第7章 成年後見制度の利用促進 (会津若松市成年後見制度利用促進基本計画) 1 基本計画の目的 少子高齢社会において、認知症や知的障がいその他の精神上の障がいがあることにより財産の管理や日常生活等に支障がある人たちを社会全体で支え合うことが、喫緊の課題となっています。 成年後見制度は、自分らしい生活を送るうえで、大切なことを決め、主張し、実現することができない人の権利擁護や意思決定を支援する重要な手段であることから、「会津若松市成年後見制度利用促進基本計画」を策定することにより、成年後見制度の利用を促進し地域共生社会の推進を図ります。 2 基本計画の位置づけ 成年後見制度の利用の促進に関する法律第14条第1項において、市町村は、国の基本計画を勘案して、当該市町村の区域における成年後見制度の利用の促進に関する施策についての基本的な計画を定めるよう努めるものとされています。本計画は、法令に定める市町村計画として、本市成年後見制度の利用促進に関する施策の総合的・計画的な推進を図るために策定するものです。 また、本計画は関連計画である「第2期会津若松市地域福祉計画」、「会津若松市障がい者計画」「会津若松市第6期障がい福祉計画」「会津若松市高齢者福祉計画・第8期介護保険事業計画」、その他関連計画との整合、連携を図ります。 3 計画の期間 令和3年度から令和7年度までの5年間とします。 4 計画策定のための取組及び体制 令和2年度に、会津若松市地域福祉計画等推進会議、障がい福祉計画策定調整会議、介護保険運営協議会等において計画策定に関し検討を行いました。また、意見公募手続(パブリックコメント)を実施し、幅広い意見を聴取しその反映に努めました。 5 現状と課題 総人口の約1%の国民が何らかの後見支援が必要と思われる人であると言われています(厚生労働省「地域における成年後見制度利用促進に向けた体制整備のための手引き」より)。 本市においても、認知症、知的障がいその他の精神上の障がいがあることにより、日常生活における様々な契約行為や買い物、財産管理等が難しい事例が見られ、悪質な契約等を結び消費者被害に遭う事例や、認知症の発症を契機に家族からの虐待に至る事例が依然として後を絶たず、個人の尊厳や安全・安心を確保できない事例も多数あります。さらには、高齢化した親が子どもの生活を支える、いわゆる「8050問題」を抱える世帯も把握されています。 このような状況や、本市における高齢化率の上昇と高齢者単身世帯の増加、精神障がい者や知的障がい者の人数の推移から、今後さらに本制度の必要性が高まっていくと考えられます。 6 施策の目標 成年後見制度の利用が必要な人を発見し、適切に必要な支援につなげる地域連携の仕組みとなる「権利擁護支援の地域連携ネットワーク」の構築を進めます。 7 施策の方針 必要な人が、自分らしい生活を守るための制度として成年後見制度を利用できるよう、相談窓口を整備するとともに、権利擁護支援の必要な人を発見し、適切に必要な支援につなげる地域連携の仕組みとして、権利擁護支援の地域連携ネットワーク及び中核機関を段階的に整備します。また、成年後見制度に関係する機関等との連携及び調整について、医療機関、金融機関等との協力体制を構築し、本人を見守る「チーム」や地域における支援体制として「協議会」を整備します。 ⑴ 地域連携ネットワークの構成 地域連携ネットワークは「チーム」「協議会」「中核機関」により構成することとし、関係機関と連携しながら段階的に整備します。 チーム 親族、福祉、医療、法律、地域の関係者が、協力して日常的に本人を見守り、本人の意思や状況を継続的に把握し、必要な対応を行う仕組み。 協議会 後見等開始の前後を問わず、「チーム」に対し法律・福祉の専門職団体や関係機関が必要な支援を行えるよう、専門職団体や関係機関が連携体制を強化し、各専門職団体や各関係機関が自発的に協力する体制づくりを進める合議体。中核機関が事務局機能を担う。 中核機関 専門職による専門的助言等の支援の確保や、協議会の事務局など、地域連携ネットワークのコーディネートを担う機関。 ⑵ 地域連携ネットワークの役割と機能 地域連携ネットワークの役割と機能及び、具体的な取組については以下のとおりとします。 広報啓発の充実 広報啓発を重点的に行うことで、権利擁護に関する支援が必要な方(財産管理や必要なサービスの利用手続を自ら行うことが困難な状態であるにも関わらず、必要な支援を受けられていない方、虐待を受けている方等)の発見に努め、早期のうちに必要な支援に結び付けていきます。 相談体制の整備 権利擁護に関する支援が必要なケースについて、関係者からの相談に応じ、ニーズ調査等の情報を集約し、必要な支援を行うための体制整備に取り組みます。 成年後見制度利用促進及び後見人支援機能の体制整備 受任者調整(マッチング支援)、法人後見・市民後見人の育成支援等を推進していきます。 ⑶ 成年後見制度の利用に関する助成制度の実施 成年後見制度利用支援事業により、成年後見制度を利用したくても、自ら申し立てることが困難であったり、身近に申し立てる親族がいなかったり、申し立ての経費や成年後見人等の報酬を負担できない等の理由により制度を利用できない方に対し、申し立ての支援や助成等を実施し、利用の支援を行います。 8 成年後見制度利用促進の工程表 本計画の施策等については、毎年度、地域福祉計画と一体的に進行管理を行います。