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甦る鶴ヶ城 干飯櫓(ほしいやぐら)の復元

第20回 「漆喰」

漆喰
 上は、温かい糊の中に消石灰を入れて練っているところです。石灰やすさは、糊が満遍なく染みわたるように適量を何度かに分けて混入しました。

 松城下絵図屏風における干飯櫓・南走長屋の壁は、白く描かれています。また若松城を写した解体前の古写真などからも、壁を白漆喰で仕上げていたことが推定されています。

 喰は主に石灰からできていますが、漆喰に使う石灰には牡蠣などの貝殻を焼いて作った「貝灰(かいばい)」と、石灰石を焼成して取り出した「消石灰(しょうせっかい)」とがあります。

 津藩の古文書には、若松城の石灰は藩の領地であった阿賀野川流域の小川庄小花地村(現在の新潟県東蒲原郡津川町)の山中より採取した石灰石を、その村の釜で焼いてから、若松城下に送っていたと記述されています。このため復元工事にあたり同じ石灰の入手を試み、文献に記された場所の現地調査を行いました。その結果、現在では良質な石灰は取りつくされて閉山しており、同じ産地の石灰は入手できず、国内産のほかの消石灰を使うことにしました。

 喰はこの消石灰とすさ(後述※印)を糊の中に混ぜ併せて作ります。糊は乾燥した「角叉(つのまた)」という海藻を熱湯の中に入れて、形がなくなるまで煮詰めて作ります。この中には、海藻のごみやあくが浮遊しているため、きめの細かいざるでろ過したものを使います。こうしてできあがった糊の中に、あらかじめほぐしておいたすさを加え、良くなじむように竹竿で何度もかき混ぜます。漆喰に使うすさは、美しい壁を仕上げるために、※麻の繊維をさらして漂白した「晒すさ(さらしすさ)」を使います。この中に消石灰の白い粉末を練り混ぜてから、一昼夜寝かせることで漆喰ができあがります。

 石灰は、漆喰を白い化粧材にする役割を担っています。さらに、水を加えると固く結合する性質を持っていることから、接着剤の働きもしています。石灰は壁土と同じように、固まる過程で収縮を起こすことから、 を入れて強化し、ひび割れを抑制します。また、「海藻糊」には保湿作用があり、漆喰が天日に晒されても美しさと強度を保つ役割を持っています。

(すさ=草かんむりに"切"と書きます)