までは動揺の時代であったことを解説いただいたのち、戊辰戦争で敗北した会津藩を含む旧幕府軍が治めていた地域ではどのような動きがあったのかについて講義をいただきました。

特に、西南戦争に代表される西南雄藩から起こった「不平士族の叛乱」と、明治17年に発生した「被害民衆の民権運動」、福島県・会津地方でおこった一揆について地域社会の状況を対比させながら、詳しくお話しをいただき、なぜ負けた側から「不平士族の叛乱」が起こらず、勝った側から「不平士族の叛乱」が起こったのか、そして勝った側で「被害民衆の民権運動」が起こらず、負けた側でこうした動きが起こったのか、資料に基づきながら解説いただきました。
今年は戊辰150年(維新後150年)の節目の年ということもあり、遠方からも多くの受講者の方にお越しいただき、先生の熱のこもったお話に負けないくらい一生懸命にメモを取られている方が多かったのが印象的でした。

清水先生の講義の様子1.JPG
清水先生の講義の様子2.JPG

参加者の皆様からは、以下の感想をいただきました。(抜粋)

  • 地元に関連した、教科書に載っていない興味深い内容で勉強になりました。
  • 三島通庸の人物像についてはっきりわかった。会津地域の三方道路に関する話は聞いたことがあったが、栃木のことまでは知らなかったので参考になった。
  • もっと聞きたかった。時間が足りないくらい豊富な内容であった。
  • 教科書的な歴史は無味乾燥であるが、今回の話は裏話のような視点で面白かった。歴史を様々な視点で見ていくことの大切さに気付かされた。
  • 明治初期の行政の裏側を知ることができて大変有意義であった。なかでも三島県令は悪い政治だったという見方もある一方、名県令という見方もあり、実際の姿はどうだったのかこれから学んでみたい。
  • 先生の熱意が伝わってきて学習意欲が高まった。
  • 具体的な話で素人の私にもよくわかりました。国の政策に翻弄された武士、民衆の生き方に心が痛みました。
  • 歴史は流れていきます。戊辰戦争から150年、これからの未来を若者たちにどう残していけるのか考えさせられました。

 
【第3回】

テーマ:「ヤングケアラー(ケアを担う子ども)への支援」 
日時:6月30日(土)   
講師:立正大学教授 森田 久美子 先生
森田先生は上智大学を卒業後、病院等で精神保健福祉士として活躍されたのち、大学で教鞭をとられたり、平成29年度には大正大学大学院にて博士号を取得されたりするなど、教育や医療の現場でご活躍されている先生です。
第3回、本市では今年度最後の講座となるテーマは「ヤングケアラー・若者ケアラー(身近にケアを必要としている人がいて、その人を無償でケアする若い介護者)」についてでありました。先生の様々なご経験や、大学での研究成果などを交えながらこれからの地域福祉において、若くして他者を支えている「ヤングケアラー」への支援がどうあるべきか、また私たちに何ができるのかを考えていく講座となりました。

子どもが家族(障がいや病気のある家族)や親戚を介護しているというのは実は特別なことではなく、認知症の家族を介護する小・中・高校生や、家族に介護を必要とする人がいるために、「家事・洗濯・掃除・買い物・付き添い・きょうだいの世話」などを担っている場合は多くあるようです。

子どもは誰にも相談することができず、加えて子どもも大人も、子どもがこうした役割を担うことが「あたりまえ」と思い込んでしまうことで、大人の見えないところで「ヤングケアラー」が存在していることに思いを巡らせることができました。

今回の講座では、子どもが身近な家族等のケアを担うことで、子ども・若者の人間的成長の促進や、役に立っているという自尊心をはぐくむことができる一方、ケアを担うことで学力への影響や、社会的機会が制限され孤立することがあるなど、デメリットもあることを学習することができました。

最後に、ヤングケアラーに対する行政の支援や学校での取り組みをはじめた自治体もあるなど、地域ぐるみでこうした「ヤングケアラー」に対する支援を行っていくことが求められていることも学習し、行政だけでなく、親や地域の大人がこうした社会・地域の課題に目を向ける必要性を感じることができる講座となりました。

