平成28年度施政方針

2016年3月4日

施政方針とは、新年度における市長の市政運営に対する基本的な考え方について述べたものです。

【はじめに】

  本日、平成28年2月市議会定例会を招集いたしましたところ、議員の皆様にはご参集を賜り、厚く御礼を申し上げます。
  本定例会の開会にあたり、平成28年度会津若松市一般会計予算をはじめとする諸案件のご審議をお願いするとともに、市政執行に取り組む私の所信と施策の大綱を申し述べ、ご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 

【施政にあたっての基本的な認識・考え方】

   さて、平成28年度は「第6次長期総合計画」の最終年であります。

  この計画期間中においては、世界的な経済危機や、東日本大震災及び原子力発電所事故といった、私たちがこれまでに経験したことのない大きな災害がありました。
  震災から5年が経ち、集中復興期間の終了も目前となっておりますが、本市においても未だ多くの避難者の方々が不自由な生活を送られていることに、改めて沈痛な思いを抱くものであります。
  原子力発電所事故による風評は未だ消え去らず、本市の基幹産業にも影響を与え続け、また、半導体工場の再編といった雇用に影響するような事態が生じております。こうした状況に適切に対応し、一刻も早く市民の皆様の安心と生活の安定を確保するとともに、将来に向けた力強い地域社会をつくっていくための取組を加速させなければなりません。
  こうした中、本市においては、「スマートシティ会津若松」を標榜した様々な取組をはじめ、昨年お示しした「会津若松市まち・ひと・しごと創生人口ビジョン及び総合戦略」に基づく各種事業について、市民の皆様、市内外の事業者の方々とともに進めているところであります。
  これらは、これからの新たな会津地域をつくる布石となるものと考えており、様々な革新的な技術や方策を取り入れながら、「進化する戦略」を打ち立て、実践していくことで、力強く安定した地域社会を再構築してまいります。
  その中で、平成27年度は「地方創生元年」というべき年でありました。
  4月に策定した「会津若松市まち・ひと・しごと総合戦略」に基づき、子育て支援と子どもの学力向上に向けて、未就学児や児童生徒に図書券を交付し、また、「あいづ食の陣出陣券」による会津の食の魅力向上を図るなど、単なる消費喚起に留まらない独自の施策を実施いたしました。
  さらに、古民家を利用した体験型サテライトオフィスの設置や、ICTを活用した農業である「スマートアグリ」の実証を進めるなど、多様な働き方や新たな生産のあり方の提案、さらには、鶴ヶ城やまちなかへのWi-Fi整備、そして、地域情報ポータルサイト「会津若松+(プラス)」及び「マイポスト」の開設など、本市を訪れる方や市民の皆様の快適性、利便性の向上に向けた取組も進めてきたところであります。

 

【これまでの成果と平成28年度の市政運営の考え方及び取組】

  このような取組や成果を踏まえ、平成28年度は、第7次の「総合計画」を策定し、新たな本市のまちづくりの指針を皆様にお示しする年であります。
  これまでの10年間の市政を総括するとともに、「スマートシティ会津若松」や地方創生の理念を踏まえながら、皆様と共に未来の計画となる総合計画を作りあげ、将来に向かって夢のある会津若松市の創造につなげてまいります。
 また、次年度においては、特に次の4つの柱を掲げ、市政運営に臨んでまいります。

 

(子育て・人材育成)

  1点目は、将来をつくる子どもたちの育成についてであります。
  スポーツや音楽分野における全国大会への出場、さらには、昨年11月のふくしま駅伝における子どもたちの姿は記憶に新しく、素晴らしい活躍でありました。
  これからの会津、日本、そして世界をつくるのは子どもたちであります。その可能性は無限であり、大きな希望と未来が開かれております。
  今年度は、鶴城小学校の校舎及び屋内運動場の建替が完了し、1月より子どもたちに新たな学習環境を提供しているところであり、次年度においても、各学校施設の耐震化、(仮称)河東学園中学校の整備といった、子どもたちが安全に安心して学ぶことのできる環境を整えてまいります。
  また、新たな視点から、子どもたちの学力向上を図るため、「国際的ふるさと会津創生基金」を活用した中長期的なプログラムを構築してまいります。

   さらに、高等教育支援について、様々な資格取得の課程を持つ市内の専門学校等の利点を生かし、例えば資格取得後の地域内就労や、各種専門学校等と連携した進学支援を進め、地域内における人材の育成と若者の地元定着につなげてまいります。
  子育て支援につきましては、これまで実施してきた子ども医療費の18歳までの無料化や、保育所、幼稚園、認定こども園の利用における多子軽減策を継続するとともに、幼稚園の長時間預かり保育の実施や認定こども園に移行するための支援を行ってまいります。
  また、子育てに絵本の読み聞かせを取り入れ、親子のコミュニケーションの充実を図りながら、幼児期から読書の習慣を身につけることができるよう、乳児を対象とした絵本の配付に取り組んでまいります。

