
第一回 復元工事にいたるまで
平成10年2月に着工した鶴ヶ城の干飯櫓と南走長屋の復元工事は、2月17日に上棟式が行われ、3月までには木材の組み上げが完了しました。現在、平成12年12月の完成に向けて順調に工事が進んでいます。
市では、この工事に先がけ、会津若松市のシンボルである鶴ヶ城全体を史跡として保存するため、また、市民一人ひとりに愛され、歴史と文化を物語る場として末永く保存整備するため、「史跡若松城跡総合整備計画」を策定しました。計画の内容は、櫓、門、撤去された石垣の復元のほか、本丸御殿など往時あった建物の配置状況を敷石などで表現する平面表示、さらには園路や案内板、公衆トイレの整備、お濠の浄化など、史跡の保存整備から運営にいたるまでの多岐にわたったものです。 この整備計画に基づいて行われる今回の復元工事は、史跡として鶴ヶ城を理解していくうえでも、大変役に立つ復元であると考えています。現在の私たちは、苔むした石垣やお濠などによって、往時の鶴ヶ城をしのぶことができます。昭和40年に天守閣が再建されて、鶴ヶ城の全体像がイメージしやすくなりました。同じように、干飯櫓と南走長屋を史実にそって復元することで、鶴ヶ城が持つ歴史的空間をより実感できるようになるはずです。 この復元を実施するにあたり、まず古絵図、古文書、取り壊し前の古写真などの資料調査と復元現場の発掘調査を行いました。その調査をもとにした各工程には、慶山石を用いた石垣の補修、伝統的な木組みによる木工事、さらには、出土品の瓦から型取りした赤瓦を用いる屋根工事、荒土壁と白漆喰塗りの左官工事など、古来の技術や工法を用いています。 この「甦る鶴ヶ城―干飯櫓の復元」では、これらの伝統的な技術やさまざまな調査で新たに分かった事実を、今回から約2年間にわたり掲載していきます。調査から完成までの記録として、価値ある連載にしていきたいと思います。 |