公開日 2013年11月26日
更新日 2018年12月12日
Q12:野菜などの放射能濃度は低いのに、野生キノコは会津地方でも基準値を超えるものが見つかっていますが、どうして2年経っても高いのですか?
回答
現在、事故に由来する放射性核種で地表に沈着している核種は、ほとんどセシウム137とセシウム134です。
セシウムは、都市部などでは地表が雨で洗われるなどして移動し易いのですが、森林ではその場所から移動することはほとんどないと考えられます。
森林に沈着したセシウムは樹皮や針葉樹の葉に着いている外、多くは地面の腐葉層や表土に着いていますが、森の中では雨水は腐葉層等に染み込み、地表を洗い流すことは少ないので、セシウムもほとんど移動しません。
そして、セシウムはそこで生えたキノコや草、木などに吸収されますが、それらが生命を終えるとその場で腐って土に戻ることを繰り返すことになるので、森林の生態系の中に取り込まれていると言えます。
また、キノコは通常の植物とは異なり「菌類」の一種であり、植物とは異なる生態をもっていて、セシウムの吸収能力も異なります。チェルノブイリ事故後のデータでも、キノコは通常の植物よりも、多くの放射性セシウムを蓄積することが報告されており、放射性セシウム濃度が高いのは、キノコの特徴のひとつと考えられています。
ですから森に生えるキノコに含まれる放射性セシウムは、土壌中の放射性セシウムが崩壊※1して減らない限り、なかなか減らないと考えられます。
県が公表した検査結果では栽培キノコからは基準値を超える放射性物質は検出されていませんが、野生キノコでは基準値を超え、放射能濃度がかなり高いものも見つかっていますが、その理由は次のように考えられます。
つまり、施設や露地で栽培されているキノコは、原木等に含まれる放射性物質が基準値の50 Bq/kg以下となるように管理されていることから、栽培キノコの放射能は検出されないか、検出されても低い値に留まっています。一方、野生のキノコの生える土壌は、50 Bq/kg よりも高い処が多くあるために、放射能濃度は栽培キノコよりもどうしても高くなります。 なお今シーズン、会津若松市内で採取された野生キノコの放射能濃度は最大でも200 Bq/kg程度です。
次に、野生キノコを食べた場合の影響について考えてみます。
仮に放射性セシウム100Bq / kg の野生キノコ1 kgを食べた場合の内部被ばく量を計算してみます。
1kg 当り100Bq のセシウムを含むキノコ1kg には、100Bqのセシウムが含まれることになります。セシウム134は半減期が2年なので、現在は初期の半分以下に減っていますので、仮に放射性セシウム100 Bqの内、30 Bq をセシウム134とし、残りの70 Bq をセシウム137とします。
経口摂取(食べた場合)の線量換算係数(BqをmSvに換える係数)は、セシウム134 が1.9×10-5 mSv/Bq、セシウム137が1.3×10-5 mSv/Bq ですので、次のように計算できます。
30 Bq ×1.9×10-5 mSv/Bq + 70 Bq ×1.3×10-5 mSv/Bq = 148 ×10-5 mSv
=0.00148 mSv
計算から100Bqの摂取だと0.00148 mSvですから、食品安全委員会が示す内部被ばくの許容限度である年間1mSvと比較してずっと小さい値ですので、健康影響を心配するような値ではありませんが、基準値を超えるものは求めて食べることはしないようにしましょう。
なお、市では自家消費農作物等の放射能検査を無料で行っていますので、野生キノコは検査で値を確認してから食べることをお勧めします。
※1 放射性セシウム原子は状態が不安定なので、放射線を出して安定なバリウム原子になり、あとは放射線を出さなくなります。これを崩壊と言います。
○自家消費農作物等放射能検査の申し込み 予約専用電話番号:0242-39-1299 (受付時間:平日の午前8時30分から午後5時(正午から午後1時まで除く))
自家消費農作物等放射能検査全般の問い合わせ 健康増進課:0242-39-1245
○自家消費農作物等放射能検査結果( 会津若松市)
アドレス http://www.city.aizuwakamatsu.fukushima.jp/docs/2007080300585/
○福島県農林水産物モニタリング情報 「ふくしま新発売」
アドレス http://www.new-fukushima.jp/monitoring/
【回答者】会津若松市放射線管理アドバイザー・藤田保健衛生大学客員教授 下 道國先生
お問い合わせ
- 会津若松市役所 環境生活課
- 電話:0242-39-1221
- FAX:0242-39-1420
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