森田先生の講義の様子1.JPG
森田先生の講義の様子2.JPG
森田先生の講義の様子3.JPG

先生の語り掛けるような優しい話し方と経験を交えたお話に、受講生のみなさんが耳を傾け、メモをとっている様子が印象的でした。

今回は、會津稽古堂市民講座「PTA研修会『親力アップセミナー』」と合同で行ったこともあり、若いお母さんやお父さんの参加が多く感じられました。

 

受講した方の感想からは

  • 「ヤングケアラー」という言葉を知らなかったので、勉強になりました。ケアを担っている子どもに適切な支援が届くと良いですね。
  • まだまだ学ぶことが必要と感じました。世代に関係なく介護が必要となった人をサポートする立場になったとき、今回の話を知っていることが必要と感じました。
  • 海外ではヤングケアラーの支援を福祉や学校の制度として確立しているところもあるので、日本でもそういう制度が普及すると良い。
  • 子どもがきょうだいの世話をすることも「ヤングケアラー」であることを知った。もっと多くの人に聞いてほしい内容だった。
  • ヤングケアラーの実態を初めて知りました。行政側も実態調査を軸に課題を洗い出し、政策化するなどの方向性が必要と感じました。
  • 地域全体で困っている人を取りこぼしのない世の中にするために、一人ひとりが考えていかなければならないことと痛感しました。
  • 実際に仕事の現場で社会に認知されていない「ヤングケアラー」をよく目にするので、これをきっかけに学びを深めていきたいと思いました。
  • 私も20代の頃ヤングケアラーだったことに気づきました。家族のあり方が変化する中で様々な支援が必要と感じました。会津若松市でも具体化できるよう望みます。
  • 子どもたちが相談できる場所が整備され、子どもたちにとって住みやすい社会になればいいなと思いました。
  • 素晴らしい講義でした。家族だからあたりまえという観念がまだある。老人問題よりも根深いように感じた。
  • 制度や社会の狭間で苦しんでいる人々へ気配りするべきことを取り上げ、どうすれば良い社会になるのか考えていくことが必要ですね。
  • ヤングケアラーは大人に気づかれにくい特徴があるということを学び、学力などに影響があることも知ることができました。身近なところで気にかけていきたい。
  • まさに、自分自身が元ヤングケアラーでした。苦しい日々を過ごし、希望が見いだせなく、同じ立場の人と出会えず、一人で抱え込んでいました。今、ヤングケアラーに目を向けらえるようになったこと、とても心強く感じます。少しでも若者が生活しやすい社会、心のケアができる地域になればよいと思います。私にできることを探していきたいと思います。
  • 私は介護の仕事をしながら、「ヤングケアラー」(この言葉は初めて知りました)に接していますが、家族だからあたりまえ、お手伝いのひとつだととらえられがちと思います。こうした子どもたちに目を向けられるのはとても良いことです。


といった感想が寄せられ、このほかにも数多くの熱いメッセージをいただきました。

今年も多くの市民の方々に参加いただいた立正大学デリバリーカレッジ。
様々な学問分野の本格的な講義が受けられるこの講座、 「ぜひ継続してほしい」というお声も受けております。
立正大学の社会貢献事業の一環として連携して実施している本講座ですが、来年も開講できるよう努力してまいります。
お忙しいなか、ご参加いただきました市民のみなさま、そして、はるばる本市にお越しいただき、貴重な研究成果をお聞かせくださった、秦野先生、清水先生、森田先生、本当にありがとうございました!

お問い合わせ

  • 会津若松市教育委員会 生涯学習総合センター(會津稽古堂)生涯学習グループ
  • 電話番号:0242-22-4700
  • ファックス番号:0242-22-4702
  • メール

Twitter および Facebook をご覧ください!

 Twitter および Facebook 上にて生涯学習総合センター【會津稽古堂】からのお知らせを発信しています。
 Twitter 會津稽古堂 ページ ※Twitter のページにジャンプします。

 Facebook 會津稽古堂 ページ ※Facebook のページにジャンプします。