
左側に写っているのが、清作の初恋の人・山内ヨネさん |
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会陽医院の前にあるしょうゆ問屋の福西屋の店先で新聞を読んでいた清作は、通りを歩いている女学生にひと目ぼれし、医院に帰っても勉強どころではなくなりました。若松に出てくるときに「清作が医者になったらお天道様が西から出るから」とうわさされたことを思い出し、「勉強に専心しなければ」という心とのかっとうが続きました。
その後、清作は通っているキリスト教会でもこの麗しい女学生を目にし、渡部院長の妹・夏子さんのところに来ていることもあって、清作にとって身近な人に思えてきたのです。夏子さんに彼女のことを聞き出し、医師の娘である山内ヨネさんだと知った清作は、ヨネさんの友人の名前で手紙を出しました。受け取ったヨネさんは、漢文調の難解な文章は友人からのではないと考えそのままにしていました。そのうち、欧文、漢文まじりの手紙が、S・N生と書いた封筒に入って何通かヨネさんの元に届けられました。あやしい手紙は学校に届けられ、会陽医院の書生である清作と判明して、清作が通っていた教会の牧師さんから注意を受けます。
清作は恋の思いを振り払うように、「ナポレオンは3時間しか眠らなかった」と口癖のように言い、喜多方町内から来た同部屋の書生の吉田喜一郎さんと競争するように勉学に精を出しました。
明治29年(1898年)8月に大町の笹屋旅館で行われた歯科の出張診療に来た、高山歯科医学院の血脇守之助先生が、医師試験を目指す清作の勉強ぶりを見て「上京したらわたしのところに寄りなさい」と声をかけました。この出会いが清作の運命を大きく変えることになります。清作は「志得ざれば再びこの地を踏まず」と故郷を後にします。
―――――― 野口英世記念館学芸課長 小桧山 六郎著
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