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甦る鶴ヶ城 干飯櫓(ほしいやぐら)の復元

第10回 「屋根の構造」

土居葺き
上は「土居葺き」の写真です。屋根全面に、木羽板を勾配に逆らわないように幾重にも貼ったところです。懸魚は、この時点ではまだ施工されていません。
 飯櫓の屋根形状は、最上部から両側に勾(こう)配を持たせ、その四方に庇(ひさし)屋根を回した「入母屋(いりもや)」形式になっています。この屋根の特徴として、軒(のき)先が壁より大きく張り出しており、四方の角先が緩やかに反り上がっていることがあげられます。深い軒の出は、櫓の最上部のような風雨にさらされる環境の場所であっても、土壁を護(まも)り、土が流れ出るのを防いでいます。また、四方の反り上がりは、瓦(かわら)の重さに耐えるための技術であり、軒先が永い間に下がって低くなるのを防ぐためのもので、同時に視覚的な釣り合いを保つ役目もあります。このようなことから、屋根部分の木工事に関しては、復元工事を進めるなかでも高い技術を必要とする難しい仕事の一つでした。

 た、干飯櫓の北面と南面の妻側の壁には「懸魚(げぎょ)」と呼ばれる装飾が施されています。模様は梅の花の形状をかたどった「梅鉢(うめばち)」となっています。これは古写真からのものですが、あいにく干飯櫓を直接写したものはなかったものの、城内のほかの隅櫓(すみやぐら)で鮮明に映っている古写真があることから決定されました。なお、再建された天守閣も入母屋造りの屋根となっており、妻側の壁には同じく「懸魚」が飾られていますが、こちらの模様は「蕪」(かぶら)になっています。

 飯櫓と南走長屋はともに瓦葺(ぶ)きとなりますが、瓦を葺く前に野地板(のじいた)の上に、手で薄く割った「木羽板(こばいた)」を屋根全面に重ねて貼(は)ります。これを「土居葺(どいぶ)き」といいます。木羽板は、1枚の長さが30センチメートル、厚さが2〜3ミリメートルありますが、段々に幾重にも重ねて敷きつめます。土居とは土台の旧称であり、下という意味もあります。この場合は、瓦の下葺きとすることにより、瓦のすき間や破損に対して雨漏りしにくくする技法です。材料は、耐水性があり腐れに強い檜(ひのき)の仲間である、椹(さわら)の赤身材を使用しています。木羽板を止める釘(くぎ)は、短くひご状にした竹を焙煎(ばいせん)して使用しています。竹は煎ることによって、固く締まって水に強くなるためです。


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