平成27年度施政方針

2015年2月27日

 施政方針とは、新年度における市長の市政運営に対する基本的な考え方について述べたものです。

【はじめに】

 本日、平成27年2月市議会定例会を招集いたしましたところ、議員の皆様にはご参集を賜り、厚く御礼を申し上げます。
 本定例会の開会にあたり、平成27年度会津若松市一般会計予算をはじめとする諸案件のご審議をお願いするとともに、市政執行に取り組む私の所信と施策の大綱を申し述べ、ご理解とご協力を賜りたいと存じます。

【市政にあたって】

 昨年12月、少子高齢社会に的確に対応し、また、東京圏への人口集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保しながら、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくための地方創生の基本理念等を定めた「まち・ひと・しごと創生法」が施行されました。
 これは、豊かな生活を営むことができる地域を形成し、地域社会を担う多様な人材の確保や魅力ある就業機会の創出などについて、あらゆる主体が一体となって推進しようとするものであり、本市においても、時代に合った地域のあり方や安定した雇用の創出などについて、将来のためにその道筋を明確に示していかなければならないものと認識しております。
 「まち・ひと・しごと創生法」に掲げる地方創生の基本理念は、人口減少が進む中においても、元気な地方を創ることにあります。
 私は、市長就任後直ちに、東日本大震災による物理的被害や風評被害への対策を含め、重点的に取り組むべき施策を「地域活力の再生に向けた取組み」として取りまとめるとともに、市民の皆様や民間の事業者、そして行政が共に地域を再生するための活動を高めていくこと、こうした活動を「運動量」と総称し、運動量と地域の力をもって元気なまちを創っていくことを申し述べてまいりました。
 元気なまちを創るための挑戦が「スマートシティ会津若松」の取組であり、昨年5月に国により採択された「地域活性化モデルケース」、さらには、本年1月の改正地域再生法に基づく「地域再生計画」の認定に繋がっているものと考えております。
 このような先進的な取組を図っていくことにより、多くの市民の皆様に何かが「動いている」と感じていただき、そして「動くこと」に繋げていく、こうした運動量を持続していくことが地域の大きな力になっていくものと信じております。

