
第19回 「土塗り壁」
元工事の土塗り壁は、竹を藁(わら)縄で編んだ小舞(こまい)に、現場で作った壁土を塗って造ります。壁土は、長い月日をかけて粘着力を持たせ、塗る前には刻んだ藁(わら)を再度混ぜ合わせます。こうすることで、施工性を良くし、塗った後で割れ落ちるのを防ぐことができます。このような効果を狙って、壁土の中に入れる藁などをすさといいます。
すさを入れた壁土は「手打ち」といって、手で団子状にしてから小舞に軽く打ちつけるように塗ります。またその裏面からも、はみ出してきたものに壁土を補って、押さえ塗りを施します。これを「裏返し」といいます。この手打ちと裏返しによって、小舞に隙間(すきま)なく壁土を塗り込めます。この作業でできた壁面は、凹凸があり、すさが出ていて荒々しい様から「荒壁(あらかべ)打ち」と呼ばれています。 壁が塗り上がってから完全に固まるまでの数カ月間は、ひび割れが発生し続けます。このため自然な状態で養生(ようじょう)し、乾燥したことを確認してから次の工程に移ります。この工程でひび割れをつぶすように塗り、そうすることで、仕上がったときにひび割れが生じにくくなります。 中塗りの前に、乱れた荒壁面を調整するために「鏝(こて)」を用いて壁土を何回も塗って「斑(むら)直し」を行います。斑直しに使用する壁土は、荒壁に使ったものとは違い、川砂を混ぜて使います。壁土に砂を混ぜるのは、壁土の粘土に比べて乾燥収縮が少ない砂を入れることにより、ひび割れを抑制出来るからです。また、あらかじめ小舞に縛りつけておいた「下げ縄」という藁縄を放射状に広げ、さらに縄を縦横に入れて補強しながら塗り込めることにより、壁を強化して割れを防ぎます。 中塗りは、斑直しに使ったものより砂の割合を多くした壁土を、所定の厚さまで塗り重ねます。一回に塗る厚みも、仕上がりを考慮して約5ミリ程度とし、すさは細かく刻んでから柔らかくなるまで揉みほぐした藁を使用します。 (すさ=草かんむりに"切"と書きます) |