放射線Q&A5:子どものほうが放射線から受ける影響は大きいのか

公開日 2013年04月24日

更新日 2018年12月12日

Q5:子どものほうが放射線から受ける影響は大きいと聞きますが、本当ですか?福島に住んでも、子どもに健康影響は出ないのですか。また、低線量でも妊娠中に被ばくをすると胎児に影響はないですか。

 

 

回答

 

 大人より子どものほうが放射線から受ける影響は大きいとされています。このことは、※原爆被ばく者の調査でわかったことですが、それによると数百ミリシーベルト以上の被ばくでは10歳以下の子どもは大人と比べてがんや白血病の死亡リスクが2~3倍高いことが明らかになりました。

 子どもは成長期にあり、大人と比べて細胞分裂が盛んで、また将来にわたって長く細胞分裂を繰り返します。細胞分裂が盛んな細胞や細胞分裂の回数が多い細胞は、放射線の影響を受けやすいことが分かっていますので、子どものほうが大人よりも放射線の影響を受けやすいといえます。

 しかし、100ミリシーベルト以下の低線量の被ばくでは、発がん原因が他にも多くあることから子どもも大人も発がんリスクははっきりとは確認されていません。

 福島県内でも警戒区域や帰還困難区域など線量の高い地域を除けば線量は低く、特に会津地域ではおおむね追加的被ばく線量は年間1ミリシーベルト以下と低いので、子どもへの健康影響は心配しなくてよいと考えます。

 

 次に、胎児への影響についてです。

 確かに、胎児は放射線の影響を受けやすいのですが、確定的影響が出る最小線量(※しきい線量と言います)は100ミリシーベルトで、それ以下の低線量を被ばくした場合では、影響は出ないと考えられます。

 しきい線量の100ミリシーベルト以上を被ばくした場合を考えますと、妊娠のごく初期(受胎から2週間まで)ではほとんどが流産します。

 また、受胎後2週から8週ぐらいの間の場合では、流産は少なくなりますが、胎児の器官ができる時期ですから、器官が異常になって奇形ができることがあります。

 さらに、8週から出産までの期間で大脳が発達している時では、精神発達異常が生じることがあります。

 

 繰り返しますが、胎児への影響で「確定的影響」については、100ミリシーベルト以上被ばくしないと影響は現れないと考えられます。

 今回の福島原発事故では100ミリシーベルトを超える被ばくをした人はいないと推測されますので、このような影響がでる赤ちゃんはいないと考えられ、また、今後生まれてくる赤ちゃんにもこのような障害が現れることはないと考えられます。

 

 がんや遺伝性の影響の可能性については、しきい値はないと考えますので、被ばく線量に応じて影響が出ることは否定できませんが、低線量域ではその発生のリスクは大変低く、他の原因による発がんリスクのほうが大きいので、はっきりと確認できません。

 ※平成23・24年度に市が実施した個人のバッジ式積算線量計による被ばく線量調査では、最高でも年間1ミリシーベルト未満と推測されていますが、この程度の線量は、自然放射線の地域の差の範囲に入りますので、胎児への影響について心配することはありません。

 

 文中の※印の項目をクリックすると詳細な調査結果にジャンプします。

  

 

 

【回答者】会津若松市放射線管理アドバイザー・藤田保健衛生大学客員教授 下 道國先生

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