| ||
|
||
|
○調査の概要
当調査特別委員会は、平成13年11月5日に第1回目の委員会を開催して以来、14年2月22日まで、計22回にわたり委員会を開催し、細部にわたってさまざま調査を行ってきた。 調査に当たっては、まず、「一市民による市建設部への長期にわたる脅迫行為がなぜ可能であったのか、また不正に支出された公金の実態及びその意思決定過程はどうだったのか」という2点を調査の中心に据えた。 これらを解明するため現地調査や記録・資料等の関係書類の精査を行うとともに、延べ40名の説明員の出席をはじめ、当時の関係者17名を参考人として招致し、さらには事実関係について6名の証人喚問などを実施して検証を行った。 こうした経緯の中で、当調査特別委員会としては、真相究明に全力を尽くしたものの、事件から10数年経過していることや一方の当事者であるA氏の突然の死去により、意思決定過程で、解明できなかった点があったことを申し添えて報告を行うものである。 ○市道幹U‐15号線工事等一連の行政対応に関する調査の当委員会としての総括 まず、長期にわたる脅迫行為を許した原因として、4点指摘する。 1 公道における道路法第四条「私権の制限」に反し、私権の行使を容認してしまった行政対応がなされていること 市は、A氏の求めに応じて公道である道路敷きの返還に合意し、境界としてラインを引き、縁石を設置したのである。さらにA氏は、地区入口の道路敷きを拡幅以前の1.8メートル幅に戻すよう要求し、要求どおりにならなければ杭を打つことなどを主張したため、市は公道上に個人の土地であることを認める白線を引いた。 このことが、市が公道における私権の行使を容認してしまった行政対応となり、A氏が長期にわたり脅迫行為を続けることになった原因であると考えるものである。 2全庁的・組織的対応の問題 一連の暴行事件等に対し、最高責任者である市長や事務最高責任者である助役、各部門の統括責任者である総務部長、建設部長が、職位、職責上、必要な指示や問題を解決する具体的な行動をとった形跡が認められないということである。 つまり責任のある職位にある者が、問題の本質を見極め、全庁的な体制を整え関係職員に指示を与えることをしておらず、さらに上級職にあったにもかかわらず、証人喚問や参考人招致においては、記憶に無いなどの証言や供述が多くあったことからも、当時においてその事態を深刻に受け止めていなかったことが明らかになった。 3 公務員としての倫理観の欠如について 会津若松市職員服務規則第二条(服務心得)に明記されていることからも、いかなる状況下にあったとしても誠実かつ公正に公務を遂行し、公務員として不名誉となるような行為をすべきではなかったということである。 公務員としてすでに経験を積んだ職員は、人夫賃による対応、工事費の増額や会津若松地方建設事業促進協議会事務局口座の不正経理、スノーポールの数量操作による資金の捻出等を違法と知りえる立場にあることから、その違法性を指摘し、適宜、処置を講ずるという公務員として毅然とした態度を取るべきであったと考えられる。今回の一連の不正な行政対応が長期にわたったこと。また脅迫行為が続けられたのは、職員みずからの公務員倫理の欠如にも原因があったものと考えられるのである。 4 危機管理体制の不備について 今回の一連の事件においては、初期の段階での対応を誤り、部局内で対応しきれず、三役までの対応となっても情報収集を怠り、警察機関や特に法律専門家等と随時、的確な連携をも図らず、部下に正しい指示を出さなかったことが大きな要因となっている。 また、平成6年4月に対応マニュアルが示されているが一部の関係する課に配付された程度に止まっている。さらにこのマニュアルでは、A氏のような特異なケースには対応しきれない内容であり、職員が安心して対応できない状態が続き、問題を長期化・深刻化させたものと思われる。これらはまさに危機管理体制の不備として指摘せざるを得ないところである。 次に不正に支出された公金総額18,888,210円の処理の問題である。今回の事件は10数年間の長期にわたって続いたものであり、市民の血税からの不正支出であるところから全額返還を求めるべきである。 なお、会津若松地方建設事業促進協議会事務局口座に繰り入れられた負担金4,900,000円については、返還を含め同協議会と十分協議する必要があるものと考える。 これらの不正支出については、「長期にわたる脅迫行為を許した原因」として上げた4つの事項からも明らかなように「市役所・職員の体質的問題」であり、今回の事件に関係した役職員等による賠償が必要であると考えるところである。 以上が、当調査特別委員会の調査において明らかとなった事実及び指摘事項における考え方である。 ○市当局に対する改善を求める意見 1 監視機能の充実・強化について まず内部チェックの徹底として、所属内部において自浄作用が働くよう研修等を通じ、職員一人ひとりに内部チェックの重要性を再認識させるほか、管理監督者は一層厳正なチェックを実施し、とりわけ小額工事、人夫賃等については、これまでのシステムを直ちに見直し、部内チェックを強化すること。 また、出納機関のチェックのあり方については、予算の適正な執行を図るため、物品購入等の公費支出の審査に当たっては、現物確認など審査、検査(検収)の充実・強化を図ること.。さらに監査機能の充実・強化についても、行政の適正な運営の確保や透明性の向上を図るため、当面、監査委員による監査の執行体制(技術職員等の配置)の充実、強化を急ぐこと。また、今後の組織機構見直しのなかで、監査及び工事検査室を一体化した、いわゆる会計検査院的組織を検討すること。 2 いわゆる各種協議会、団体等のあり方について 今回、会津若松地方建設事業促進協議会事務局預金口座への入金が不正支出の温床となったことからも明らかなように、各種協議会、団体等について精査を行い、そのあり方についても検討する必要がある。また、外郭団体等の公金支出等について部内のチェック体制の強化を図ること。 3実態にあった必要経費の適切な予算措置と執行基準の策定について 事業執行において、必要な経費は適切に予算化するとともに、明確な執行基準を策定した上で厳正に執行すること。なお、執行基準は、社会情勢の変化に照らして適宜、必要な見直しを図ること。 4法制執行体制の確立について 総務部組織の機能充実をはじめ、市独自の顧問弁護士の配置をもって、法的バックアップ体制を整備し、危機管理のみならず各種法律相談など法制執行体制を確立を図ること。 また職員が公務上、暴力、脅迫行為を受ける恐れがある時点で、相談できる窓口を設け、警察や法律専門家等との連携を密にした対策を講じること。 5 情報公開制度の充実について 市民に対し、プライバシーなど特段の事情のない限り求められての公表ではなく、行政自らが積極的に情報の公開に努めること。さらに、インターネットによるホームページの活用により情報提供体制の充実を図ること。 6 市職員等に関する倫理条例の制定について 利害関係者との飲食や贈与等の禁止等を内容とする条例等を制定すること。なお、違反した者には、厳しい罰則規定をもって処罰すること。 以上6点にわたる指摘をし、早急に改善を求めるものである。 ○調査結果のむすび 市民にとって厳格なイメージを抱く市役所職員に対し、一市民によって10数年にもわたる脅迫行為がなされていたことについては、全く理解できないところである。 市当局にあっては、かかる事態を厳粛に受け止めて心から反省することはもとより、今後再びこのような事態を引き起こすことのないよう、今回明らかになった課題を一つ一つ解決しながら、新しい会津若松市役所づくりに向け、市長はじめ役職員が一丸となって努力していただきたいものである。 当委員会では、一日も早い不正支出金の処理及び関係者の処分などの厳正な措置が求められたところであり、併せて、全庁あげて、改善策の着実な推進に取り組まれることを強く要望するものである。 |