 

(産業の活性化)

   2点目は、産業の活性化と地域を担う人材の育成及び確保であります。
  企業誘致はもとより、ICT関連産業の集積、農業や地場産業の魅力の発信と後継者育成等に取り組むことにより、重層的な産業構造を構築し、景気に左右されにくい、持続的な地域経済の形成を目指してまいります。
  まず、企業誘致につきましては、昨年、全6区画に立地が決定した河東工業団地に続き、本年完成予定の徳久工業団地を有効に活用するとともに、既存企業の工場の増設等への支援などを通じ、雇用の確保に積極的に取り組んでまいります。
  また、本市の持つ行政データのオープン化を一層推進するとともに、会津大学等におけるアナリティクス人材の育成と併せ、ICT関連産業の集積を進めることにより、地域における新たな雇用の場の創出と若者の定着を促進してまいります。
  さらに、地場産業においては、会津漆器における後継者の育成と自立支援を図るとともに、ブランド力の向上と販路拡大、すなわち、売れる商品づくりにつなげていくため、首都圏での展示会出展への支援をはじめ、異業種間連携の一つとして、航空会社と漆器活用の研究に取り組むなど、魅力ある地場産業とすることで、新たな活用を拡げてまいります。
  農林業分野につきましては、引き続き、間伐材を有効利用するなどの、豊富な森林資源の保全と活用を図る取組を支援してまいります。

   また、「あいづ食の陣」による地元産農産物の利用拡大と地産地消を推進する取組を継続し、さらに、会津米の品質向上対策や酒造好適米の生産拡大といった、売れる米づくりの推進、フレコンスケールの導入による稲作の低コスト化、アスパラガスなどの振興作物の生産拡大に努めてまいります。
  こうした取組とともに、ICTを使った農業生産の普及を推進し、これまでの技術を継承しつつ、より効果的、効率的な生産を行うことにより、生産者の負担軽減と経営の安定を図り、収益性の高い農業経営への転換を推進し、さらには、TPPへの対応を見据えて、農業の魅力と可能性を向上させ、新規就農者や後継者の育成に努めてまいります。
  また、農産物の適正な価格の形成機能を担う公設地方卸売市場については、指定管理者制度を導入し、より効率的な施設管理を行いながら、市場関係事業者とともに活性化プランの取組を進めてまいります。 

 

(観光・交流人口の拡大)

  3点目は、交流人口の拡大についてであります。
  昨年は、鶴ヶ城天守閣が再建されて50年という記念すべき年でありました。春のふくしまデスティネーションキャンペーンをスタートとして、「會津十楽」の開催や阿弥陀寺御三階の特別公開など、行政、関係団体、事業者、そして市民の皆様が一丸となって取り組んできたところであり、こうした「動き」が、JR東日本の「TRAIN(トラン) SUITE(スイート)四季島」の停車駅として会津若松駅が選定されるといった、大変うれしい話題につながったものと考えております。
  次年度は、今後10年間の観光振興に係る「第3次観光振興計画」の策定に取り組み、特に、地域をひとつの集客装置と見立て、観光集客を推進するプラットフォームを担う観光まちづくりの推進体制を構築してまいります。
  加えて、2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を大きな契機と捉え、私自身もトップセールスに立ち、海外選手の合宿誘致、外国人観光客等の誘客に取り組んでまいります。

   また、今年度整備したまちなかWi-Fiや、観光情報の案内配信を行う「デジタルDMO」などを活用し、外国人観光客の受入態勢の整備と情報の発信、収集、分析、事業への反映といった仕組みづくりを進めてまいります。

  併せて、本市での開催が決定している平成29年度の南東北インターハイへの対応、スポーツ大会やコンベンションの誘致、教育旅行の回復に努め、グリーンツーリズムはもとより、産業観光や視察観光など様々な目的での本市への来訪と「観光」を結びつけた取組を進めてまいります。
  さらには、本市らしいまちづくりを推進するため、その基本となる景観計画の策定と景観条例の改正を進めるとともに、商店街の新たな魅力づくりに向けた整備への支援、本市の玄関口となる会津若松駅前の公共基盤の調査、会津若松駅中町線の整備などを進めてまいります。
 こうした事業を通じて、本市の魅力を向上させ、交流人口の拡大、まちなかの活性化につなげてまいります。

 

(市民生活の安全・安心の確保と市民福祉)