【これまでの取組成果】

 さて、私は、「汗動と協働による全員参加のまちづくり」を基本施策に掲げ、将来においても安心して暮らせる会津若松市の創造と再生に全力で取り組んでまいりました。
 就任当初は、大震災後も続く余震や放射線への不安、また、道路や学校をはじめとする公共施設の損壊、さらには、原子力発電所事故による風評被害など、まさに「平時ではない」状況であり、早急に対応すべき課題も多く残っておりました。
 こうした中で、先ほども申し述べました「地域活力の再生に向けた取組み」において、放射線対策、産業振興、市民福祉などの各施策について、市民の皆様のご理解を頂きながら、一つひとつ丁寧かつ迅速に対応してまいりました。
 まず、きめ細かな放射線モニタリングの実施と数値の公開、線量低減化への取組支援、さらには、放射線に関する正しい知識の普及や線量計の貸与など、放射線への不安解消と健康管理に取り組んでまいりました。
 次に、風評被害により、大きな影響を受けた農業や観光業などの基幹産業の再生を図るため、「桜咲く会津フェスタ」による本市産品の大規模な販売促進事業などにより、正確な情報発信と地元産品の全国への販路拡大に努めるとともに、地産地消の推進においては、市内飲食店等と協力しながら「あいづ食の陣」を展開するなど、地元農産物の消費拡大を推進してきたところであります。
 とりわけ、観光の回復にあたりましては、大河ドラマ「八重の桜」を契機とした全国へのPRをはじめ、鶴ケ城を舞台としたプロジェクションマッピングの開催、さらには、教育旅行プロジェクトを立ち上げキャラバン隊を編成するなど、観光関係者はもとより、市内外の多くの方々のご協力を得ながら、風評の払しょくに取り組んできたところであり、一昨年の観光客入込数が統計を取り始めて以来、最高となる約395万人を記録することができました。
 大震災以降、これまでの間に、多くの方々が会津を訪問され、会津を知っていただいたことは、本市にとってまさに大変貴重な財産であり、未来に向け、その意義を大切に引き継いでいかなければならないと考えております。
 また、雇用の確保につきましては、地域経済活性化の実現に向けて必要不可欠な課題であると認識しており、緊急雇用創出基金事業を活用した各種事業をはじめ、会津地域における広域連携プロジェクトにより、新規事業創出の促進や求職者の職業能力向上、地域企業と求職者のマッチング機会の提供などに取り組み、若者をはじめとした幅広い年齢層の雇用創出を図ってまいりました。
 加えて、新工業団地の整備をはじめ、積極的な企業誘致対策を講じるとともに、地域企業の販路拡大や技術交流などを目指した「頑張るものづくり企業支援事業」を実施し、雇用や新規事業創出に繋がる重層的な取組を進めてきたところであります。
 一方、市民福祉の向上につきましては、とりわけ未来を担う子どもたちに係る施策として、子ども医療費助成を18歳まで拡充し、子育て世代の負担軽減を図るとともに、北会津地区認定こども園の整備に着手するなど、子育て環境の充実に努めてまいりました。
 教育面においても、基礎学力の向上対策はもとより、「あいづっこ人材育成プロジェクト」や「未来人財育成塾」などを通じ、次の世代を担う子どもたちの「憧れの心」「あすなろの心」を育んでまいりました。
 子ども達の努力は、3年連続となる若松第四中学校の全日本合唱コンクール金賞受賞や若松第一中学校の全国中学校駅伝大会出場など、大きく花開き、こうした活躍が将来への励みとなるものであり、引き続き、会津の先人である山本覚馬翁が建白した「管見」の中の一つである人材育成の重要性を継承してまいります。
 こうした取組に加え、東日本大震災を検証し改訂した「地域防災計画」や、地域福祉活動に係る推進指針となる「地域福祉計画」においては、地域懇談会等を通じて協働による取組を進め、また、予防保全の観点による社会資本の長寿命化、公共施設マネジメントなど、将来を見据えつつ、市民福祉の向上を図る事業を着実に進めてまいりました。
 さらには、「スマートシティ会津若松」を掲げ、エネルギーマネジメントの推進や市民サービスの拡充など、様々な分野で情報通信技術や環境技術を活用することで、将来にわたって持続力と回復力のある力強い地域社会を構築し、市民の皆様が安心して快適に生活できるまちの創造に取り組んできたところであります。

【平成27年度の市政運営の考え方及び取組内容】

 平成27年度は、「次期総合計画」の策定に本格的に取り組み、平成29年度以降の本市の未来を考える節目の年度であり、「地方創生」を推進していく年度でもあります。
 まず、「総合計画」につきましては、市民の皆様と本市の現状についての認識を共有しながら、将来像を共に描いていき、わかりやすいまちづくりの指針となるよう策定を進めてまいります。また、住民自治によるまちづくりを進めるための条例の制定を見据えてまいります。
 次に、「まち・ひと・しごと創生法」等のいわゆる地方創生法に関しては、「地方人口ビジョン」の策定とあわせ、本市の施策を地方創生に係る取組として体系づけた「地方版総合戦略」として取りまとめ、安定した雇用の創出、新たな人の流れ、時代に合った豊かな地域社会の創造といった大きな命題を克服し、「会津創生」に向けて取り組んでまいります。
 本市は、これまで「スマートシティ会津若松」として掲げた様々な取組を具体的に推進し、産業の成長と雇用の確保を目指す国の「地域活性化モデルケース」の採択を受け、さらには、これらを再編、充実させた「地域再生計画」として策定してきたところであります。 
この計画に基づき、多くの産業分野で有用となるアナリティクス人材、すなわち膨大な電子データを解析し、様々な企業経営等に役立てていく作業を行う人材や、情報セキュリティを担う人材を会津大学において育成してまいります。さらには、関連産業が機能移転できる環境を整え、集積させることで、こうした人材を本市での就労につなげる取組を進めてまいります。
これらの取組に加え、流通大手と提携した農産食品等のブランド化や農産物一次加工施設の誘致といった農業の高付加価値化、施設園芸への転換や酒造好適米品種の生産拡大の推進等を図り、農業の担い手を支援するとともに、会津清酒の消費拡大への取組など、それぞれの事業を結び付けることで、互いの価値が高まるよう取り組んでまいります。
さらには、市内の木質バイオマス発電所を中心として、間伐材をエネルギー資源とする仕組が整えられ、森林資源全体を活用できる林業の好循環が図られており、こうした取組を引き続き支援してまいります。
 また、4月から6月にかけて「ふくしまデスティネーションキャンペーン」が展開されます。本市を訪れて頂いた方々に満足頂けるよう、会津地域全体で観光素材の磨き上げやおもてなしの取組を推進してまいります。8月には著名な講師陣を招き、本市の子ども達と他の地域の子ども達とが一緒に学ぶ「未来人財育成塾」の開催などを通じて、地域連携や交流の促進に繋げてまいります。
 加えて、市民の皆様が安心して生活できる環境を整えることが、基礎自治体としての大きな役割であります。
 まず、飲料水の安定的供給のために滝沢浄水場の整備を推進し、また、水道未普及地区の解消に努めるとともに、下水道施設の長寿命化を図るなど、市民生活に密接な社会資本の整備・維持に努めてまいります。
 地域の交通網に関する取組としましては、私道の除雪や間口除雪により冬期間の交通確保の充実を図り、高齢者等の交通弱者や通学者の移動手段として重要な公共交通に係る「地域公共交通網形成計画」の策定を進めてまいります。
 また、地域づくり委員会の取組をはじめ、新たに東公民館における「ひがし地域交流館活動」などにより、地域活動の活性化に繋げてまいります。
 市民福祉の向上につきましては、高齢者福祉計画や障がい福祉計画に基づき、高齢者、障がい者支援の充実を図るとともに、福祉課題の解決を図ることにより、市民の皆様の誰もが安心して暮らせる地域社会の実現を目指すため、地域福祉計画の策定を進めてまいります。
 その上で、本市においても社会的な課題であります生活困窮者の自立支援や認知症高齢者への支援、在宅介護を支援するミニデイサービスの実施といった、生活実態を踏まえた、きめ細かな福祉施策を実施してまいります。
 さらには、これまで拡充してきた子ども医療費助成に加え、保育環境の充実を図り、母子生活支援施設の整備を進めるなど、子育てに係る支援施策をさらに充実させてまいります。
 子ども達の教育におきましては、読書力の向上に向けた取組などを充実させるとともに、鶴城小学校校舎等の改築をはじめとした各学校施設の整備を進め、総合教育会議の開催や教育に関する基本的方針の策定を通じ、子ども達のより安全で良好な学習環境を確保してまいります。
 また、歴史的建造物と地域の芸術を融合させた「あいづまちなかアートプロジェクト」、毎年多数の方々にご参加頂いている「鶴ヶ城ハーフマラソン大会」、「生涯学習推進ビジョン」の策定など、引き続き総合的な教育施策に取り組んでまいります。
 これらの施策に加え、国の「地域住民等緊急支援のための交付金」を活用し、スピード感を持ちながら消費拡大や生活支援、仕事づくりなど、実効性のある取組を通じて、本市の活性化を図ってまいります。

【むすび】

 以上、平成27年度の市政運営の基本的な考え方について、ご説明を申し上げました。
 私は、本市の将来を担う子ども達の育成はもとより、本施政方針でお示しした取組について、市民の皆様とともに協働していくことが、地域活力の再生、「会津創生」に繋がっていくものと確信しております。
 先人たちの偉業のひとつに、新年度に50周年を迎える鶴ケ城天守閣の再建があります。
 昭和40年の再建の際には、市民の皆様をはじめ、全国から予想をはるかに超える寄付が寄せられ、これは、本市の新たな時代に対する期待や決意が結集された事業であったと考えております。
 天守閣再建への努力は、「我より古を作す」という「自我作古」の思いが込められているものであり、私自身、古いしきたりにとらわれず、新しい分野で後の先例となるものを作り出していくという気概をもって、元気な地方を創るために平成27年度の施政に臨んでまいります。
 ここに住み集う全ての人々が、笑顔で輝きながら生きていけるよう、「若者には働く場を」、「こども達には夢と未来を」、「年齢を重ねても生きがいと安心のもてる地域社会」の実現に向けて、全力を尽くしてまいりますので、何卒、市民の皆様並びに議員の皆様におかれましては、引き続き市政運営について、一層のご支援とご協力を賜りますよう心から念願申し上げます。

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