  4点目は、市民生活の安全、安心の確保と市民福祉についてであります。
  本市の将来に向け、市政全体を見据えた中で、地域の課題や要望について、地域と協働して適切に取り組み、効率的で便利な市民サービスの提供、一人ひとりに寄り添ったきめ細かな市民福祉の増進に努めてまいります。
   まず、市民生活の安全・安心につきましては、高齢者等の交通弱者や通学者の移動手段として重要な、公共交通に係る「地域公共交通再編実施計画」の策定を進め、市民の皆様の生活や外出を支える公共交通の再編に取り組んでまいります。
  また、近年、社会問題化している空家等の対策について、昨年、地区の皆様の協力により実態把握に努めてきたところであり、これを踏まえ、空家等対策計画策定の中で、適正に管理されていない空家等の対応策や支援策を検討してまいります。
  加えて、耐震促進計画の改定により、建築物の耐震化のより一層の促進を図る一方、公共施設につきましても、公共施設等総合管理計画の策定を通じ、その更新や管理運営についてマネジメントを行いながら、橋梁や下水道、公営住宅、公園施設等の長寿命化を図るとともに、引き続き、道路の除雪や舗装修繕等の適切な維持管理に努めてまいります。
  さらに、滝沢浄水場の改築工事を計画的に進めていくとともに、安全で安定した水の供給を図るため、今般改定する水道事業ビジョンをはじめとして、積極的に情報を公開しながら、水道事業経営について皆様と共有してまいりたいと考えております。
  次に、市民サービス向上の基本となる窓口サービスにつきましては、これまで、窓口のレイアウト改善やICTの活用による住民票の写し、印鑑登録証明書等の申請手続きの簡素化、コンビニ交付のメニュー拡大などに取り組んできております。
  加えて、次年度から、納税についてもコンビニエンスストアやゆうちょ銀行で納付ができるようにすることで、納税者の利便性を向上させるとともに、本年1月に利用が開始されたマイナンバーについて、個人番号カードの交付事務を円滑に行い、これらのサービスの一層の充実を図ってまいります。
  一方、市民福祉の向上にあたっては、これまで、地域福祉計画策定に係る地域懇談会等を通じて、各地域の実情や課題を明らかにし、地域の皆様や関係機関、行政がそれぞれの立場で果たすべき役割の必要性について、議論を深め、認識を共有してきたところであります。
  計画の初年度となる次年度においては、地域福祉の考え方について、引き続き普及啓発を図りながら、地域の皆様と行政、関係機関等との協働による支え合いの仕組みの構築を進め、これまでの制度や取組では解決が困難な様々な生活課題、福祉課題の解決に努めてまいります。
  高齢者福祉につきましては、住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、地域包括ケアシステムの構築を目指し、その核となる総合事業を平成29年度に円滑に移行するためのモデル事業を実施し、多様な実施主体による多様なサービスの提供を目指してまいります。
  また、障がい者福祉につきましては、地域生活支援コーディネーターを配置し、グループホームの体験利用等の各種サービスの調整に当たるなど、障がいのある方が地域において自立した生活ができるよう支援してまいります。

 

  こうした施策を通じて、本市における「ひと」の動きを活発にし、多種多様な「しごと」を創出するという「ひと」と「しごと」の好循環を生み出し、子どもやお年寄り、若者など、誰もが安心して快適に定住できる持続可能な「まち」を目指してまいりたいと考えております。 

 

【結び】

 以上、平成28年度の市政運営における主な事項について申し述べたところでありますが、地方創生は、行政が行う事務事業だけでは成し得ないものであります。
 市民の皆様をはじめ、商工業の各事業者、金融機関、大学といった、本市に住み集い、活動されている全ての皆様が、それぞれの活動に精励し、また、互いに連携して取り組むことが重要であり、住民自治においても、地域課題に対して、地域と行政、関係機関等が、互いに知恵と力を出し合っていく協働の取組を積み重ねていくことによって、地域活力の再生が図られ、「会津創生」につながっていくものと確信しております。
 昨年、私は「我より古(いにしえ)を作(な)す」という言葉を用い、新しい分野で後の先例となるものを作りだしていくという気概を持って施政に臨んでいくと申し上げました。
 改めて、この気概を持っていかに実績を積み上げていくかに向けて、地道に取り組んでいくことの大切さとその行動規範ともいえる「四耐四不訣(したいしふけつ)※」の思いを胸に、「子どもたちが夢と未来を持つことができるまちづくり」、「地域経済を活性化し若者に働く場をつくる」、「お年寄りや障がいのある方に生きがいと安心をもっていただけるまちづくり」を実現し、持続可能な地域社会を構築してまいりたいと考えております。
  何卒、市民の皆様並びに議員の皆様におかれましては、引き続き市政運営について、一層のご支援とご協力を賜りますよう心から念願申し上げます。

 

※曾國藩(中国清代末期の軍人・政治家)が説いた言葉。人間としての基本から離れず、生業を重んじ、隣人を愛し、怠慢利己を恥じて地道にやっていくことが大事であるということ。

 

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